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JAL、CAが機内で音声グループチャットを行なう実証実験。装着中も「お客さまの声が聞こえる」

ソニーモバイルの「Xperia Ear Duo」を使用

2018年4月11日 発表

JALがソニーモバイルのヘッドセットを客室乗務の実証実験に使用する

 JAL(日本航空)は、ソニーモバイルコミュニケーションズの左右分離型ヘッドセット「Xperia Ear Duo XEA20」を、CA(客室乗務員)のコミュニケーションツールとして活用する実証実験を4月下旬から行なう。4月11日に開催されたXperia Ear Duoの発表会ではJALがブースを設けており、CAの業務改善や効率化に向けての取り組みであることを説明した。

 Xperia Ear Duoは、装着時にドライバーやバッテリなどを内蔵する本体部が耳の下にくる「下掛け」構造を採用している。機器からの音は音導管を通って直接鼓膜に向かうが、一般的なインナーイヤー型イヤフォンと違ってドライバーが耳の穴を塞がないため、周囲の音も自然に聞こえる「デュアルリスニング」を実現している。

 本体には左右2つずつ、計4つのマイクを内蔵しており、周辺の騒音の大小に応じて自動的にボリュームを可変する動的な音量調整機能を搭載しているほか、スマートフォンアプリによるボイスコマンドや、うなずき・首振りなどのヘッドジェスチャーで肯定や否定の意思をアプリに伝えることができる。

 また、最大5人でグループチャットを行なう「Anytime Talk」に対応しており、音声チャットだけでなく、前述のヘッドジェスチャーにあらかじめサウンドを登録して、状況に応じて首の動きだけで意思疎通を図ることができる。そのほか、Xperia Ear Duoについては僚誌「AV Watch」で詳しく説明しているのでご覧いただきたい。

Xperia Ear Duo。化粧コンパクトのようなケースにはバッテリが内蔵してあり、ケースに戻すと充電が行なわれる
Android版アプリと併用することでボイスコマンドの実行や音声によるLINEメッセージの送信などが行なえる。iOS版の提供予定は未定

CA同士のコミュニケーション改善に機内で音声グループチャット

 JALとソニーモバイルは以前からスマートウォッチなどで連携しており、JALが機内での業務改善を模索していたことから今回の実証実験に至った。CA同士の意思疎通は、近くにいれば口頭、離れていれば固定のインターフォンか身振り手振りで行なっているが、特に身振り手振りは慣れていてもうまく伝わらないことが少なくないという。

 そこで実証実験では、機内で5人のCAがスマートフォンとペアリングしたXperia Ear Duoを片耳だけ着用し、JAL向けにカスタマイズしたAnytime Talkを使って音声グループチャットを行なう。機内のため、データ通信はLTE回線ではなくWi-Fiを利用。Wi-Fiは端末間接続になるため、乗客の機内Wi-Fiには影響しないとのこと。フライトごとにビジネスクラスだけ、エコノミークラスだけ、チーフパーサーと各キャビンのリーダーだけ、といった具合に範囲を変えながらテストする予定で、期間は2~3カ月程度。

 CAはフライトによって毎回組み合わせが変わるが、今回の実証実験には固定のメンバーが参加して、改善や効率化の度合いを確認していく。そのため、実際のテストは月数回になるだろうとのこと。片耳だけの装着としたのは、そもそも音楽を聞くわけではないのでステレオの必要がないこと、利用者に不快感を与えないことが大きな理由だという。

JAL向けにカスタマイズしたアプリでテストを行なう
「下掛け」という特徴的な構造のため、装着していることが目立たないもの採用の理由

 実際に発表会場に来ていたCAに話を聞いたところ、装着の違和感がなく、周囲の音も聞き取りやすいとかなり好印象のようだった。Xperia Ear Duoはブラックとゴールドの2色展開だが、実証実験では「女性の肌に合う」ということからゴールドを採用。その色味と、本体は耳の下に隠れて音導管が細く、正面から見ると装着していることがほぼ分からないという点が、実証実験に踏み切り大きなポイントになっている。

 なお、説明を担当したJALの担当者によると、飛行中の機内では大きなノイズがあるが、事前のテストで片耳のXperia Ear Duoでも問題なく音声が伝わることを確認できているという。

発表会で示されたスライド