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H.I.S.渋谷本店にロボット2台がコーヒーを淹れる「変なカフェ」オープン
ロボットアームがカップ/ドリッパーを運び、洗浄も行なう
2018年1月31日 11:42
- 2018年2月1日 開業
H.I.S.(エイチ・アイ・エス)は、自社グループで展開する「ハウステンボス」などで培ったノウハウをもとに、ロボットがコーヒーを淹れるカフェを2月1日に開業する。店舗は、渋谷モディの地下1階にあるH.I.S.渋谷本店の併設カフェとして入居しており、オープンに先駆けて報道向けにドリップコーヒー提供の様子などを公開した。
カフェスペースは相談カウンターやテーブルが並ぶ一角に、壁などで仕切らずに設置してあり、コーヒーを淹れるよい香りが店内に漂っていた。カフェスペースは券売機周辺、ロボットがコーヒーを淹れるエリア、利用者がコーヒーを受け取る提供口の3つに大きく分かれている。
ロボットは、カップを運んだりドリッパー(金属フィルタ)に豆を入れたりする多機能アーム「Sawyer(ソーヤー)」と、最大4つのカップにコーヒーを抽出するバリスタマシン「Poursteady(ポアステディ)」の2台が、協調して動作している。また、アームの周囲にはエスプレッソマシンや豆を一定量挽くグラインダーも並べられており、アームはオーダーに応じてかなり忙しく働いている。ロボットはともに米Rethink Roboticsが開発したもの。
まず、券売機でコーヒーを購入すると、QRコードと呼び出し番号の書かれたチケットが排出されるので、セルフで所定の位置にカップを置いて、QRコードをリーダーに読み取らせる。ここまでは利用者の手が必要だが、以降はロボットがコーヒー提供まですべてオートで行なってくれる。
新規オーダーを検知するとアームが空のカップを回収して、バリスタマシンにセットする。そしてグラインダーで1人分の豆を挽いてドリッパーに受け取り、バリスタマシンの「先ほどカップをセットした位置」の上にドリッパーを運ぶ。報道公開時は同時に2つのオーダーを処理していたが、ドリッパーやカップの位置を間違えることはなかった。
豆の入ったドリッパーと空のカップが揃うと、アームがバリスタマシンのボタンを押して抽出を始める。お湯を出す前にホースの中に残った、古くて温いお湯を排出する、という気の利いた一面もある。また、バリスタマシンは円を描くようにお湯を落とすため、しっかり豆を蒸らしながら淹れられるという。
コーヒーを注ぎ終わるとアームがカップを取り出し、提供口の透明なボックスのホルダーにカップを運び、ボックスの上にあるタブレットに呼び出し番号が表示される。購入者は先ほどのチケットの番号を確認して、自分のコーヒーを受け取ればよい。
と、利用者から見るとここで終わりだが、ロボットの仕事はまだ残っている。次のオーダーに備えて、抽出の終わったドリッパーから古い豆を捨てなければならない。アームはバリスタマシンからドリッパーを取り出し、背後にあるシンクに向かうと手首(?)を返し、豆を捨てる。同時にシンクから上向きに水が吹き出し、ドリッパーの洗浄を行なう。キレイになったところでドリッパーをバリスタマシンに戻し、一連の流れは終了する。QRコードの読み取りから始まってここまで、かなり動きが早いので、初見ではアームが何をしているのか分からず、思わず見入ってしまった。
取材中、アームが提供口にカップを置くのを一度失敗してこぼしてしまっていた。カップを置く位置は非常に繊細だそうで、提供口が透明なボックスで覆われているのは、こうしたアームのミスに対処するためのようだ。ちなみにコーヒーは老舗の小川珈琲の豆が使われており、試飲したがクセのないスッキリした飲み口であった。
実際の運用では、挽く前の豆を補充したりトラブルに対処したりと、人間のスタッフも常駐する。担当者によれば、「“変なカフェ”の変はストレンジのことではなく、変化し続けることを表わしており、ロボットによるコーヒーの提供を通じて、旅行を計画・相談するときにもエンタテイメントを感じてほしい」とのこと。