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ボーイング、LCC市場と新型機ボーイング 737 MAXシリーズの最新状況について説明
2017年9月19日 11:34
- 2017年9月15日 実施
ボーイング ジャパンは9月15日、現在のLCC(Low Cost Carrier)市場と同社の新型機であるボーイング 737 MAXシリーズに関する説明会を開催した。
ボーイングで民間機部門を担当するダレン・ハルスト(Darren Hulst)氏は、航空機産業がいかに世界にとって重要なものかという部分から解説。人と人とをつなぐという意味で航空業は経済成長の大きな牽引力となってきたという。
そのうえで、経済成長が顕著に見られるのがアジア地域だとし、20年前と将来の状況を比較して解説。「20年前は世界の旅客の2/3は北米・ヨーロッパで旅行をしていたが、現在はそれが半分以下に。北米・ヨーロッパは2035年には世界の航空移動の1/3になる」という。しかしながら、北米・ヨーロッパが縮小しているわけではなく、「アジアの航空業界が卓越したスピードで成長しているため」だとし、アジアは「2035年には世界の経済の40%強を占め、航空業界の移動量においても40%強を占める」と語る。
「もともと観光業は世界のGDPの10%を占めている。国際的に移動する人の54%が飛行機に乗って移動している。従って、航空業界は観光業を促進し、観光が成長すれば航空業界も成長する」と言い、近年のLCCの台頭によって観光業界は成長し、それが最も顕著なのがアジア地域だという。
「世界の航空業界の成長率は5%~10%と言われているが、LCCはその2倍になる」「世界の座席提供能力におけるLCCの割合は30%程度になる」と述べ、そのLCCが使用する航空機がコスト効率に優れるボーイング 737シリーズのようなシングルアイル(単通路)機であるとした。
その737シリーズの最新版が737 MAXシリーズとなり、737-800などの737 NGシリーズに比べ、燃料費を14%下げることができ、CO2の排出量も3670トン/年で改善することができるという。
また、737 NGシリーズに比べて航続距離も1000km程度伸びているので、東京から利用した場合、これまでよりも遠くの国まで飛んでいくことができることを図示し、路線設計の柔軟性が高いことを示した。
この737 MAXシリーズは、標準仕様で153座席のボーイング 737 MAX 7、178座席の737 MAX 8、193座席の737 MAX 9、そして204座席の737 MAX 10がある。すでにシリーズ合計で90社から3843機のオーダーがあり、先日のパリ航空ショーで正式発表したばかりの737 MAX 10でも16社から361機のオーダーが入っているとのこと。同クラスのライバルとなる、エアバス A321neoに比べてもコストが低いとし、機種ごとにどのようにコストが低いかを示した。
すでに737 MAXシリーズの基本モデルとなった737 MAX 8の航空会社への納入は始まっており、737 MAX 9は2018年、737 MAX 7は2019年、737 MAX 10は2020年に最初の納入を予定している。
ライバルとなるエアバス A321neoは、ANA(全日本空輸)が9月12日から就航しているが、現在この737 MAXシリーズについては日本の航空会社にどのようなセールス状態にあるのか正式な発表はない。仮に今(9月15日)注文したらいつ納入可能なのか聞いてみたところ「いろいろなお答えの仕方があると思う。シングルアイルに対する需要は我々の予想を超えている部分がある」と需要が強く予想しづらいとしたうえで、早期に導入するのであればすでに737 MAXシリーズを購入しているリース会社からリース運航するのも1つの方法であると述べた。