ニュース

ボーイング ダレン・ハルスト氏、「今後20年で4万3000機近いレベルの旅客機が必要に」

日本、韓国、台湾の北東アジア市場は、1450機の需要を予測

2018年9月27日 実施

今後の民間航空機市場について解説するボーイング 民間航空機部門 マーケット分析&セールスサポート担当 シニア・マネージング・ディレクターのダレン・ハルスト(Darren Hulst)氏

 ボーイング ジャパンは9月27日、東京において今後の民間航空機市場について「Commercial Market Outlook」と題した説明会を行なった。説明会はボーイング 民間航空機部門 マーケット分析&セールスサポート担当 シニア・マネージング・ディレクターのダレン・ハルスト(Darren Hulst)氏が担当し、今後20年を見据えた市場予測、およびその市場に対するボーイングの旅客機のアドバンテージを解説した。

 ハルスト氏は、最初に2018年の航空旅行の市場規模予測について紹介。2017年に40億人が移動していることから、2018年は44億人に達し、これは1日1200万人の人が利用していることになるという。航空旅行の市場規模は、とくに直近8年間の成長が目覚ましく、7%ほどの成長を見込んでいる。

 新興国の成長は目覚ましく、10年前は3分の1の市場だったものの、現在はその割合が半分になっているとのことだ。

航空旅行市場
8年間の成長
2000の新しい航空路線

 それらを踏まえた今後20年の航空機市場予測は、「今後20年で4万3000機近いレベルの旅客機が必要になる」といい、これは年間2100機の予測なる。市場のビッグプレイヤーであるボーイングとエアバスを足しても2017年は1500機の供給となっており、「今後も業界からの需要を満たすために、航空機を我々は供給し続けなければならない」と語った。

今後20年間の予測

 この多くの部分を占めるのが、ボーイング 737のような客席通路が1本のシングルアイル機。このシングルアイル機が73%を占め、ボーイング 787・777のような客席通路が2本以上あるワイドボディ機は19%ほど、三菱航空機 MRJのようなリージョナルジェット機は5%ほどとなる。

 この約4万3000機の内訳も、従来の旅客機の置き換えと、新規旅客機の導入とが半々程度で健全なバランスとみている。今後20年間で倍増すると予測しているため、航空会社は今後3.5%の成長を遂げていくという。

 日本については、韓国、台湾とともに北東アジア市場として予測。この北東アジア市場では今後20年間での需要予測は1500機ほど。その特徴としては、シングルアイル機とワイドボディ機が同程度になっていることが興味深いとのことだ。

需要の内訳
日本を含む北東アジア市場について
北東アジア市場の内訳
太平洋路線の成長
航空路の増加
ワイドボディにおいて北東アジア市場は大きな位置を占める
日本市場の成長について

シングルアイルマーケットについて

シングルアイルマーケット

 概要のあとは、シングルアイル機、ワイドボディ機それぞれについて説明。シングルアイル機は過去10年間で劇的に成長した市場で、過去10年間で6000機増加。これは60%の成長になるという。

 この背景にあるのが、シングルアイル機の輸送能力の拡大、そして効率のよさ。「我々の新しいボーイング 737 MAXは航空輸送業界の拡大を継続的にサポートするための準備が整っている」「100社のお客さまから5000機近いオーダーをいただいている」といい、すでに737 MAX 8と9を合わせて200機以上が就航。小型の737 MAX 7がフライトテスト中で、大型のMAX 10は2020年運航開始の予定とのことだ。

シングルアイルマーケットの成長
ボーイング 737 MAXファミリーについて
ボーイング 737 MAX 10

 とくに737 MAXシリーズで最大となる737 MAX 10は、ボーイングで最も座席当たりのコストが低い機種となり、20以上の航空会社から500機以上のオーダーを獲得。これは、「エアバス A320 neoに比べて、毎年航空会社のオペレーションに対して100万ドルの節約を提供できるから」という。

 この堅調な需要に対して、ボーイングは生産速度を増加。2018年の月産52機から、2019年には月産57機に生産速度を上げると語った。

ボーイング 737 MAXは月産57機に増産を図る

ワイドボディマーケットについて

ワイドボディマーケット

 ワイドボディマーケットについては、シングルアイルマーケットに比べ、航空会社が長距離で運航していることに言及。とくに30の新しい長距離ルートのうち、29はボーイング 787および777シリーズで運航されたことを強調。ワイドボディマーケットで大きな実績があり、さらに世界の路線で最も高い需要をけん引している太平洋横断路線では、85%のシェアを獲得しているという。

 ボーイング機の特徴としては、航空会社からのリピートオーダーが多く、これはボーイング機が支持されているエビデンスになるという。この高いリピートオーダー率は、ファミリーとしての存在があり、787シリーズでは-8から-10までの規模の柔軟性を提供できるのが要因とした。

 とくにボーイング 787-10では、エアバス A330に比べて25%燃料コストを節約でき、これは同じオペレーティングコストで50の座席を追加することが可能になる数字だという。

 この787の増産も行ない、2019年は月産14機体制を構築する。

30の新しい長距離路線のうち、29はボーイングの機種によって開かれた
ワイドボディでのボーイングのシェアは63%
とくにアジア地区では高く、85%
リピートオーダーが高いのが特徴
効率のよいボーイング 787-10
787シリーズも、月産14機に引き上げ

 このワイドボディマーケットにボーイングが新たに投入するのが、ボーイング 777Xと呼ばれてきた新型機。ボーイング 777-8(350~375席)と-9(400~425席)が発表されており、エアバス A350-1000より12%燃費効率がよく、シートコストも10%よい。

 すでに工場ではテスト機が完成しており、2019年に飛行テストを開始し、就航は2020年になるとのことだ。

ワイドボディマーケットの路線距離について
ワイドボディマーケットに新たに投入する777X
ボーイング 777-8と777-9
777Xの進捗
777ファミリーの実績
貨物市場について
2600機の貨物機が必要になるという
ボーイングの貨物機について
まとめ