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国交省、ボーイング 737型機にも搭載可能な新型保冷コンテナの開発に着手。地方から農林水産物を航空輸送

東プレ、トプレック、ヤマト運輸が研究開発に参加

2017年8月7日 発表

国交省が民間事業者と委託契約を結び、ボーイング 737型機でも利用可能な保冷コンテナの開発に着手

 国土交通省は8月7日、民間事業者と委託契約を締結し、温度可変機能などを有するLD-3型保冷コンテナやボーイング 737型機に搭載可能な小型保冷コンテナの研究開発を実施することを発表した。2019年までに農林水産物・食品の輸出額を1兆円とする目標の達成に向けての取り組み。

 日本国内の地方空港路線で多く利用されているボーイング 737型機の機体下部の貨物室は一般的な航空コンテナを積載できず、航空保冷コンテナを利用できない。このため、地方の産地から農林水産物や食品を輸出する場合は、最寄りの国際拠点空港までトラック輸送を行なっている。また、中型機/大型機に積載できる航空保冷コンテナもドライアイスによる保冷が主流となっており温度管理の精度に限界がある。

 この課題に対応するために国交省は、温度可変機能などを有するLD-3型保冷コンテナと、ボーイング 737型機にも搭載可能な小型保冷コンテナの研究開発に着手する。交通運輸分野の競争的資金制度として2013年度から始まった「交通運輸技術開発推進制度」において2017年度に新規採択されたもの。

 東プレ、トプレック、ヤマト運輸と委託契約を締結。2017年度から2019年度を期間とし、冷凍装置付きのLD-3型コンテナ、冷凍装置と温度可変機能付きのLD-3型コンテナ、ボーイング 737型機に対応する小型保冷コンテナの研究開発に取り組む。

 冷凍装置付きのLD-3型コンテナは2017年内に試作、年度内に性能評価などを行ない、2018年度から実証評価・改良。冷凍装置と温度可変機能付きLD-3型コンテナは2017年度内に仕様を検討し、2018年度に試作と性能評価、2019年度から実証評価・改良を行なう。小型保冷コンテナは2017年度内に仕様の検討と試作を行ない、2018年度から性能評価を実施。2018年度内に実証評価・改良をスタートする予定となっている。

研究開発に着手する保冷コンテナの研究開発スケジュール

 温度可変機能付きのLD-3型保冷コンテナは、既存の海外製品に比べて安価に保守整備が可能で、かつ商品の特性に合った定温輸送が行なえるものを開発し、国際航空輸送の低コスト・高品質化を目指すものとなる。

 一方の小型保冷コンテナは、地方空港に旅客便が多く就航しているボーイング 737型機に搭載可能とすることで、旅客機の貨物室に搭載して、地方産地から鮮度を保った状態で国際拠点空港までの短時間での航空輸送を目指すもの。

 これにより地方産地から海外まで一貫した、高品質なコールドチェーン物流の提供を可能とし、農林水産物・食品の輸出拡大を実現するのが狙い。