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ANAが支援するクラウドファンディング「WonderFLY」製品展示会

マイルでも支援が可能。3月27日0時00分申し込み締切

3月27日0時00分申し込み締切

東京 日本橋にあるスルガ銀行ANA支店 Financial Centerで行なわれた「ANAクラウドファンディング展示会」

 ANA(全日本空輸)は3月9日、東京・日本橋にあるスルガ銀行ANA支店 Financial Centerにおいて「ANAクラウドファンディング展示会」を報道向けに開催した。このANAクラウドファンディング展示会は、ANAが独自に取り組んでいるクラウドファンディング「WonderFLY」のプロトタイプ製品を紹介するもの。3月27日0時00分のファンド申し込み締切前に、実際に現在あるプロトタイプ製品を見てもらおうというものだ。

 展示会の冒頭、展示会場を提供するスルガ銀行ANA支店 ビジネス プランニング マネージャー 鈴木謙吾氏が挨拶。鈴木氏によると、ANAとスルガ銀行の協業は14年にもなり、スルガ銀行では「ANAマイレージクラブ Financial Pass Visaデビットカード」などを発行している。リアル店舗となるANA支店 Financial Centerは2016年10月21日にリニューアルオープンしたもので、ANAマイレージクラブ Financial Pass Visaデビットカードの即日発行機能を持つほか、ラウンジとしての機能を持つという。

日本橋のすぐ側にあるスルガ銀行 東京支店
東京支店の2階にスルガ銀行ANA支店 Financial Centerがある
2階への入口
受付
スルガ銀行株式会社 ANA支店 ビジネス プランニング マネージャー 鈴木謙吾氏
即日発行できるというANAマイレージクラブ Financial Pass Visaデビットカードのポスター

 そのANA支店に展示されたクラウドファンディング製品については、ANA デジタル・デザイン・ラボ チーフ・ディレクター 津田佳明氏が説明。そもそもANAが資金をインターネットで集め、起業を行なうクラウドファンディングを独自で手がけるのは、ANAのベンチャー精神にあるという。

 ANAは民間航空会社として2機のヘリコプターを所有する 日本ヘリコプター輸送株式会社から始まっており、ANAの航空便の記号が「NH」となっているのは、このNihon Helicopterがルーツであるのはよく知られているところ。

 60年以上の歴史を刻み今のような企業規模まで成長できたのは、ベンチャー精神にあり、そのベンチャー精神がANAのDNAに刻まれているという。

全日本空輸株式会社 デジタル・デザイン・ラボ チーフ・ディレクター 津田佳明氏
津田氏とともにWonderFLYを担当する全日本空輸株式会社 デジタル・デザイン・ラボ イノベーション・リサーチャー 梶谷ケビン氏
津田氏が上映したWonderFLYのコンセプト映像。ANAのベンチャー精神が語られている

 そうした企業文化を背景に、独自のクラウドファンディング「WonderFLY」を立ち上げ、現在は出資者を募っている段階にある。

 製品開発のアイデアを持つ開発者が製品製造に必要な募集金額と出資口数をエントリーし、そこに出資者が必要な口数を投資するという仕組みは一般的なクラウドファンディングと変わらないが、ANAのクラウドファンディング「WonderFLY」では、審査を伴う公募を行ない、試作品作りまでサポート。販売においても、ANAの通販や機内販売などのチャネルを提供できるとしている。また、通常のクラウドファンディングではクレジットカードなどを用いた現金で申し込む形が多いが、ANAではマイルでの申し込みを受け付けている。

 このWonderFLYでは、2016年10月3日に第1弾として「旅の常識を覆すモノ」というテーマで募集を開始。550件の応募があり、10作品のアワードを決定。もの作りで高い技術力を持つ東京都大田区の町工場に試作品製作で協力を得たこともあり、大田区の町工場からも1作品エントリー追加。計11作品がWonderFLYのWebサイトにエントリーされている。各作品は以下に掲載しており、作品名をクリックしてもらえれば該当作品の詳細Webページを見ることができる。

 展示会場では、いくつかの作品において開発者が実際にプロトタイプ製品展示を行なっており、実動デモなども行なわれていた。

SCOO

 折りたたみもできるモビリティースクーター(電動車いす)。お年寄り向けにシニアカーや電動車いすなどの製品が市販されているが、このSCOOは折りたたみができ、コンパクトなサイドステアリングシステムによってスムーズな操作が可能という。機内持ち込みできるサイズで設計されており重量は25kg。折りたたんだ場合、スーツケースを引くような形で移動できる。バッテリはリチウムイオン電池で、満充電で2時間程度の動作が可能という。

開発者である高橋製瓦株式会社 高橋陽介氏が実演
モビリティースクーター(電動車いす) SCOO
リチウムイオンバッテリはこの位置に
日米欧の規定に従っているため、バッテリは機内に持ち込める
家庭用電源での充電も可能
SPLIT FORK & CHOPSTICKS

 フォークの形状をした割り箸で、デザインはJUN TAKAGI氏。割り箸をフォーク形状にすることで、フォークとして使えるほか、割り箸としても利用できる。ただ、割り箸を作る機械とフォークを作る機械は異なるため、新たな型が必要で、実際に製品化するにはそのための資金調達が必須とのこと。箸に慣れ親しんだ日本人でも、フォークを使い慣れた外国人でも同じ食事のためのツールを共有できるのがポイントとのこと。

デザイナーであるJUN TAKAGI氏が遅れているため、奥様が代わりに説明
このような紙袋に入っている
Kimonoket

 大正ロマン着物・銘仙+今治のタオルメーカー+空の旅という製品。あらかじめ染めた3色の糸によって織り込まれており、手触りは厚手のガーゼという優しいもの。柔らかい素材のため、袖を通すタオルケットとして、また、通常のローブとして使うこともできる。こちらは、すでに153%の出資を得ており、2017年夏の製品化を予定している。

今治のタオルメーカーでなければできない製法で作成
表と裏で糸の色が異なる。3色の糸によって織られている
SHIZUKU

 “氷出し”茶などを作るためのアイテム。上部はステンレス製の金属で、下部はガラスでできており、上部のステンレンス部分に茶葉と氷を入れ、ゆっくりと茶を抽出。およそ5時間程度抽出時間がかかるという。低温で長時間かけてお茶を抽出することで、お茶の甘みが最大限に引き出せるという。のんびり抽出する過程も長距離旅行などでの楽しみにつながる。

SHIZUKUは“氷出し”という抽出方法に便利なアイテムとして設計
ステンレス製の蓋は取ることができ、この中に茶葉と氷を入れる
Selfie 360

 スマホで自撮りを含めたパノラマ写真を撮影するアイテム。開発者は観光地でパノラマ写真を撮ってみたら、自分が写っていないことに気がついたことがきっかけで作られた。ゼンマイで動くプリズムと、撮影した写真をスティッチするアプリからなり、当初はiPhone向けのiOS対応版を用意。ゼンマイ式でプリズムが回ることから電池切れの心配もないという。

自分の旅行体験から設計したというSelfie 360
ゼンマイを動力として、カメラ部のプリズムを回転
Taste Keeper

 ワイン酸化防止グッズがTaste Keeper。ワインの酸化防止グッズとしては瓶の上部にポンプを取り付け、空気密度を低くすることで酸化を防ぐものなどがあった。Taste Keeperは比重1.0を切っているためワインに浮き、ワインの表面をTaste Keeperで覆うことで酸素との接触面積を減らし、酸化防止になるという。ポイントは手軽なことで、Taste Keeperをワインボトルの中に入れるだけでよく、入れたままワインを注ぐこともできる。ポンプ式のような面倒な作業が不要になっているとのことだ。

Taste Keeperをワインボトルの中に入れると、比重の関係でワインの上に浮き酸素との接触面積を減らす

 ANAクラウドファンディング展示会で開発者がプレゼンした製品は以上になるが、ANAクラウドファンディングのWebサイトにはそのほかの製品の情報やクラウドファンディングの進捗率も表示されている。実際にそれらの製品情報を見ていただき、気に入った製品についてはマイルなどで支援を行なってみるのもありだろう。新しいトラベルグッズの誕生を後押しできるほか、出資者の特典としていち早くそれらの製品を手に入れることができる。

 申し込みの締切は3月27日0時00分。0時ちょうどが締切となっているため、実際に申し込むには26日中に申し込み手続きを開始しておこう。