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スルガ銀行ANA支店のリアル店舗「スルガ銀行ANA支店 Financial Center」オープン

旅のヒント獲得や金融相談、顧客同士のコミュニティの場に

2016年10月21日 オープン

 スルガ銀行とANA(全日本空輸)は10月21日、東京・日本橋のスルガ銀行スルガビル2階に、「旅」と「金融」をコンセプトとした「スルガ銀行ANA支店 Financial Center」をオープンした。

 両社は2004年4月にインターネット支店であるスルガ銀行ANA支店を開設。銀行口座とANAマイレージクラブ機能を一体化したカードのほか、2015年1月には、「Visaデビット」「スルガ銀行のキャッシュカード」「ANAマイレージクラブ」の3つの機能をまとめたカード「ANAマイレージクラブ Financial Pass Visaデビットカード」を提供してきた。

 給与振り込みや口座振替などスルガ銀行ANA支店の取引や、クレジットカードの利用ポイントとしてANAのマイルを貯めることができる特徴がある。Visaデビットカードとしては他機関から発行されているものと同様で、海外でも現地で両替をすることなく、スルガ銀行ANA支店の口座から即時決済することもできる。また、海外旅行傷害保険も自動付帯となっている(国内旅行は利用付帯)。縦向きをベースとしたデザインも特徴。

 このほか、預け入れや1年ごとの自動継続でマイルが貯まる「マイル付き定期預金」、契約から最長10年まで毎年マイルがプレゼントされる「マイル付き住宅ローン」、6通貨に対応し月末残高に応じてマイルを付与する「マイル付き外貨定期預金」といった、ANAマイレージクラブと連携した金融商品を提供。普通預金の残高が不足した場合に自動融資を行なう「SMART BANKサービス」も提供する。

「ANAマイレージクラブ Financial Pass Visaデビットカード」のデザイン。縦向きのデザインが特徴

 この「ANAマイレージクラブ Financial Pass Visaデビットカード」を中心とした相談窓口として、東京日本橋のスルガ銀行スルガビル1階に「ANA支店 FINANCIAL SPACE」を開設。特に住宅ローンや相続など、インターネット支店では難しい細かい相談を受けられるリアル店舗を展開した。

 これを拡張したものが、10月21日にオープンした「スルガ銀行ANA支店 Financial Center」となる。敷地面積が99m2だったANA支店 FINANCIAL SPACEに対して、ANA支店 Financial Centerは約463m2と約5倍のスペースへ拡張された。

スルガ銀行ANA支店 Finalcial Center

所在地:東京都中央区日本橋室町1-7-1 スルガ銀行スルガビル2階
営業時間:9時~18時(平日)、10時~18時(土日祝日) ※平日15時以降と土日祝日は相談業務のみ

東京・日本橋にあるスルガ銀行スルガビル
エレベータを使って2階へ上がったときに目にする入り口
エスカレータを使って2階へ上がると受付カウンターの目の前に来る
スルガ銀行株式会社 代表取締役社長 米山明宏氏

 同日行なわれたオープニングセレモニーでは、冒頭でスルガ銀行 代表取締役社長 米山明宏氏が挨拶。スルガ銀行はリテールに力を入れてきたとしたうえで、「お客さまとの接点に対して非常に気を遣うようにしなければならないという思いで営業を続けてきている。従来の視点ではお客さまに預金やローンを提案することが主目的だったが、これからはそれだけでは足りない。お客さまのライフスタイルに合った提案をしなければらない」と、従来の銀行支店からのコンセプトの変革について言及。

 その具体的な取り組みとして、「2007年にd-laboを、将来のお客さま接点の新しい形を目指して創設した。そのd-laboを進めてきたなかで、テーマ性やコミュニティといったエッセンスを入れることで化学反応が起きると考えた」と、ANA支店 Finacial Center開設の背景を説明した。

 ANA支店 Financial Centerでは、「お客さまとのエンゲージメントは大事だが、このスペースを活用いただくことで、お客さま同士がつながる、コミュニティのようなものを作っていくところに力を入れたい。ネットの世界では当たり前だが、リアルの世界でもエンゲージメントを推進できるような施設にしたい」との方針を示し、「エンゲージメントの形はいろいろあるので、この施設を活用することで探求していく。ANAとも一緒に作っていく。お客さまを通しても作っていきたい。ご意見をいただくと思うが、それらを運営に活かしたい」との意欲を示した。

 会見後の囲み取材で、顧客同士のコミュニティについて答えた米山氏は、「お客さま同士がコミュニティのようなものを作るプラットフォームとして使っていただければと思う。ANAは飛行機以外にもいろいろ事業をされているので、枠を定めずにチャレンジしていきたい。(具体的な施策としては)ロードバイクや鉄道模型が好きな方のコミュニティに提案していくことを続けてきている。同じように空や旅といったお客さまの夢を実現できるものを支援していく」と説明。

 また口座の開設数などの目標に対しては、「ここは夢を実現するための研究所。その一つとして預金やローンが生まれる。従来の支店との違いは、物(金融商品)を売るのではなく、お客さまの夢や人生のなかで、たまたま金融が必要な場面があれば入っていく、お客さまに引っ張っていただく。銀行の新しい形を模索していくのが主目的」と、従来的な口座数やノルマなどは設定していないとした。

全日本空輸株式会社 取締役 常務執行役員 志岐隆史氏

 会見では、米山氏に続いて、ANA取締役 常務執行役員 志岐隆史氏が挨拶。「2004年にインターネットにスルガ銀行ANA支店を開設した当時は、ANAの社員も“変わったことをするな”とスルガ銀行にも興味が沸いたという状況だった。昨年2015年1月にスルガ銀行ANA支店リアル店舗(FINANCIAL SPACE)が、10年経ってついに誕生した。当時の岡野喜之助スルガ銀行副社長と、昨年のこの場でオープンセレモニーをしたことを思い出す。その後、(2016年7月に)急にお亡くなりになられて残念だったが、その意を汲んで発展させていきたい」と、まずはANA支店のこれまでを振り返った。

 今回のANA支店 Financial Centerについては、「2016年に入り、このような素晴らしいところにグレードアップしていただいた。ANAの機体がいろんなところに置いてあるが、もう運航していないジャンボ(ボーイング 747型機)や、昔懐かしいマリンジャンボなど、いろいろ拝見してうれしく思っている」と喜びを示したほか、「今は10万8000口座。どんどん成長していきたい。米山社長のお言葉で『永遠の未完成、これ完成なり』とある。ずっと、この未完成のまま、理想を追い求めてどんどんどんどん大きくなっていきたい」と意気込みを見せた。

 この後、館内にある約50機を配置した「モデルプレーン・モニュメント」の除幕式やテープカットが行なわれた。

モデルプレーン・モニュメントの除幕式。ANAからは志岐隆史氏、稲田剛氏、今西一之氏(ANAセールス代表取締役社長)。スルガ銀行からは専務取締役の岡崎吉弘氏のほか、麻生治雄氏、青木孝弘氏が参加
スルガ銀行株式会社 代表取締役社長 米山明宏氏(中央右)、全日本空輸株式会社 取締役 常務執行役員 志岐隆史氏(中央左)によるテープカット

 スルガ銀行ANA支店 Financial Centerは、内装は空港や滑走路をイメージしたデザインで、中心に除幕式が行なわれたモデルプレーン・モニュメントを設置。全日空商事がANAのオンラインショッピングサイト「a-style」で販売しているANAオリジナル商品も、定期的に商品を入れ替えながら展示する予定。ただし、銀行で物販ができないため、ここでは紹介のみとなっている。今後、QRコードを用意するなど、販売サイトに誘導する仕組みなども検討しているとのことだ。

 銀行支店の機能としては、ANAマイレージクラブカード Financial Pass Visaカードを最短30分で即時発行が可能。10月21日~12月22日に即時発行で入会した人に500円をキャッシュバックする記念キャンペーンも実施する。

 館内は個室のほか、ソファや、すべての席が外を向いた10mのカウンター席も設けられており、プライバシーに関わる内容はもちろん、カジュアルな雰囲気での相談にも対応できる施設となっている。

 このほか、220インチのLEDパネルも設置されており、定期的にセミナーやイベントを開催することも検討している。11月には航空ジャーナリストを講師に招いて、飛行機の楽しみ方や機内サービスなどについて紹介するセミナーが予定されているという。

 スルガ銀行 d-laboの鈴木謙吾氏によれば、「ANAマイレージクラブ Financial Pass Visaデビットカード」の利用者は、20代女性、出張が多い男性、リタイア世代に大きく分かれるという。リタイア世代ではマイル付き定期預金を利用してマイルを貯めて旅行するといった用途で使われるそうだ。

 米山社長のコメントにあった“お客さま同士のコミュニティ”について鈴木氏は、あくまで個人的な希望と断わったうえで「セミナーに何度か集まった方たちでコミュニティが形成されて、スルガ銀行ANA支店のカードを持って一緒に旅に行く」といった展開にも期待した。

館内はカーペットとモルタルのコントラストで滑走路をイメージした床面デザインに
約50機のモデルプレーンを配置したモニュメント
懐かしのマリンジャンボも
モデルプレーンは螺旋を描いて上昇していくような配置になっている
10mあるというカウンターは全席が窓向き
個室となっているミーティングルームも用意されている
館内の各所にモデルプレーンが展示されている
旅やライフプランに関する書籍700冊ほどを用意する書棚。銀行に用がなくても本を読みに来るのも歓迎とのこと
全日空商事が扱っているオリジナルグッズなどを展示
220インチのLEDパネル。旅のヒントになるコンテンツなどを流す予定。イベントやセミナーなどにも活用される
オープニング記念で作られたという映像は、スルガ銀行ANA支店 Financial Centerを出発して、羽田空港から旅に出るイメージ