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ANA、12月から「Tastes of JAPAN by ANA WAKAYAMA」スタート。和歌山県の魅力発信

「就航していない県でも気にせずに全世界にアピール」

2016年12月~2017年2月 実施

記者発表会には和歌山県出身のANA関西空港支店 旅客部所属のCAも参加した

 ANA(全日本空輸)は、日本各地の地方の魅力を国内外に発信するプロジェクト「Tastes of JAPAN by ANA」の第14弾として、2016年12月~2017年2月の3カ月間、東京都、群馬県、和歌山県の3都県を特集する。このうち、和歌山県との取り組み「Tastes of JAPAN by ANA WAKAYAMA」について11月24日、和歌山県の県民交流プラザ 和歌山ビッグ愛で和歌山県、関西エアポートとともに記者発表会を実施した。

 Tastes of JAPAN by ANAは2013年9月にスタートしたもので、3カ月ごとに3都道府県を取り上げ、約4年をかけて47都道府県すべての「食」「酒」「スイーツ」「文化」などを紹介していくもの。

 2016年12月から2017年2月までの3カ月間で取り上げる和歌山県は、ユネスコの世界遺産でもあり、1936年の国立公園指定から80周年を迎える熊野・吉野のほか、大河ドラマ「真田丸」で話題の真田信繁(幸村)が幽閉された九度山、国内屈指の温泉・ビーチリゾートである南紀白浜など、さまざまな名所、観光地を有する。さらに今年2016年は、享保の改革や、TVドラマ「暴れん坊将軍」のモチーフとなったことでも知られる紀州藩出身の徳川吉宗が、1716年に江戸幕府の第8代将軍に就任してから300周年を迎えた年でもある。

記者発表会の参加者。前列左から和歌山県食品産業協議会 会長 妙中清剛氏、全日本空輸株式会社 取締役常務執行役員 志岐隆史氏、和歌山県知事 仁坂吉伸氏、関西エアポート株式会社 執行役員 田中淳隆氏、和歌山県酒造組合連合会 会長 中野幸生氏。後列中央右側は全日本空輸株式会社 上席執行役員 関西支社長 新居勇子氏。関空の「カンクン」(後列左)、和歌山県の「きいちゃん」も(後列右)
全日本空輸株式会社 取締役常務執行役員 志岐隆史氏

 24日に行なわれた記者会見で挨拶したANA 取締役常務執行役員の志岐隆史氏は、「Tastes of JAPAN by ANAは3年目になるが、2013年9月に熊本県を皮切りにスタートした。そのときは、このようなシリーズとして始めたわけではなかったが、せっかくなので日本全国47都道府県を全部やってみようとなった。今回で36番目、37番目、38番目となる、東京都、群馬県、和歌山県の3都県を2016年12月~2017年2月に取り上げる」と、12月からのTastes of JAPAN by ANAについて紹介。

 さらに、「ちょうどこの12月~2月の間には、いま人気になっている(大河ドラマの)『真田丸』の総集編がおそらく放映されると思うが、今回は群馬県の沼田城、和歌山県は九度山で真田に縁がある。12月~2月は花が厳しくなるが、和歌山は2月に梅林が非常に美しいところもあり、そういったきれいなところをアピールしていければと思う」と、和歌山県を含む今回の取り組みへの意気込みを示した。

 なお、和歌山県は南紀白浜空港を有するが、ANAの便は同空港に就航していない。そうした都道府県を取り上げることについて志岐氏は「そんなことは気にせずに! 全世界にアピールしていくスタンス」とコメント。さらに、発表会後の囲み取材で、和歌山県への誘客方法について「他府県ではあるが関空がすぐそばにあって、ここは国際線もいろんな航空会社が飛んでいるので、こことつなげる。羽田からの路線も多く、羽田からの国際線も増えている。このルートでアジアや欧米からたくさんのお客さまを連れてこられれば」と述べた。

 同じく囲み取材の場においては、和歌山県との取り組みについて、「12月~1月は年末年始をはさむ、皆さんがいろんなところに行かれるシーズン。和歌山は寒い時期にいろんなイベントがある。イルミネーションもいろんな土地でやってらっしゃるし、2月にもお燈まつりのような大々的なイベントがある。非常に面白い時期に、面白いところを取り上げさせていただけるのが楽しみ」とコメント。

 加えて、食については、「日本酒が海外でも人気が上がってきていて、和歌山県にもたくさんの日本酒の銘柄が揃っているので、たくさんアピールできる」としたほか、「個人的にはウツボがよいと思うが、海外の方にはスムーズに受け入れられないところがあって、来ていただいて食べていただければ」と今回の取り組みで紹介できていない同県の魅力にも言及した。

和歌山県知事 仁坂吉伸氏

 続いて、和歌山県知事の仁坂吉伸氏は、まず「和歌山は美味しいものがいっぱいあると思っているが、こういうANAのツールを使って、全国あるいは全世界に発信できたらよいと思う。数えてみたら、30業者、1市場調達、43品目を機内食やラウンジで活用していただける」と、ANAのこの取り組みに感謝。

 さらに、「ANAの翼が今の10倍ぐらい世界中を飛びまわって、次回やっていただくときは、その10倍の迫力で世界にアピールできることを心よりお祈り申し上げたい」と、将来への希望を述べた。

関西エアポート株式会社 執行役員 田中淳隆氏

 最後に、隣県である大阪府にある関西国際空港から、関西エアポート 執行役員の田中淳隆氏が会見に参加。前述のとおり、ANAは南紀白浜空港に就航しておらず、同田中氏は、「国際線が中国・香港の6都市を毎日直行便で7便、国内線が6都市、毎日15便運航している。国際線と国内線の乗り継ぎも便利」と関空におけるANAのネットワークを紹介。

 ANAと和歌山県の取り組みについて、「和歌山県は関空へ40分ほどで行ける一番近い国際空港。関空を窓口として和歌山県の発展に寄与していければと思う。日本が誇る、日本の価値を国内外へ向けて発信していく取り組みは非常に貴重なので、我々空港会社としても地域の活性化や訪日旅行客の需要拡大に寄与する」と協力的な姿勢を示した。

 和歌山県については、「世界遺産に登録されている高野山や熊野古道。そのほかにも、温泉や和歌山城、今回の取り組みで食材になっている紀州南高梅など、いろいろなものがあって、ほかの都道府県にはない歴史、風土、雰囲気がある。世界中にネットワークを持っているANAが和歌山県の魅力を発信していただける意義は大きい。こういうものを食していただく形で興味を持っていただき、1度ならず、2度、3度、それ以上に和歌山県を訪れていただく機会になればと思う」と期待した。

全日本空輸株式会社 上席執行役員 関西支社長 新居勇子氏

 さらに会見の最後には、ANA 上席執行役員 関西支社長の新居勇子氏が閉会にあたっての挨拶を述べた。「3カ月間で、東京都、群馬県、そして和歌山県を紹介していくが、和歌山県の食材、お酒を一番たくさん採用している。使われているのは海の幸、山の幸、お酒、そしてブランドである梅が大いに評価されたもの。聞くところによると梅をたくさん食するのは日本人とのことで、私どもの機内やラウンジで梅を多く使ったメニューを国内外のお客さまに提供することで、梅を知っていただくきっかけになればと思っている」と、同県の食材の魅力を紹介。

 さらに「関西エアポートの方からも紹介があったが、関空から多くの国内線、中国5路線、香港線と運航している。10月末から羽田経由でニューヨーク、シカゴといった東海岸にも便利に行けるようになったのでご利用いただければ。今回に限らず、私どもの媒体を使って、和歌山県を紹介していきたいと思っている」と、改めて関空の同社のネットワークと、昼間時間帯に開設された羽田空港発着北米路線もアピールした。

Tastes of JAPAN by ANA WAKAYAMAの取り組み

 Tastes of JAPAN by ANA WAKAYAMAは、過去の同プロジェクトと同じく、ラウンジ、機内食、機内販売、機内放映番組、Web通販サイト、WebプロモーションとしたANAが持っている媒体を通じて、地域の魅力を最大限にアピールしていくものとなる。具体的な取り組みは下記のとおり。

機内食

 国際線のファーストクラスとビジネスクラスにおいて、路線別、期間別に和歌山県産食材を盛り込んだ機内食を提供する。

野菜のマリネとトマトのジュレを海の生ハムで巻いて

 那智勝浦町で生産される魚を原料とした「海の生ハム」。添えられた野菜との食感を楽しめる。

提供路線:欧米路線・シンガポール路線の一部の便(日本発)
提供クラス:ファーストクラス
提供期間:2016年12月1日~2017年2月28日

郷土料理 和歌山

 和歌山の食材をふんだんに使ったもので、紀州の梅を飼料とした紀州梅まだい(真鯛)を使った主菜は、さっぱりとした脂と淡泊な旨味が特徴。南高梅をアゴの出汁につけ込んで旨味が一体となったほんのりとした味わいのアゴだし梅も注目ポイント。

提供路線:バンコク・シンガポール・ジャカルタ・クアラルンプール路線(日本発)
提供クラス:ビジネスクラス
提供期間:2016年12月1日~2017年2月28日

「郷土料理 和歌山」
仁坂知事、ANA志岐常務も主菜を試食
紀州梅まだいのソテー トリュフの香るクリームソース

 同じく紀州梅まだいを使ったソテー。淡泊な白身をコクのあるクリームソースで味わえる。

提供路線:欧州路線(日本発)
提供クラス:ビジネスクラス
提供期間:2016年12月1日~2017年2月28日

紀州梅まだいのソテー トリュフの香るクリームソース
牛フィレ肉のソテー紀州南高梅とグリーンペッパーのソース

 牛フィレ肉のソテー。種なし梅が添えられるほか、フォンドボーベースのソースなどに紀州の梅を使用している。

提供路線:北米路線(日本発)
提供クラス:ビジネスクラス
提供期間:2016年12月1日~2017年2月28日

オムレツ 和歌山うめどりと山椒のウィンナーハーブ風味のクリームソース

 山椒入りのウィンナーソーセージに和歌山県産品を使用。和歌山県産の紀州うめどりと山椒入りの少しピリッとするソーセージを添えた。

提供路線:欧米路線・バンコク・シンガポール路線(日本発)
提供クラス:ビジネスクラス
提供期間:2016年12月1日~2017年2月28日

紀州うめどり 海鮮醤入り香味ソース

 紀州うめどりの香味揚げを、海鮮醤入りの香味ソースでさっぱりとした味に。

提供路線:中国・韓国・台湾・マニラ路線の一部の便
提供クラス:ビジネスクラス
提供期間:2017年1月1日~1月31日(韓国路線は1月1日~1月15日)

紀州うめどり 海鮮醤入り香味ソース
ヨーグルトムース 紀州南高梅ジャム

提供路線:ミャンマー・ベトナム・カンボジア・中国・台湾・マニラ路線(日本発)
提供クラス:ビジネスクラス
提供期間:2016年12月1日~12月31日

 ヨーグルトムースに金柑を乗せ、そこにフルーツのような完熟梅の甘酸っぱい香りとまろやかな果実をそのままジャムにした紀州産南高梅プレミアムジャムを添えた。

ヨーグルトムース 紀州南高梅ジャム

ラウンジ提供メニュー

 羽田空港の国際線 ANA SUITE LOUNGEにある、常駐シェフが注文を受けてから調理するレストラン形式のラウンジ「DINING h」では、12月と2月にそれぞれ和歌山県産の食材を使ったメニューを提供。1月は同じく羽田空港国際線 ANA SUITE LOUNGEで、スイーツを提供する。

国産牛ロースのステーキ 梅塩とともに

 和歌山県産の梅塩と和風ソースとともに好みに焼いてもらえる国産牛ロース本来の旨味を楽しめる。

提供ラウンジ:羽田空港国際線 ANA SUITE LOUNGE DINING h
提供期間:2016年12月1日~12月31日

和歌山県産足赤えびの衣揚げ スパイシークリームソース サラダ仕立て

 和歌山産の足赤えびを衣揚げにし、スパイスや豆板醤のピリ辛クリームソースを合わせた。酸味の利いたサラダとともに楽しめる。

提供ラウンジ:羽田空港国際線 ANA SUITE LOUNGE DINING h
提供期間:2017年2月1日~2月28日

和歌山県産足赤えびの衣揚げ スパイシークリームソース サラダ仕立て
ANAオリジナルパフェ 日本の冬の風物詩

 和歌山県産温州ミカンのコンフォートをパフェに入れた、こたつのなかでミカンを食べるイメージで楽しめるスイーツ。

提供ラウンジ:羽田空港国際線 ANA SUITE LOUNGE
提供期間:2017年1月1日~1月31日

 また、和歌山県産の日本酒計14銘柄を羽田空港国際線、関空国際線のANA LOUNGEで提供。羽田空港国際線 ANA LOUNGEでは1カ月4銘柄ずつを3カ月間、関空国際線 ANA LOUNGEでは2銘柄を3カ月間提供する。

2016年12月、羽田空港国際線 ANA LOUNGEで提供

・尾﨑酒造株式会社「太平洋 純米吟醸」
・髙垣酒造株式会社「純米 紀勢鶴」
・株式会社九重雜賀「純米吟醸 雑賀」
・初桜酒造株式会社「純米酒 高野山 般若湯」

2017年1月、羽田空港国際線 ANA LOUNGEで提供

・平和酒造株式会社「紀土 純米酒」
・中野BC株式会社「純米酒 紀伊国屋文左衛門<五百万石>」
・株式会社名手酒造店「純米吟醸 黒牛」
・田端酒造株式会社「羅生門 純米吟醸」

2017年2月、羽田空港国際線 ANA LOUNGEで提供

・祝砲酒造株式会社「純米酒 紀州魁」
・天長島村酒造株式会社「吉宗 本醸造」
・株式会社世界一統「純米吟醸 南方」
・尾﨑酒造株式会社「熊野三山 吟醸酒」

2016年12月~2017年2月、関空国際線 ANA LOUNGEで提供

・株式会社世界一統「超辛口純米 南方」
・田端酒造株式会社「羅生門 純米 からくち」

2016年12月に羽田空港 ANA LOUNGEで提供するお酒
2017年1月に羽田空港 ANA LOUNGEで提供するお酒
2017年2月に羽田空港 ANA LOUNGEで提供するお酒
2016年12月~2017年2月に関空国際線 ANA LOUNGEで提供するお酒

機内サービス

 国内線機内サービス「My Choice」で、中田食品の「ゆず梅酒スパークリング」を有料販売する。完熟南高梅を使って熟成したまろやかな梅酒に炭酸を加え、和歌山県古座川町産ゆず果汁をブレンドして、さわやかさと清涼感を味わえる。

 提供期間は2016年12月1日~2017年2月28日。価格はおつまみ付きで700円。

中田食品の「ゆず梅酒スパークリング」。左はこのスパークリング梅酒の発売元である中田食品株式会社の代表取締役社長 中田吉昭氏
ANA My Choiceで提供する「ゆず梅酒スパークリング」。写真奥にあるのが、ブレンドしている和歌山県古座川町産のゆず
中田食品ではこのほかにも南高梅を利用したさまざまな商品を展開している

機内番組

 カメラを搭載したドローンで上空から撮影した高野山、友ヶ島、白浜などの風景や、名物特産品を紹介するオリジナル機内番組「SKY EYE~空からのメッセージ~和歌山編」を放映。放映便は2017年2月1日~2月28日の国内線奇数便、2017年2月1日~4月30日の国際線全便(一部機材除く)。

機内誌

 月替わりで各地の隠れたグルメを紹介しているコーナーで、2017年2月号に湯浅町の「醤油」の特集ページを掲載する。

通信販売

 ANAの公式ECサイト「A-Style」で、和歌山県特産品を順次販売。一部はすでに販売を開始している。また、A-Styleでは2月に和歌山県特集も予定している。

販売品目

・<和歌山県産>生姜丸しぼりジンジャーエール(販売中)
・<和歌山県産>あんぽ柿(販売中)
・紀州産小梅干のオリーブオイル漬け(販売中)
・紀伊国屋文左衛門 大吟醸 黒(12月27日から販売開始)
・雑賀 純米大吟醸 梅酒 2本セット(12月27日から販売開始)

地域と連動した取り組み

 和歌山県のインフォメーションとして「水の国、わかやま。」「おとなの白浜さんぽ」の2つのキャンペーンを紹介。

 さらに、和歌山県は「鬪鶏神社」(田辺市)、女人道(高野町)が世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に追加登録され、世界遺産地域が拡大。ANAはユネスコ公式サポーターとして、日本ユネスコ協会連盟とともにこれらの保全活動に協力していく。

キャンペーンの紹介や世界遺産保全活動など、和歌山県と連動してさまざまな取り組みを実施する