トピック

フィアット「500X」&アバルト「595 コンペティツィオーネ」を北の大地で楽しむ!!

札幌近郊の観光地「定山渓」周辺をドライブし、2台の魅力を実感

フィアットとアバルトブランドの魅力を探るため、北海道へ行ってきた

北海道で2台の魅力を探る

 フィアットブランドで販売する初のスモールSUVとして、2015年10月から日本に導入された「500X(チンクエチェントエックス)」。2008年に発売が始まった「500(チンクエチェント)」は、愛らしいルックスと個性溢れるインテリアデザイン、バリエーション豊富なカラーなど、唯一無二のイタリアンコンパクトカーとして年代や性別を問わずに支持を受けている。そんな大人気の500ファミリーとして誕生したのが500Xになる。

 500Xのエクステリアデザインは、500のファミリーとすぐに判断できるヘッドライトや横基調のフロントグリルなどを用いているが、じっくり見ていくとより精悍さを増すためにダイナミックなデザインを採用していることが分かる。コンパクトに見えるボディサイズだが、実際の車両サイズは全長が4270mm(Cross Plusの場合)、全幅が1795mmとなり、500より全長は700mm、全幅は170mm拡大されている。

 機能性では、最上級の4輪駆動モデルとなる「Cross Plus」にコンパクトSUVのセグメントとしては初となる9速ATを搭載。4輪駆動のシステムは、同じFCAグループの「ジープ」と同様に高い機能性を誇る。愛らしいルックスに相反して、ライバル車を寄せ付けない高性能を有しているのも500Xの特徴の1つになる。

フィアットブランド初のスモールSUV「500X」は、7月1日に仕様変更を実施。今回試乗した「Cross Plus」(339万1200円)では、レーダーセンサーで前方の車両を認識して一定の車間距離を保ち、自動で速度を調整する「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」を標準装備した。パワートレーンは直列4気筒1.4リッターターボエンジンに9速ATの組み合わせ

 ファミリーユースも考慮したスモールSUVの500Xに対して、ドライバーの欲望を満たしてくれるのがアバルトブランドの「595 コンペティツィオーネ」だ。

 フィアットというブランド名は聞いたことがあるが、アバルトは馴染みがないという人に説明すると、アバルトは誰でも所有できるフィアットという大衆車をベースにチューニングを施してきたメーカー。その歴史は1949年に始まり、1950年代後半から1960年代にかけて数々のレースで優勝を遂げる。今でもブランドのシンボルとなるサソリのマークは、ハイパフォーマンスカーの象徴となっている。その後、フィアット傘下に入り、2007年から独立したメーカーとなり、2009年から日本でもアバルトの販売が開始されている。

 そんなアバルトが、フィアット 500をベースにした究極のチューニングモデルがアバルト 595 コンペティツィオーネ。ベースモデルである500の雰囲気は残っているが、専用のエクステリアとインテリア、専用チューニングを施したエンジン、ブレーキ、シャシーなどすべてがオリジナルで作り上げられた1台となる。

鮮やかなイエローのボディカラーを身にまとうのは、アバルトブランドのハッチバックモデル「595」シリーズのハイエンドモデル「595 コンペティツィオーネ」。3660×1625×1505mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2300mmというコンパクトなボディに、最高出力132kW(180PS)/5500rpm、最大トルク230Nm(23.5kgm)/2000rpm(SPORTスイッチ使用時は250Nm[25.5kgm]/3000rpm)というハイパワーを発生する直列4気筒DOHC 1.4リッターターボエンジンを搭載

 この2台を連ねて北海道をドライブしようというのが今回の企画。北海道といえば富良野のラベンダー畑やどこまでも続く1本道、小樽の倉庫群や運河を思い浮かべるかもしれないが、今回の主旨は2台の魅力を探ること。そこでスタート地点となった札幌市内からほど近く、それでいて高速道路あり、ワインディングありとさまざまなシチュエーションを走れるということで定山渓を目指すことにした。

 定山渓は札幌市内から南西部に位置する温泉街やダム、スキー場などがある地域で、札幌近郊の観光地となっている。

札幌の拠点は、株式会社 北海道ブブ フィアット/アバルト札幌東。フィアットとアバルトブランドを統括するFCA ジャパンは、2016年7月1日よりフィアット正規ディーラーでアバルトの販売を開始。フィアット/アバルト札幌東はその併売を開始した第1号店になる。なお、同店では来場者に両ブランドのモデルの魅力を知ってもらうため、混雑する道からちょっとしたワインディングまでおよそ10kmの試乗コースを用意している

まったく性格の異なる2台

 札幌市内を出発し、まずは札樽自動車道を走行。500Xは7月1日からマイナーチェンジしたモデルの販売が始まっており、試乗したモデルはマイナーチェンジ後の車両になる。マイナーチェンジでは、従来から標準装備されていた衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備に加えてACC(アダプティブクルーズコントロール)が採用された。ACCとは、車両に備えられたレーダーセンサーやカメラによって先行車を捉え、一定の車間を保ちながら自動で速度を調整してくれる機能。高速道路や長距離移動の際にドライバーの疲労を軽減する運転支援システムになる。

 札樽道では500XのACC機能を使いながら走行。500Xに採用されているのはレーダーセンサーで速度調整を行なうタイプになるが、しっかりと先行車を捉えながら前方の車両が加速すれば自車もスムーズに加速し、車間が詰まると制動する。違和感を覚えることなく走行できた。ドライバーが想定している以上に加速したり減速したりすると違和感となるが、500XのACCはドライバーの感覚に近い仕立てになっていた。

 札樽道を降りてワインディングに入り、定山渓の北側となる札幌国際スキー場を目指す。ここでクルマを595 コンペティツィオーネにチェンジ。高速道路の継ぎ目や荒れた路面でも常にフラットライドを披露していた快適な500Xとは真逆の性質を見せる。

 まず、カーボン製のシートは身体をしっかりとホールドするセミバケットタイプ。シートベルトを締めてエンジンを掛けると、スポーティなエキゾーストサウンドを奏でるマフラーや吸気音がドライバーの気持ちを高揚させる。引き締められたサスペンションは、快適性を求めているわけではないのでコンフォートとは言えない。

 だが、ワインディングを走るとクルマのロールがしっかりと抑えられていることが感じられ、ドライバーの意志どおりにコーナリングしてくれる。トランスミッションはATモード付きの5速シーケンシャルミッションで、シフトアップとダウンはステアリング横に装備されたレバーで行なう。瞬時にシフトアップ/ダウンが可能となっているので、さながらレーサー気分で操れる。

 595 コンペティツィオーネに搭載されるエンジンは直列4気筒DOHC 1.4リッターターボで、専用のチューニングが施されて最高出力は180PS、最大トルクは230Nmを発生。車重がわずか1120kgなので、性能としては並み居る欧州のスポーツモデルに引けを取らない。

 595 コンペティツィオーネでワインディング走行を堪能すると、定山渓の温泉街に到着した。豊平川沿いに拓かれた温泉街は、1800年代から湯治場として開拓されたという。その中でも老舗となる「定山渓第一寶亭留 翠山亭」で昼食をとった。

 ホスピタリティ溢れるスタッフに案内されながら落ち着いたエントランスを通り、ランチ営業をしている「桑乃木」で特選炭火焼御膳をいただく。北海道の海と山の幸をふんだんに使った御膳は、もちろんどれも美味しくて大満足。桑乃木は、つなぎを使わない十割そばも有名とのこと。由緒ある定山渓第一寶亭留は宿泊はもちろんのこと、ランチ付きの日帰り入浴も可能というので、札幌に来た際にはぜひお立ち寄りを。

定山渓の老舗店「定山渓第一寶亭留 翠山亭」
翠山亭のなかにある炭火食事処「桑乃木」で、北海道の海と山の幸をふんだんに使った「特選炭火焼御膳」をいただいた。「桑乃木」では「十割そば」も名物とのこと

 お腹いっぱい昼食をいただいたあとは、コンフォートな500Xで札幌市内を目指す。500Xの快適性は、ストロークの豊かなサスペンションをはじめとしたシャシーの味付けに起因するものが多いが、シート自体の完成度も高い。シートバックや座面は適度な張りと弾性を持っていて、自然とドライバーの身体を包み込んでくれる。試乗した「Cross Plus」グレードは、レザーを使った電動の8ウェイパワーシートで、ドライバーの好みのポジションを実現する。この仕立てのよいシートやサスペンション、最新のACCなどの装備を持った500Xならば、1日ドライブしても疲労感は少ないだろう。

 そうこうしている間に、最終目的地となる札幌の時計台に到着。2台の走行シーンを撮影してあっという間のドライブは締めくくりとなった。このようにまったく性格の異なる2台。どのようなシチュエーションで乗るかと問われると、家族との快適なドライブが目的ならば500Xで、1人で喧噪を忘れるためにステアリングを握るなら595 コンペティツィオーネと答える。

 明確に方向性の異なる今回の2モデルだが、どちらも全国79店舗ある「フィアット/アバルト」のディーラーで併売されているというのも面白い。

提供:FCA ジャパン株式会社

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。

Photo:中野英幸