ボーカリスト琴音の音楽旅
自然と文化あふれる国分寺の秋! 読書、音楽、カフェのぶらり女子旅
2017年9月29日 23:45
国分寺にある「Paris kidori」は、私が毎月ライブにレギュラー出演させていただいているお店です。
店主の藍澤幸頼さんは元劇団四季の俳優であり、退団後も東宝ミュージカル「ミス・サイゴン」「回転木馬」などで活躍。その後、幼少時から好きだったというシャンソンを歌うようになり、国分寺にシャンソニエ(シャンソンのライブハウス)「Paris kidori」を開業しました。
藍澤幸頼さん自身が店頭に立ち、厳選した出演者によるライブを行なっています。その出演者のレベルの高さは、ジャンルを問わず都内のライブハウスのなかでもかなりのものでは? 私なぞが毎月ソロライブをやらせていただいているのが恐れ多いくらいの、出演者のラインナップでございます。
毎月Paris kidoriの出演で国分寺を訪れていたのですが、最寄り駅とParis kidoriを往復するだけで、その周辺を探検することがあまりありませんでした。そこで今回は、ライブ前に国分寺のいろんなところを巡ってみます。
まずはJR国分寺駅から徒歩2分ほどの殿ヶ谷戸庭園へ。入り口からもう渋くてよい雰囲気です。ススキが秋を感じさせてくれます。チケットを購入して入場すると、緑が生い茂る美しい庭園がお出迎えしてくれました。季節柄、彼岸花の姿も。
かぐや姫が出てきそうな立派は竹林を抜けると、サラサラというせせらぎが聞こえ、小さな滝があります。水のなかの踏み石を渡り、階段を上ると茶室「紅葉亭」へたどり着きました。こちらは事前に申し込みをすれば、有料で使用できるそうです。紅葉亭を抜けると、建物自体が雰囲気たっぷりの展示室があります。
殿ヶ谷戸庭園をあとにして歩いていると、古本屋、古着屋、天然酵母のパン屋さんなどが並んでいました。古本屋さんの店構えがとてもかわいくて、店内に入ってみると、そこはパラダイス! この世の楽園!? 私の大好きなテイストの本が揃えられているではありませんか! 「まどそら堂」というこの古本屋には澁澤龍彦、安部公房、宮沢賢治などの全集や児童書に絵本まであります。
私の大好きな系統の本ばかりで、私がセレクトした本たち!? というくらい。こんなに好みドンピシャなお店があるんですね。テンション上がり、一気に4冊購入しました。また国分寺に来たときは、絶対に立ち寄ろうと思います。ほか、古着屋さんなども気になったのですが残念ながらこの日は定休日でした。
ここから、「お鷹の道」「真姿の池湧水群」を目指します。国分寺駅から住宅街を徒歩15分ほどで、お鷹の道付近に。緑がたくさんありました。真姿の池湧水群のマイナスイオン(?)のおかげか、とても気持ちのよいエリアに入っていきます。
木々の生い茂る薄暗い階段を降り、お鷹の道へ到着しました。江戸時代、尾張徳川家に「御鷹場」と指定されたことから「お鷹の道」と名付けられ、今では遊歩道として親しまれています。すぐ隣に、真姿の池湧水群があり、せせらぎに癒されます。遊歩道を抜けると、野菜の直売所があり、ライブでみんなで食べようと、国分寺で収穫されたという無花果を購入しました。
ここから、また歩いて西国分寺駅方面の「姿見の池」に向かいます。お鷹の道、真姿の池湧水群から徒歩約15分ほどです。姿見の池の所在地は「国分寺市西恋ケ窪」。このあたりはかつては宿場街で、遊女が朝夕、自らの姿を映したことから「姿見の池」と呼ばれるようになったんだそうです。
そして、鎌倉武士と遊女の悲恋の伝説が残されており、遊女が身を投げた池とされています。いつの時代にも、悲しい恋物語はあるものなのですね。そんな遊女の切ない思いに胸を馳せ、姿見の池をあとにしました。
この辺りで、お昼をかなり過ぎていたので、腹ごしらえに。西国分寺駅から中央線で国分寺駅に戻ります。国分寺駅のすぐ近くにあるParis kidori。その近所にある、ずっと気になっていたうどん屋「国分寺甚五郎」に入りました。店構え、店内は昭和のテイスト満載! 私の大好きなレトロな雰囲気です。たくさんのメニューから、せっかく国分寺に来たということで「国分寺野菜うどん」を注文しました。
何やら、特盛り、大盛り、普通盛り、半分盛り、小盛りなどあるそうで、小盛りを注文しました。うどんの量を選べるのは、女性としてはうれしいですね。小盛りとはいえ、ほかのお店なら「これが普通盛りでは?」というぐらいのうどんの量に、ゴーヤ、トウモロコシ、キャベツなど国分寺野菜がたっぷり入っていました。モチモチ太麺の武蔵野うどんで、食べ応えバッチリ! 小盛りにして正解でした。
ぺろっと完食し、「国分寺甚五郎」と同じ通り沿いの「でみCafe」へコーヒーを飲みに。でも、コーヒーを飲むだけのつもりが、おからドーナツが美味しそうだったのでシナモンとプレーンの2種類を注文。
丁寧にイチからいれてくれるアイスコーヒーは、しっかりしたお味で、ドーナツと相性抜群! こちらは昼間は「でみCafe」としてでみさんという素敵なお姉さんがやっていて、夜は「Sora」という名前でオーナーさんがバー営業をしているそうです。古い建物をリメイクしている感じが、味があってとても寛げます。アーティストの個展や、ライブなどもやっているそうです。
しっかり栄養をとって、Paris kidoriにリハーサルに向かいます。毎回ご一緒しているピアニストの北島直樹さんは八代亜紀さんのジャズ伴奏や、ジャズバイオリニストの寺井尚子さんのバンドなどで大活躍してらっしゃる方です。直樹さんと2人だけで創る音楽は、緊張感と、世界中のどこにもない新たな世界と、高い音楽性を融合させた音楽といった感じです。
Paris kidoriの出演者に大事なのは「創造性(クリエイティビティ)」とオーナーの藍澤さんがよくおっしゃっていますが、2人での演奏はこの空間でしか見られない、聞けないモノになっています。
この日は、シャンソンの王道「おおシャンゼリゼ」からダイアナ・ロス「If We Hold On Together」など幅広くお送りしました。「ラインアップはバラエティに富んでいるけど、琴音色が出てきた」とはオーナー藍澤さん評。自分の理想としているのは、何の歌を歌っても「琴音」になることです。そこに一歩近付けたのかとうれしくなりました。
本当の芸術を理解して、支援してくれるParis kidoriだからこそ、私も伸び伸びと歌わせていただいています。私以外の出演者の日も、皆さんズバ抜けた歌唱力とアーティスト性を持ち合わせた方々ばかりで、いつ行ってもハズレがないと思います。そして、フードやお酒のメニューも充実しています。
Paris kidoriは、都心から少し離れていますが新宿から中央線で約30分ほど。電車に乗ってしまえば、そう遠くはありません。むしろ、新宿からたった30分で、自然もあり、美味しい野菜や果物があり、オシャレなカフェやレストランもライブハウスもあります。電車に飛び乗り都会の喧騒を離れて、自然と芸術の秋を求めて国分寺を散策するのにもよい季節ではないでしょうか?