トラベルグッズレビュー

Zippo「ハンディウォーマー」

極寒の屋外でも長時間暖かさを保つカイロ

Zippo「ハンディウォーマー」

 冬の旅行で外をアクティブに動くケースでは、カイロが何かと重宝するシーンが多い。観光で寒い屋外の風景を見てまわるケースもしばしばある。ポケットに忍ばせて指先を暖めたり、腰のあたりを暖めたりなど、カイロを持っていると心強い。手軽なのは鉄の化学反応を利用した使い切りカイロで、最近では充電で繰り返し使える電熱式のタイプもある。

 今回紹介するのは、プラチナ触媒を使って燃料を触媒燃焼させるタイプのカイロ、Zippo「ハンディウォーマー」。Zippoと言えばオイルライターが有名だが、このライター用のオイルを燃料として使う。ただし、オイルを燃料にすると言っても火を燃やして暖をとるわけではなく、ガラス繊維にプラチナ微粒子を担持させたプラチナ触媒の触媒燃焼によって熱を得る。130~350℃という比較的低温で長時間発熱し、窒素酸化物発生の心配もない。

 そのメリットは鉄の酸化という化学反応を使うカイロに比べると、圧倒的に暖かいことだ。発熱する口火を直接触るのはやけどをするので厳禁。金属のフタ部分も直接皮膚に触れるとかなり熱い。専用袋や布でくるむなどなどなんらかの保護がいる。低温やけどにも注意したほうがいい。そのくらいは熱くなる。

Zippo ハンディウォーマーのパッケージ

 しかもこの熱が最大で24時間続く。より長時間必要であれば、オイルを注入して点火すれば再利用できる。オイルとライターを用意しておけば、ずっと暖かさをキープできるわけだ。冬のアウトドア活動で利用するにはもってこいの仕様といえる。

 また、本体は金属製であり故障なども起こりにくく、バーナーなど消耗する交換部品を適宜交換していけば、長期間使い続けることができることもメリット。燃料と触媒部分など消耗品がランニングコストとなり、使い切りカイロとどちらが安いかというのは微妙なところだが、ゴミが出にくい分、エコであると言える。

パッケージ内の内容物。オイルも同梱されていて、火を点けるものがあればすぐに使える
金属製のハンディウォーマー本体とフリースで作られたケース
詳しく書かれた取り扱い説明書も入っているので、初心者でも安心

 旅行で使おうと考える場合に1つだけ注意点がある。航空機への持ち込み、受託手荷物として預け入れもに基本的にできないという点だ。一般的に綿の吸収剤が入っているオイルライター(Zippoライターのことだ)は、喫煙用に1個だけ機内持ち込みが許されているが、構造はよく似ていてもカイロは持ち込めない。むろん燃料のオイルも持ち込みができない。航空機を使った旅行では、携帯にかなり制限を受けるというデメリットがある。

本体のキャップを外すと、触媒燃焼部のバーナー(火口)が見える
バーナーを外すと燃料を入れる注油口がある。燃料は脱脂綿に染みこませる
金口は、ガラス繊維にプラチナ微粒子を担持させている。中央のヘコみ部を加熱して点火する
Zippoのオイル缶。左が同梱の133mL小缶。右は355mL大缶

 使い始めるには、まず燃料のオイルを注入するところからはじめる。パッケージにオイル缶も入っているので、ライターやマッチなど点火する火は用意する必要はあるが、すぐに使い始めることができる。専用の注油カップの上線レベルを2杯入れるのが最大注入量。この分量で約24時間使用できる。途中で消火することはできないので、とにかく満タンに入れればいいというワケではない。これから使いたい時間から必要な分量を注入するようにしたい。12時間なら1杯、6時間なら下線までという案配だ。

Zippoオイル缶の注入口にはコインが刺さるようになっている。ちょっとこじるようにして開ける
この上の位置まで持ってくるとプシュっと音がして開く。注入を終えたらしっかり元に倒して密閉しておく
専用の注油カップ。よく見ると下線と上線のレベルがある
下線1杯分で約6時間。上線で2杯までが最大注油量
カップでゆっくりと注油する。入れ過ぎには注意
ティッシュの上などで逆さまにしてタンク中央を少し押し、余分なオイルを出す。オイルを入れ過ぎているとうまく発熱しない

 点火は、ライターやマッチなどの火を使う。点火には手持ちのZippoライターを使ってみたが、Zippoライターなら、火を点けた状態で手を離してキープでき、平らな場所であればライターを置いて作業もできるので点火させやすい。

 火の扱いには十分注意して、炎に対してバーナーを横から近づけてあぶるように熱を伝導させる。ここで重要なのは、火を点けるのではなく熱を伝えるということ。触媒部分に火やススが点かないように近づけるのがコツだ。軽く5秒ほど熱を与えるだけでOK。バーナーを燃やしてしまうとダメになってしまうので注意したい。炎から離して数秒待ち、バーナーから熱が感じられれば点火成功。キャップを押しつけて水蒸気で曇るかどうか確認する。

 あとはキャップを戻し、フリース地の専用袋に入れると徐々に暖かくなっていくのが体感できるはずだ。この袋に入れないと、素手では持てないほど熱くなってくる。あとは燃料が切れるまでゆっくり暖まろう。使用時間は周囲の温度と酸素量で前後する。ダウンのポケット内など暖かめの場所であれば、予想より長く使えるはずだ。

 燃焼時にはわずかではあるが、オイルが燃えた際のニオイが感じられる。あのZippoライターのニオイなので、個人的には好みなのだが、密閉空間で人が近づく満員電車やエレベーター内などでは気になる人もいるかも知れない。屋外ならまず気にならない。

 可燃物であるオイルの管理や、火を使った点火など、使い切りカイロよりやや使いこなしの難易度は上がってしまうが、冬の屋外で長時間活動するときには、ありがたい強力な熱源となる。古くからある方式のカイロなので、年配の方々にはお馴染みかも知れないが、もしまだ使ったことがないなら、ぜひ手にしてみてほしい。

 なお、Zippoオイルの小缶は、たいていのコンビニのライター販売コーナーで見つけることができ、燃料の手に入れやすさも特筆だ。着火時の火の取り扱いだけは重々気をつけて、寒い冬を乗り切って欲しい。

点火にはZippoライターを使った。Zippoライターは火を出したままにできるので、安定して点火できる
火に対して横からバーナーを近づけ、5秒ほどあぶる。火を点けるのではなく、あくまでも熱で伝導させるイメージ。触媒を燃やしてしまってはダメ
点火できたかどうかは、キャップをバーナーのヘコみに押しつけ、水蒸気が付くかどうかで判断できる
点火できたら専用袋に入れて持つ。もし熱すぎたらさらにハンカチでくるむなど工夫する
ちなみに古く1923年から現在でも販売されているハクキンカイロとほとんど同じ構造
冬の屋外で手先を温めるのにとても重宝する
Zippo「ハンディウォーマー」

発売元:マルカイコーポレーション
価格:4860円