旅レポ
台湾北部屈指の観光地「九フン」への旅
(2016/3/14 00:00)
日本でよく知られている台湾の観光地と言えば、2001年に公開された映画「千と千尋の神隠し」の舞台のモデルと噂のある「九フン(フンはにんべんに分)」。今回九フンへ少々肌寒い2015年末に行ってきましたのでその様子をお伝えしたいと思います。
今回足を運んだ九フンは台北市の隣町である、新北市瑞芳区にある山間の小さな街です。九フン自体はさまざまな観光情報サイトなどで街並みについては紹介されることが多いものの、実際に九フンへと行く場合の交通手段についてはほとんど触れられていません。現地に入ってからとまどわないように台北市内から九フンへ移動する方法を調べてみたところ、台北市内から直接バスで九フンへ行く方法と、台北駅から電車とバスorタクシーで移動する方法があるとのこと。バスでの移動の場合は、MRT忠孝復興駅前バス停から出ている「基隆客運 1062 金瓜石行」にて90分ほど移動した九フン老街バス停で下車。もうひとつは台北駅より台鉄TRA瑞芳(ずいほう/ルイファン)駅へ移動。移動時間は普通列車で約50分、特急列車の場合は普通列車よりも10分ほど早く瑞芳駅に到着します。瑞芳駅到着後はバスまたはタクシーで九フンへ移動。バスであれば九フン老街バス停で下車、タクシーであれば一律料金で205台湾ドルで九フンへと移動が可能です。
今回は台湾の在来線事情を見てみたかったこともあって、電車とタクシーを乗り継いで九フンへと移動しました。台北駅1階の券売機は混雑しているので、地下の地下鉄駅と台湾新幹線、台鉄TRAの改札が隣り合っているフロアへと移動。念のために券売機上の路線図で行き先の瑞芳駅の方向と路線を確認し、今回は普通列車(49台湾ドル)で瑞芳駅へと向かいます。
台北駅から瑞芳駅へ向かう車両は若干椅子の座り心地がよくないことを除けば、車両は新しいこともあって日本で電車移動しているときとあまり変わらずに移動可能でした。電車は予定どおりの時刻に瑞芳駅へと到着。瑞芳駅は人気の観光地九フンの最寄駅とあって利用する方も多く賑わっています。また、瑞芳駅は平渓線の乗り換え駅としても知られ、ランタンで有名な「十分駅」へ向かう場合は瑞芳駅での電車の乗換が必要とのことです。
瑞芳駅から九フンまではバスかタクシーで移動することになりますが、今回は行き先別に固定料金となるタクシーを利用。瑞芳駅から九フンへは急な上り坂を走ること20分ほどで到着します。タクシー代金は205台湾ドルとバスよりは高めですが、路線バスと違って確実に座れることもあってオススメです。
九フンは標高300mほどの高台の上にあることもあり、眼下には山々や海が広がる美しい景色が楽しめます。タクシーを降りた場所から少し登ったところにあるセブン‐イレブン脇に九フン観光の入口である基山街(きさんがい/ジーシャンジェ)への入口を発見。セブン‐イレブン横の基山街入口より九フン観光を始めたいと思います。
基山街は「千と千尋の神隠し」で見たような沢山の赤い提灯の姿が印象的な商店街です。雨の日にも安心なアーケード商店街となっているので雨の日にも歩きやすく、散策中に小腹がすいたときに利用したいお店も豊富。九フンにかつて金鉱があったことを忍ばせるゴールドチョコレートは面白いお土産かも知れません。
基山街は楽しい商店街ですが、雨がアーケード商店街の隙間から入って路面が滑りやすいこと。基山街は歩行者専用道路ではなく、荷物を運んでいるバイクなどが走ってくることが多々あるので注意が必要です。
基山街をさらに進んでいくと、左手に「小師父」と書かれたお店が見えた先に十字路を発見。九フンらしさを体感できる豎崎路(けんざきろ)観光であれば右手に進むのがお勧めですが、折角なのでまっすぐ進んだ場合、左手に進んだ場合どういうお店があるのかを見てみることに。
まずは「小師父」前の十字路を真っ直ぐ進んでいくと、山あいの集落や山々と海が広がるよい景色を楽しめる展望スポットを発見。天気のよい日は遠くまでよい景色が楽しめそうです。
その後「小師父」前の十字路を左手に曲がって傾斜がきつい階段を登ってみることに。階段の途中には、ねこグッズを販売している「三猫小舗」があり、さらに先へと進んでいくと頂上には「新北市瑞芳区九フン国民小学」と書かれた小学校があります。
最後に「小師父」前の十字路を右手へと曲がり、九フンの観光案内などでよく出てくる豎崎路を歩いて行くことにします。豎崎路は九フンの街の中心を縦に貫く階段状の細い路地。路地の両脇には古い建物を利用した茶屋やレストランなどが連なった風景が広がっています。また、「千と千尋の神隠し」劇中に登場した階段や赤い提灯は豎崎路をモチーフにしたとの話もあり、特に日本人観光客が多く通りに集まっているように感じます。
急な階段状の豎崎路を下って行くと、右手に九フンの名物カフェ「阿妹茶酒館」が見えてきます。ここ「阿妹茶酒館」は、「千と千尋の神隠し」に出てきた「湯婆婆の屋敷」のモデルとなったお店と言われ、お店入口横にはそのことを示す看板が設置されていました。
店内は日本人観光客が多く日本に帰国したような雰囲気の中で注文したのは、お茶とお菓子がセットになったお茶セットです。1人300台湾ドル。セットになったお菓子はゴマのお菓子、甘い梅干し、きなこ餅、落雁の4種類。店員さんの手によりお茶の準備が始まり、最初の1杯は店員さんの手でお茶が注がれます。早速飲んでみるとスッキリとした味わいが特徴的で、雨が降ってジメッとした九フンを歩いた後に飲む1杯として最高に相性抜群。お茶菓子もお茶との相性を考えて甘みが強いものが多く、歩き疲れたあとに食べるとより美味しく感じられます。
なお、お茶セットを注文した場合には茶葉がなくなるまでお茶が楽しめるよう、店員さんがお湯を随時補給。茶葉があるうちは常に温かいお茶を楽しめます。
お茶を楽しんでいると急に雨風が弱まったのでテラス席へと移動。テラス席のあるスペースからは山々と海が広がる九フン独特の風景を楽しめます。今回はお茶飲みながら絶景を楽しむことは叶いませんでしたが、次回晴れている日に九フンに行く機会があったときは、テラス席でお茶したいと思いながらお店をあとにしました。
今回初めて台湾屈指の人気を誇る観光地九フンへと足を運んでみました。人気の観光地ということで、土日祝日を避けた月曜日の午前中に九フン入りしてみたところ、「千と千尋の神隠し」の効果は大変凄く日本人観光客はもちろんのことローカル観光客も沢山訪れ、さながら年末のアメ横通りを歩いているような混雑ぶりに驚きました。
この日の九フン観光は、一部アーケード商店街と化した「基山街」、九フンの観光案内などでよく出てくる急斜面に階段を作ったかのような通りの「豎崎路」、「千と千尋の神隠し」に出てきた「湯婆婆の屋敷」のモデルとなった「阿妹茶酒館」の3カ所を主に観光。特に「千と千尋の神隠し」の雰囲気そのままに楽しめる「基山街」。さらに「千と千尋の神隠し」の「湯婆婆の屋敷」のモデルとなった「阿妹茶酒館」で飲んだお茶が美味しく印象に残りました。
なお、九フンや台北市といった台湾北部は比較的雨の降る日が多く、雨具や滑りにくい靴は必須。また、冬に訪れた場合は気温が15度以下になることもあるので、防寒対策はバッチリした上での訪問がオススメです。