【イベントレポート】
【パリ航空ショー2017】ボーイング、航空関連の商用・政府向けサービスの市場規模が今後10年で288兆6000億円と予測
どの航空会社も同じような悩みがあり、それに適したサービスが必要
2017年6月23日 00:00
- 2017年6月19日~25日(現地時間) 開催
米ボーイングは6月20日(現地時間)、フランス・パリ郊外のル・ブルジェ空港で行なわれている航空産業の商談/展示会「パリ航空ショー2017」において「Service Market Outlook」というタイトルの記者説明会を実施し、航空関連の商用・政府向けサービスの市場規模が今後10年間で2兆6000億ドル(約288兆6000億円、1ドル=約111円換算)規模になると予測した。
ボーイングは今後20年間の新造旅客機需要を約4万1000機、約677兆1000億円と予測しているが、それに伴いパイロットの訓練や、地上係員の教育、航空会社からの業務のアウトソースが進み、航空関連のサービス事業が拡大していくと説明した。
今後10年間の航空サービスビジネス全体の市場規模は288兆6000万ドルに
ボーイング グローバルサービス部門 戦略担当副社長 デニス・フロイド氏は「CMOで説明したとおり、今後20年間の新造旅客機需要は約4万1000機、20年後の航空会社の保有機材は約4万7000機となり、現在よりも約2万3000機増える計算になる。となると、パイロットや技術者が必ず足りなくなり、その育成が必要になる。また、現在航空会社は経済性の観点から業務のアウトソースを進めており、今後もそれは増えていくだろう」と述べ、現在よりも航空サービスの市場が増えていく可能性が高いと述べた。
そして、今後10年の航空サービスビジネスの市場規模として、2兆6000億ドル(約288兆6000億円)規模になると予測されるとし、そのうち民間向けが1兆5000億ドル(約166兆5000億円)、政府向け(軍事部門向け)が1兆1000億ドル(約122兆1000億円)になるとフロイド氏は述べた。ただし、政府向けに関しては、各国の軍事予算に依存することが多く、予測は難しく、それによっては大きく外れる可能性があるとした。
飛行機の整備、乗務員や地上係員の訓練、そして情報サービスが大きな成長の柱になる
フロイド氏によれば、今後航空サービスとしては柱になる事業は3つあると考えているという。「1つは飛行機の整備事業、2つめがパイロットや地上係員の訓練事業、そして3つめが情報サービスだ」と述べ、それぞれの事業で成長が見込めるとした。一番大きな市場になるのは整備事業で、整備だけでなく、飛行機のアップグレードなども含めて、従来はインハウス(社内)の整備が多かったが、それがアウトソースされる例が増えていくと説明した。
また、情報サービスも成長が期待できる分野で、飛行機が作成したデータをビッグデータとして解析する手法などが使われることで、整備の効率を上げたり、航空会社の経営者が運航におけるパフォーマンスを改善したり、それを判断する材料にしたりといったように使われるだろうと述べた。訓練に関しても、増える保有機材に対応する新しいパイロットの訓練などが必要になるだろうとした。
地域別の内訳に関しては、民間向けではアジア太平洋地域が一番多く、それについで北米、ヨーロッパになるという。政府向けに関しては、北米、なかでも米国向けがダントツに多く、それについで、中国が主要因のアジア太平洋地域、ロシアが主要因の欧州となるとフロイド氏は説明した。
フロイド氏は「現在はグローバルで同じようなニーズが増えており、今後グローバルに同じようなソリューションが必要になる。それに伴って市場が成長していくだろう」と述べ、航空会社が同じような悩みを抱えており、それに適したサービスを提供していけば、航空向けサービスの市場がこれまでよりも拡大していくだろうとまとめた。