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ANA総合研究所、フランス アルザスの魅力を伝える懇親会開催

「ハウルの動く城」の舞台となったコルマール市代表団と、東北の3市長が交流

2016年4月11日 実施

 ANA総合研究所は4月11日、都内で「アルザスの夕べ」と題して懇親会を開催した。フランスのアルザス地方はフランスとドイツに挟まれスイスとも接する場所に位置し、フランス側とはヴォージュ山脈で隔てられ、ドイツ側にはライン川があり、地理的歴史的背景から「大陸の島」と呼ばれている。アルザスはその美しい景観から映画「ハウルの動く城」の舞台にもなり、郊外はブドウ畑が一面に広がるワインの特産地。

 日本とのつながりは古く、1863年には大阪の商人がウール生地の貿易を開始。1980年代からは日本の大手電子器機メーカー、大手製薬メーカー、大手楽器メーカーなどが現地工場を稼働させている。

アルザス コルマールの魅力

 2015年11月にANA総合研究所とアルザス・欧州日本学研究所(CEEJA)は協力提携を結び、今回はアルザス地域の中心部にあるコルマール市代表団と日本国内3自治体が各地域の活性化と交流拡大に向け意見交換を行なった。

アルザスのスパークリングワインで乾杯
コルマールの魅力と、料理について気さくに語ってくれた三ツ星シェフのマルク・エーベルラン氏。コルマール市観光大使にも就任している
フランス コルマール市 クロディーヌ・ガンテール副市長。数多くの日本人観光客が訪れるアルザス コルマールについて熱く語ってくれた

 会場に選ばれたのは「オーベルジュ・ド・リル・トーキョー」。1950年アルザスにオープンした「オーベルジュ・ド・リル」本店は1952年にミシュラン一つ星、1957年に二つ星、1967年には三つ星を獲得し、現在まで半世紀近くも三つ星を維持している名店。当日はコルマール市観光大使でもある三つ星シェフのマルク・エーベルラン氏自らが、コルマールの魅力と料理について紹介。エーベルラン氏は日本通で、飛騨牛をアルザス本店のメニューに加えるなど日本の食材も積極的に採用しているそうだ。

 コルマール市のクロディーヌ・ガンテール副市長からは、コルマールが多くの日本人アーティストに愛されているエピソードを披露。宮崎駿監督がコルマールを舞台に「ハウルの動く城」を製作し、最近ではカメラメーカーのCMロケ地にもなり、ロケ地巡りをする日本人観光客も多いとのこと。日本と同様に四季があり、木組みの歴史的建造物が建ち並ぶ美しい風景、名物料理にワインに観光イベントと、魅力をたっぷりと語った。

左からクルディーヌ・ガンテール コルマール副市長、三ツ星シェフ マルク・エーベルラン氏、CEEJA ヴィルジニー・フェルモー氏、コルマール市 国際連携部長 エレーヌ・バルトミュー氏

 ANA総合研究所では国内各地の地域活性化にも積極的に取り組んでおり、食材や特産品の紹介や経済文化交流の強化に向け、鶴岡市、酒田市、会津若松市の3市長が参加した。

 榎本政規 鶴岡市長は「ユネスコ食文化創造都市」に日本で初めて認定され、ユネスコのパリ本部を訪れた際に「出羽三山の山伏」を同行してパリでホラ貝を鳴らしたエピソード、養蚕と絹の文化などを紹介。

 丸山至 酒田市長は鳥海山、月山、出羽丘陵に囲まれた港町酒田が、400年前に自由貿易都市として発展した歴史、酒田産の魚介を使った「酒田フレンチ」や酒所であることなどコルマール市との共通点を紹介。

 室井照平 会津若松市長からは桜が満開の鶴ヶ城と会津漆器の紹介があり、漆器のお弁当箱は早速エーベルラン シェフが興味深そうに手に取っていた。

 司会進行を務めたANA総合研究所 副社長 小川正人氏から、「酒田フレンチつながりで、エーベルラン シェフの日本国内4店舗目は酒田に出店しましょう」と冗談が出ると、エーベルラン シェフは「それは色々相談が必要ですね(笑)」と会場の笑いを誘っていた。

鶴岡市長 榎本政規氏
酒田市長 丸山至氏
会津若松市長 室井照平氏

 続いて、元文化庁長官の近藤誠一氏から「匠ビレッジ」の紹介。欧州には日本の伝統工芸品が多数あり、その修復と日本の匠文化を発信するべく「匠プロジェクト」を2015年に立ち上げ。多くの職人に声を掛けネットワークを構築するとともに、その発信拠点としてアルザスの教育施設跡地に「匠ビレッジ」を開設するべく企業などへの運営費用協力を広く募っているそうだ。

 森美可氏(創作人形作家 故・大野初子氏の娘)からは、日本独特の人形文化についての紹介があった。フランスで最も来館者数が多いコルマール ウンターリンデン美術館で、今年9月から森氏のプライベートコレクションによる人形展覧会が開催される。パリ、ニースに続いてフランス3回目の展覧会となる。

 最後にANAホールディングス代表取締役社長の片野坂真哉氏から、ANA総合研究所とアルザス・欧州日本学研究所(CEEJA)とのつながりが非常に活発になっており、ますます平和的交流が拡大し、ANAグループとしても航空ネットワークを拡充し、日本全国とアルザス、そしてフランス全国との交流が広がることを祈念するとの挨拶があった。

日本の伝統工芸品修復と文化発信活動施設「匠ビレッジ」をアルザスに企画する近藤誠一氏
ウンターリンデン美術館でプライベートコレクションによる日本人形展覧会を行なう森美可氏
ANAホールディングス株式会社 代表取締役社長 片野坂真哉 氏
参加者同士でプレゼントを交換するなど、とてもなごやかな雰囲気だった

 その後、参加者は別室に移動し、マルク・エーベルラン氏の手がけるフランス料理とアルザスワインの説明を受けながら、より具体的な情報交換が積極的に行なわれていた。

「PRINTEMPS GALA EXCEPTIONNEL par MARC HAEBERLIN」
オードブル
フランス産オンブルシュヴァリエのポワレ 北海道産雲丹のムース
フランス産鵞鳥(がちょう)のフォアグラ 日本酒の香るテリーヌ
鱸のポワレ コリアンダーの香るエミュリュッション
オマール海老のラグー モリーユのクランブル添え ヴァンジョーヌの香るソース
ブレス産仔鳩の低温ロースト ピュイ産レンズ豆のトルテリーニ ソース・アルビュフェラ
ルバーブのポシェ ソーテルヌのサヴァイヨン
ブラッドオレンジのシブースト バナナとパッションフルーツのソルベ

 ニューヨーク・タイムズの「2017年にぜひ訪れたい場所」、デイリー・テレグラフの「フランスで内緒にしておきたい場所トップ20」など世界各国が注目し、童話のような街並みが広がるフランス アルザス地域。パッケージツアーも用意されているので、興味がある方はチェックしてみてはいかがだろうか。

(石岡宣慶)