ニュース

鴨川シーワールド、参加体験型のクラゲ展示施設「Kurage Life」を7月16日オープン

デジタル映像でクラゲに触れるインタラクションエリアも用意

2015年7月16日 オープン

 千葉県鴨川市の水族館テーマパーク「鴨川シーワールド」は、参加体験型のクラゲ展示施設「Kurage Life」を、7月16日よりオープンする。それに先駆け、7月14日に報道陣に公開した。

 鴨川シーワールドは、2009年よりクラゲ類の常設展示コーナー「ジュウェリーコーナー 海の宝石 -クラゲ-」においてクラゲ類の生体展示を行なってきたが、今回このコーナーをKurage Lifeとしてリニューアルし、オープンすることとなった。Kurage Lifeでは、約10種類のクラゲの生体展示を行なうとともに、デジタル映像を利用して、映像内のクラゲと触れられるインタラクションエリアも新たに用意し、楽しみながらクラゲの世界を楽しめるコーナーへと進化している。

 鴨川シーワールド 総支配人兼館長の荒井一利氏は、「鴨川シーワールドでは、2009年よりクラゲの展示施設をオープンしました。その後、クラゲは水族館にとってなくてはならない分類群になってきておりまして、きちんと展示することが大切と考え、今回リニューアルすることになりました。また、ほかでは見られないユニークな参加体験型教育ツールを開発して、併せてオープンすることになりました。中身は非常に濃い内容となっていますので、よろしくお願いいたします」と、Kurage Lifeの魅力を説明した。

7月16日にオープンする、クラゲ類の生体展示コーナー「Kurage Life」
Kurage Lifeは、鴨川シーワールドの「エコアクアローム」内に開設される
鴨川シーワールド 総支配人兼館長の荒井一利氏。きちんとクラゲを展示するためにKurage Lifeをオープンしたと説明

 続いて鴨川シーワールド 開発展示課課長の森一行氏により、Kurage Lifeの特徴が紹介された。まず、施設に入ってすぐの場所には、大小9個の水槽を用意して、ミズクラゲやタコクラゲなどを生体展示する「生体展示ゾーン」を用意。

 森氏は、「クラゲの神秘的な世界に入りこんで、クラゲになったかのような気分を味わっていただければと思います」と説明したが、その言葉どおり、照明を落として暗くした室内は、クラゲを入れた水槽で囲まれているため、あたかもクラゲの群れの中にいるかのような雰囲気が醸し出されている。この生体展示ゾーンで展示されるクラゲは、季節によって入れ替えられるという。

Kurage Lifeの特徴を紹介する、鴨川シーワールド 開発展示課課長の森一行氏
Kurage Life入り口に「生体展示ゾーン」。大小9個の水槽で9種類のクラゲを生体展示。天井にはクラゲを模した照明を用意
展示ゾーンは照明が暗く落とされ、水槽内の明かりでクラゲが浮かび上がる神秘的な雰囲気だ
水槽手前の壁面は鏡のようになっており、奥行き感が感じられる
生体展示ゾーン奥の大きな水槽には、多数のミズクラゲが入れられている
多数のミズクラゲが、姿を変えつつふわふわと漂っている様は、長時間見ていて飽きることがない

その他の生体展示されているクラゲ

アメリカヤナギクラゲ
ヒトモシクラゲ
タコクラゲ
スナイロクラゲ
アマクサクラゲ
コブエイレネクラゲ
アカクラゲ
ギヤマンクラゲ

 この生体展示ゾーンを抜けた先には、もう1つ生体展示ゾーンを用意。そちらは、鴨川シーワールドで育成したクラゲを用いた、クラゲの生態を解説するコーナーとなっている。実際にクラゲの生体を用いて、クラゲの種類や、クラゲがどのように生活しているのかが、分かりやすく解説されている。

2つ目の生体展示ゾーンでは、実際のクラゲの生体を用い、クラゲの生態を解説する

 そして、2つ目の生体展示ゾーンの先には、Kurage Life最大の特徴である、デジタル映像を利用した「映像水槽ゾーン」を配置。この映像水槽ゾーンでは、映像内のクラゲに擬似的に触れられる4つの体験エリアを用意。

 エリア正面には、大きなスクリーンが用意され、そのスクリーン左側が「観察エリア」となる。観察エリアでは、スクリーン手前のポンプレバーを上下に動かすと映像内に泡が発生し、そこで新たなクラゲが生まれ、成長する様子を映像で観察できる。

 観察エリアで成長したクラゲは、スクリーン左の「インタラクションエリア1 クラゲの海」へと移動。こちらのエリアでは、クラゲの生態を映像で観察できるとともに、スクリーン前で手を動かすことで映像内に水流が発生し、その水流に合わせてクラゲがふわふわ移動するというインタラクティブ要素を実現。また、クラゲを補食するカワハギやアカウミガメも登場し、手で水流を作ってそれら捕食生物からクラゲを守ったりもできるようになっている。こちらのエリアでは、楽しみながらクラゲの一生を映像で観察できる。

デジタル映像を利用した「映像水槽ゾーン」。インタラクティブ要素を備える最新デジタル映像を利用した4つの体験エリアが用意されている
映像水槽ゾーン正面には、大きなスクリーンを配置。このスクリーンの左側1/3ほどが「観察エリア」、右が「インタラクションエリア1 クラゲの海」となる
観察エリアの手前ポンプレバーを上下に操作すると、画面に泡が現れ、新たなクラゲが生まれる
生まれたクラゲの成長の様子を映像で観察できる
観察エリアで生まれたクラゲが成長すると、右側の「インタラクションエリア1 クラゲの海」に移動
「インタラクションエリア1 クラゲの海」は、スクリーン手前に透明スクリーンを配置した2重スクリーン構造。透明スクリーンに透明感のあるクラゲが活き活きと映し出される
スクリーン手前で手を動かすと、それに合わせて映像内に水流が発生し、その水流に合わせてクラゲが漂う
手で水流を起こして、クラゲを補食しようとするカワハギやアカウミガメからクラゲを守るといった遊びも可能

 このスクリーン手前の床には、波打ち際の映像が投影されている。この部分は「インタラクションエリア2 波打ち際」とされており、人が映像内に入ると、実際の波打ち際に入ったときと同じように波紋が広がるようになっている。また、ここにもクラゲの映像が表示されるが、人が入ることで発生する波紋に反応して、ゆっくりと離れていく様子が観察できる。

スクリーン手前床は「インタラクションエリア2 波打ち際」となり、波打ち際の様子を映像で再現
波打ち際に人が入ると、人に合わせて波紋が広がり、その波紋に反応するようにクラゲが離れていく

 そして、この波打ち際の一画に置かれたベンチに座って手のひらを差し出すと、手のひらにクラゲが現れる「クラゲベンチ」も用意。こちらでは、自分の手のひらの中でクラゲの泳ぐ姿が観察でき、実際にクラゲに触れているかのような体験ができる。

 このように、Kurage Lifeは水槽内のクラゲを観察するだけでなく、インタラクティブ要素を備えるデジタル映像を活用することで、子供から大人まで楽しくクラゲに触れられる展示施設となっている。

波打ち際の一画には、もう1つのインタラクティブ要素を備えるエリア「クラゲベンチ」を配置
クラゲベンチに座って手のひらを差し出すと、手のひらにクラゲが現れ、手のひらでクラゲが泳ぐ様子を観察できる
クラゲベンチでは、同時に3人までクラゲを手のひらに投影して楽しめる
インタラクティブ映像を製作した、ソニーPCL 企画デザイン担当部長の入尾元規氏。映像の特徴などを説明した

 このKurage Lifeの映像水槽ゾーンの映像は、映像コンテンツの企画・製作を行なっているソニーPCLが担当。今回の体験会では、ソニーPCL 企画デザイン担当部長の入尾元規氏により、映像展示に関する説明も行なわれた。入尾氏によると、Kurage Lifeの映像水槽ゾーンでは3つの特徴があるという。

 1つ目は、クラゲが生まれてから死ぬまでの一生を1つの大画面映像で表現している点。2つ目は、透明スクリーンを手前に配置した二重スクリーン構造を採用し、ホログラフィックな映像手法を採用している点。これによって、本来透明なクラゲを、透明のまま、より存在感をもって表現できるようになっているという。そして3つ目が、インタラクション技術。入尾氏は、これら3つの特徴によって、「水槽では伝えられない、神秘的なクラゲの生態を効果的に表現できているのではないかと思っています」と指摘。また「水族館をデジタル化するとこうなる、というような未来型水族館の1つのあり方の提案と考えています」とも語り、完成度への自信を示した。

 鴨川シーワールドでは、夏休み期間の8月末まで、人気のあるシャチやイルカの夏限定パフォーマンス、エイやイルカと触れ合えるイベントなど、さまざまなイベントの開催を予定している。今夏、鴨川シーワールドを訪れる予定があるなら、それらイベントと合わせてKurage Lifeもぜひ楽しんでもらいたい。

8月末まで、シャチやイルカの夏限定パフォーマンスをはじめ、各種イベントの開催も予定されている
(平澤寿康)