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【詳報】世界で2番目のムーミン テーマパーク「Metsa」が埼玉県の宮沢湖エリアに2017年オープン

世界初のムーミンをモチーフとした総合施設も用意

2015年6月30日 発表

2017年 開業予定

 フィンテック グローバルは6月30日、都内ホテルで記者会見を開催し、埼玉県飯能市の宮沢湖を中心としたエリアに、フィンランドや日本で人気の高い「ムーミン」を題材としたテーマパーク「Metsa(メッツア)」を、2017年にオープンすると発表した。

 ムーミンを題材としたテーマパークとしては、作者トーベ・ヤンソンの故郷であるフィンランドに「ムーミンワールド」が開設されているが、フィンランド以外でムーミンを主題とした総合テーマパークが開設されるのは、これが世界初となる。

 宮沢湖は、埼玉県飯能市の中心街から約3kmほど離れた場所に位置している。都心からは、西武線の特急レッドアロー号を利用して約40分。クルマでは、圏央道狭山日高ICから6kmほどの場所となる。この宮沢湖を取り囲む約18万平方メートル(東京ドーム約4個分)の土地にMetsaが開設されることになる。

ムーミンテーマパーク「Metsa」は、埼玉県飯能市の宮沢湖周辺エリアに開設される
宮沢湖周辺の景色。湖や森林など自然あふれるこの地域が、ムーミンの世界観に合致するとして選定された
宮沢湖周辺の18万平方メートルの土地に建設される
飯能市は、都心から約50km、西武鉄道の特急「レッドアロー号」で40分の位置
飯能市の中心街からは3kmほどの位置にある
圏央道の狭山日高ICから6kmほどの場所で、車でのアクセスも便利

 「Metsa」とは、フィンランド語で「森」を意味する言葉で、宮沢湖周辺の自然を活かしたテーマパークとなる予定。ただ、一般的なテーマパークのように周囲から隔離されたエリアとして運営することは考えておらず、湖の周回ルートを確保しつつ、地域住民の憩いの場となっている現在の宮沢湖の位置付けを維持していく計画だという。その考え方に沿った形で、パークには誰でも自由に出入りが可能な「パブリックゾーン」を湖の手前側に確保。そして、湖の対岸にムーミンの世界観を再現する「ムーミンゾーン」を用意するという。

パークの名前となっている「Metsa」は、フィンランド語で森を意味する言葉
周囲の自然を活かし、地域住民の憩いの場という位置づけを維持した施設にする計画
宮沢湖手前に「パブリックゾーン」、対岸に「ムーミンゾーン」が用意される計画

 パブリックゾーンには数十の小さなお店を用意し、世界中から公募した商品を販売。また、フィンランドの湖畔をイメージした港や、本格的な北欧料理を提供する湖の見えるレストランも展開し、そのレストランでは地産地消の理念で地域の食材を活かし、子供にも優しいメニューを提供する予定とのこと。それらと合わせ、四季折々の自然を楽しめるゾーンにする計画だという。

 ムーミンゾーンは、フィンランドにある屋外型施設「ムーミンワールド」や「ムーミン谷美術館」、スウェーデンにある屋内型施設「ユニバッケン」などを参考に、屋内、屋外、体験、芸術の全てが詰まった総合施設になる予定。このようなムーミンをモチーフとした総合施設は、Metsaが世界初になるとのこと。もちろん、ムーミンキャラクターが登場する施設も用意される。

パブリックゾーンにはお店が用意され、様々な物品が販売されるという
フィンランドの湖畔をイメージした港や、本格的な北欧料理を提供する湖の見えるレストランも用意
レストランでは地産地消の理念で地域の食材を活かし、子供にも優しいメニューを提供
パブリックゾーンは、誰でも自由に出入りできる施設になる予定
ムーミンゾーンは、ムーミンの世界観を再現したゾーンとなる
ムーミンゾーンは、フィンランドの「ムーミンワールド」や「ムーミン谷美術館」、スウェーデンの「ユニバッケン」などの施設を参考に施設を用意するという
ムーミンゾーンのイメージ。ムーミンの家や、ムーミンキャラクターに会える施設、美術館なども用意したいという
屋内、屋外、体験、芸術のすべてが詰まったムーミンの総合施設はMetsaが世界初
2017年のできるだけ早い時期の開業を予定
宮沢湖と飯能市がムーミンの世界観に最適と語る、フィンテック グローバル株式会社 代表取締役社長の玉井信光氏

 発表会に登壇した、フィンテック グローバル 代表取締役社長の玉井信光氏は、Metsaが開設される埼玉県飯能市と宮沢湖について、「森林と人との、より豊かな関係を築き、自然と都市機能とが調和する街の創造。まさに、ムーミンにふさわしい街です。また、宮沢湖は四季折々の自然豊かな湖です。飯能市市民の憩いの場としてポピュラーな場所でもあります。近隣には、豊富なハイキングコースや、ムーミンの原作者であるトーベ・ヤンソンさんと縁の深い『あけぼの子どもの森公園』など、子供達が安心して過ごせる公園もたくさんありますし、木材を利用した建物が多い街でもあります。湖と森の国と言われているムーミンにとってぴったりの場所だと考えました」と、開設場所としてこれ以上ない場所であると語った。

飯能市の市長、大久保勝氏。ムーミンテーマパークへの祝辞を述べるとともに、協力を惜しまない姿勢を示した

 発表会には開設地となる飯能市の市長、大久保勝氏も登壇し、次のように祝辞を述べた。「飯能市は、1997年に北欧の世界観をイメージした『あけぼの子どもの森公園』を開設しました。この公園は、当時の本市の職員がトーベ・ヤンソンさんに送った1通の手紙がきっかけでスタートしたものです。飯能市の恵まれた自然、四季の移り変わりの中で様々な表情を見せる公園として、開設以来多くの皆様に愛されています。飯能市では、“森林と人とのより豊かな関係を築き、自然と都市機能が調和する街の創造”を目指し、2004年に森林文化都市宣言を行うなど、自然との共生を街作りの基本目標として取り組んでいます。そういった中、2013年にムーミンの世界観を持ったテーマパークを国内に開設するというニュースに接しまして、我々は目に見えない不思議な縁を感じました。そこで、一丸となって積極的かつ粘り強い誘致活動を行ったところ、念願がかない、双方の理念がマッチしているとの高い評価を頂いて、今回の発表に繋がったと受け止めています。このことは、8万人を超える飯能市民にとって、嬉しいビッグニュースです。市長就任以来、子供と女性に優しい街の実現を目指して全力取り組んで来ました。今回のムーミンテーマパーク建設は、日本、そして世界中の子供と女性に、大きな夢と希望を持っていただけると確信しています。さらに、これを契機に、一地方都市である飯能市が、世界に向けて大きく発信できる魅力が誕生したと感じています」

 また、今回の発表に合わせ、飯能市とフィンテック グローバルは6月30日付けで「地方創生に関する基本協定」を締結。これについて大久保氏は、「今回の協定締結は、飯能市にとって地方創生のこの上ない大きな柱であるとともに、観光による街作り、本市の活性化に向けた大きな第一歩であると考えます。“飯能市の再生なくして日本の再生なし”を合い言葉に、全力で取り組む覚悟です。地方が元気になることが、日本のさらなる発展に繋がると信じています」と、テーマパークへの協力を惜しまない姿勢を示した。

西武鉄道株式会社 代表取締役社長の若林久氏。土地の売却をはじめ、パークに全面的に協力すると語った

 今回発表された宮沢湖周辺のテーマパーク設立エリアは、現在は西武鉄道が所有している土地だが、6月30日付けで西武鉄道とフィンテック グローバルとの間で不動産売買契約が締結され、フィンテック グローバルに売却されることとなった。それだけでなく、西武グループは、テーマパークへも全面的に協力するという。これについて、発表会に登壇した西武鉄道 代表取締役社長の若林久氏は次のように語った。

 「西武グループは、グループの長期戦略において、飯能地区エリアを“緑あふれる街区を形成するエリア”と位置付けて都市交通、沿線事業を営んでいます。これまで主力の鉄道事業、バス事業に加えて、住宅地の分譲、ゴルフ場の運営など、豊かな自然と調和した事業を展開し、少しでも地域の活性化にお役に立つことを願っています。今回のお話しは、宮沢湖の自然を活かした事業で、私たちの飯能エリアのイメージと合致していることから、宮沢湖周辺の土地売却をはじめ、全面的に協力させていただくことになりました。宮沢湖は、“レイクサイドパーク宮沢湖”として1960年代の初めから地元の皆様に根ざしたレジャー施設として整備してまいりました。今でも多くの皆様の憩いの場として親しまれています。広大な湖や周辺の森林などの雄大な自然は、ムーミン作品のテーマの1つでもある“自然との共生”や、ムーミンの住む自然豊かな世界を体現するのにふさわしい場所と思います。本施設を飯能地区の新たな観光拠点として、今まで以上に西武沿線内外から積極的にお客様を誘致するとともに、現地での交通アクセス利便性向上に協力させていただきたいと思っています」

ムーミンテーマパーク開設への祝辞を述べる、駐日フィンランド大使館の公使参事官のヤーッコ・レヘトヴィルタ氏

 さらに、発表会には駐日フィンランド大使館の公使参事官のヤーッコ・レヘトヴィルタ氏も登壇。「ムーミンには様々なキャラクターがいて、それぞれが独特な個性を持っています。それらムーミンキャラクターによって、日本とフィンランドは、かけがえのない強い絆で結ばれています。ムーミンの原作は、子供だけでなく、大人も楽しめるものとなっています。また、深い物語性が秘められている点も大きな特徴です。フィンランド国がテーマパークの正式なパートナーではありませんが、テーマパークの開設にとても喜んでいますし、精一杯応援したいと思っています。飯能市にある湖や森林などは、このムーミンテーマパークに最適な、完璧なロケーションといっていいでしょう。また、西武鉄道の協力も非常に喜ばしい部分です。このムーミンテーマパーク設立によって、フィンランドと日本の絆もさらに深まることでしょう」と、テーマパーク設立について祝辞を述べた。

発表会の出席者。左から駐日フィンランド大使館 公使参事官 ヤーッコ・レヘトヴィルタ氏、ムーミントロール、飯能市長 大久保勝氏、フィンテック グローバル 代表取締役社長 玉井信光氏、西武鉄道 代表取締役社長 若林久氏

 Metsaは、実際に用意される施設などはこれから決めていく予定とのことで、今回の発表会では、パークの具体的な内容についての言及はなかった。ただ、玉井氏によると、いわゆる“遊園地”のようなものではなく、“公園”のような、多くの人たちが集う場所をイメージした、これまでにないものにしたいという。そして、最も重要なビジターと考えているのが、飯能市を中心とした地域住民とのことで、飯能市と地方創生に関する基本協定を締結したのも、そういった考えがあってのことという。そういった意味で、これまでのテーマパークとは大きく異なる位置付けの施設になると考えられる。ただ、ムーミンの世界観を再現するとともに、ムーミンに登場するキャラクターたちに出会える施設になるのは間違いなく、ファンにとって見逃せない施設になるはずだ。なお、今後のパークに関する情報は、ムーミン公式サイトで開示していくとのこと。

原作者であるトーベ・ヤンソン氏が描いたムーミンの世界観を再現するパークにしたいという

【注】テーマパーク名は、最後の「a」にウムラウト付きとなりますが、テキストで正しく表現できないため「a」に置き換えています。

平澤寿康

うどん県生まれ。僚誌PC Watchなど、IT系の執筆を中心に活動。旅&乗りもの&おいしいもの好きで、特に旅先でおいしいものを食べるのに目がない。ただし、うどんにはかなりうるさい。