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伊勢神宮の地で夫婦の新たな絆を紡ぐ旅「常若婚(とこわかこん)」を三重県知事、伊勢市長、JAL会長夫妻が体験
「ものからことへ、ことからこころへ」を感じる旅
2017年4月28日 14:56
- 2017年4月23日 実施
三重県、伊勢市、JAL(日本航空)が共同で企画した旅のパッケージ「常若婚(とこわかこん)」。この常若婚は、夫婦およびともに歩むパートナーが「常に若く瑞々(みずみず)しいままで永遠に」という「常若の思想」が根付く伊勢の地を2人で巡り、新たな絆を紡いでいく旅だという。
すでにJALのWebサイト「JALダイナミックパッケージ 常若婚」から販売が始まっており、伊勢の地にある二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)、伊勢神宮、猿田彦神社の3つの神社を2泊3日で巡っていく。出発日は、2日目が「1」のつく日、または初日が二十四節気の節目にあたる日に設定されており、上記のJALのサイトでは直近で4月30日出発のものを購入できるようだ。
2泊3日の1日目は、各地の空港からセントレア(中部国際空港)もしくは小松空港へ飛び、伊勢市まで近鉄特急などで移動したら、伊勢市駅では地元の観光案内人がお出迎え。初日は二見興玉神社へ参拝し祈祷を受け、所定の宿で宿泊。2日目は伊勢神宮外宮参拝、せんぐう館拝観、神宮徴古館拝観、伊勢神宮内宮参拝(別途申し込むことで特別参拝も可能)を行ない宿泊施設に戻る。3日目は、猿田彦神社へ参拝し、伊勢市駅へ、そして空港へといった行程となっている。
この行程は地元の観光案内人がガイドしてくれるほか、各地の移動の足はタクシーを用意。2泊3日の旅をしっかりサポートしてくれる。価格は1人21万円からで、2人での旅行となるので実質は42万円から。なかなかの価格となるが、JALの担当者によるとすでに注文はいくつか入っているという。
その常若婚を広く知ってもらうため、三重県知事 鈴木英敬・武田美保夫妻、伊勢市長 鈴木健一・鈴木美記夫妻、JAL会長 大西賢・大西順子夫妻の3夫妻が、常若婚のトピックとなる場所を4月23日に体験。実際は2泊3日の行程を1日で巡った。
清める~常若婚の始まりは二見興玉神社から
3夫妻は二見興玉神社へ集合。ここでは境内の特別室に入ることができる。この特別室で常若婚パッケージに付属するオリジナル御朱印帳にパートナーへの感謝の思いを記入する。その思いが綴られた御朱印帳を交換。パートナーの思いを受け止めたあと、拝殿で御祈祷を受けることになる。
3組の夫婦は「字を書くのを練習してくればよかった」「私は練習してきましたよ」など楽しく会話をしつつ、御朱印帳に記入。相手への気持ちを文字として記入することで新たな気持ちが芽生えたという。
その後拝殿へ。拝殿では神主から祈祷を受ける間、厳粛な時間が流れる。それまでは日常に近い時間の流れ方だったが、特別な空間にはいることで普段とは異なった時間が流れていた。
祈祷後は拝殿近くの夫婦岩の見学へ。この夫婦岩があるからこそ二見興玉神社が旅の始まりに選ばれたのかと思っていたが、常若婚パッケージをプランしたJALスタッフによると、「二見興玉神社のテーマは“清める”」だという。二見興玉神社は海のそばにある神社で、その昔は海に入って身を清めたとのこと。ここでメッセージを交換し、これまでの2人の生活を振り返ったあと、清めの段階に入ることで常若婚の1つのテーマである“再生による永遠”への第1歩を踏み出すことになる。
感謝の奉納~伊勢神宮
本来の行程では、初日に二見興玉神社に訪れたあとは宿へ帰るのだが、1日で行程をこなすため3夫妻は2日目の行程へ。2日目は伊勢神宮外宮を参拝し、せんぐう館を拝観、その後昼食へというプログラムになっている。
昼食は「新割烹 柚子」(三重県伊勢市御薗町長屋)となっていた。この昼食は、JALや伊勢市お勧めの食事処から選ばれている。新割烹 柚子は、2016年4月のJAL国内線ファーストクラスメニュー監修の料理長が腕を振るっており、鳥羽の離島や志摩和具漁港より直接仕入れを行なうことで新鮮素材を提供している。
JALと三重県は2015年12月12日に「食」と「観光」に関する協定を締結(関連記事:「鈴木 三重県知事とJAL植木社長がセントレアで協定を締結」」。この協定が、JAL国内線ファーストクラスメニューで三重県食材の提供、今回の常若婚へと見事につながっているわけだ。
食事を終えたら神宮徴古館の拝観へ、そしてメインイベントである伊勢神宮内宮の参拝へ。伊勢神宮は日本でもトップクラスの著名な神社で、正式名称は「神宮」。その神宮を特徴付けているのは、20年ごとに行なわれる式年遷宮で社殿などを新しく作り直し、大御神に神殿へお遷りいただくお祭り。完全に建て替えることから、再生や永遠の若さにつながるものがあり、「常に若く瑞々しいままで永遠に」という「常若の思想」をダイレクトに感じられる空間だ。
この神宮では内宮の神楽殿で御祈祷を受けられるほか、事前に申し込みを行なうことで通常参拝より少しだけ神の近くでお参りできる特別参拝を行なえる。詳細はJALダイナミックパッケージ 常若婚経由で問い合わせていただきたいが、確かに特別なお参りを行なっていた。その写真などをお届けしたいところだが、このエリアは特別なエリアになるため撮影禁止。実際に足を運んで、自分自身で神と対話してほしい。
ちなみにこの神宮のテーマは“感謝”。JALの担当者によると、神宮は神にお願いごとをするのではなく、神に感謝の気持ちを伝える場所だという。パートナーへの感謝の気持ちを伝え、感じることで新たな思いを奉納する場所となる。
みちびらき~猿田彦神社
本来の2日目は、神宮をたっぷり楽しんで宿へというもの。今回は1日しか時間がないため、このあと3日目、最終行程である猿田彦神社に参拝する。
猿田彦神社では拝殿で参拝。拝殿において神主から祓串によるお清めなどを受けたあと、神にささげる踊り(舞)を拝観する。猿田彦神社にまつられている猿田彦大神は、猿田彦神社のWebサイトに「猿田彦大神は高千穂に瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を案内した後、天宇受賣命(あめのうずめのみこと)と御一緒に本拠地である『伊勢の狭長田(さながた)五十鈴の川上』の地に戻り、この地を始め全国の開拓にあたられました。」と説明されているように、始まり、つまり“みちびらき”を象徴しており、みちびらきの神となる。二見興玉神社で清め、伊勢神宮で感謝の奉納、そして猿田彦神社でみちびらきと、一連のお参りをすることで、「再生、そして瑞々しいままで永遠に」を体現したことになる。
また、あめのうずめのみことは、天照大御神が天岩窟(あめのいわや)にこもられたときに神楽を行なった舞の神。猿田彦神社の境内にはあめのうずめのみことをまつった佐瑠女神社があり、ここには舞鶴がその象徴として描かれていた。
1日というコンパクトな日程となったものの、一連のお参りを終えた3夫妻にいくつかの質問で感想を聞いてみた。
鈴木三重県知事は常若という考えについて、「常若は大事なものを守りながら、新しく変えるものは変える。伊勢神宮が古くて新しい場所と言われるように、日本人の精神としてしっかり守るべきものは守って、そのうえで新しい魅力、たとえば鈴鹿サーキットのF1グランプリとかもそうだし、いろいろな新しい魅力を付け加えていく。そういう地方にとって極めて大事なコンセプト」と語る。その常若を感じられる常若婚は多くの人に体験してほしいという。
武田美保さんは、普段家庭では知事との会話は事務連絡や子供のことだけになりがちだがと前置きしたうえで、駆け足ながら常若婚を行なったことで「すごくいろいろなものを感じ、ゆったりとした時間が流れていました。日常はゆっくり過ごすことがないので、何気ない話でも新鮮でした。天候にも恵まれ、とても気持ちよかったです。夫婦関係も常若でいられると思います」とコメント。
どのような方に常若婚をお勧めしたいですかという質問に対して鈴木三重県知事は、「神宮の話、三重県の話をするときに言っているのですが、どのような世代の人も人生の節目に訪れてみてほしい。うちらは結婚10年目という節目の年なのですが、30代で結婚5年目の人でもいいし、10年目の人でもいいし、あるいは子供が生まれたときでもいいし、子供が成人したときでもいいし。節目節目のときにご夫婦できてもらうような、そんな旅かなと思いました」と、その感想を語った。
常若というコンセプトは“再生”というテーマを伴うだけに、バウリニューアルなど再び愛を誓い合うことに親しんでいる海外の人への訴求も行ないやすい部分と思える。伊勢神宮では近年インバウンドも急速に増加している。
その辺りについて鈴木伊勢市長は、「常若婚については、まずは国内の方に訴求していきたいと思います。インバウンドについては、現在受け入れ基盤の強化を一所懸命やっているところです。そのなかで体験型のメニューとして、これから開発できればと思っています」と、まずは国内旅行者の増加をとのことだった。
鈴木美記さんは、やはり普段は忙しく2人でゆっくり過ごすことは少ないとしつつ、常若婚を体験したことについて「日常を離れて2人の時間をゆったりと過ごせ、気持ちもリフレッシュした気がします」とコメント。1日で3カ所以上を巡りつつの常若婚だったが、そこには日常と異なる時間が流れているようだった。
鈴木三重県知事夫妻、鈴木伊勢市長夫妻が、地元からの視点に対して、JALの大西会長夫妻は航空会社、そして旅行客としての視点となる。大西会長は「もともとJALとしての思いとしては、僕らは需要を摘み取るのではなく、需要を生み出すことをやっていかなければならない。我々がほかと違うのは、お客さまがいるから飛ぶというのではなく、お客さまを生み出すということが大切だと思っています。そういう意味で、伊勢の地にどういう方法で来ていただいてもよく、そこで常若なり日本のよさなどを発信できれば、時間がかかるかもしれないけど、航空の利用の方もいらっしゃるようになってくるだろう。そういう思いでやっています」と語り、常若婚によって伊勢の地を活性化する手伝いができればという。
大西純子さんは、「(常若婚で)特別な時間を過ごすことができました。東京では家の近くに神社があるのですが、やはりそれとも違うなと思いました。厳かな気持ちになりました。こういう特別な時間は、実は子供たちからプレゼントされるのもよいかなと思ったり、体験してみて友達に『常若婚よかったよ』と言ってみたりするのもよいかなと。こういう機会を得られるのが大切だと思いました」と、2人にとって貴重な時間であったという。
取材時に、鈴木三重県知事、鈴木伊勢市長、JAL大西会長の3名が異口同音に語っていたのが、「常若婚は、ものからこと、ことからこころへ」という部分。これについて「統一コンセプトなのか?」と大西会長に確認したところ、「これは自然にそうなってしまいます。以前知事と対談したときに知事が言われていたのが精神性という言葉です。この伊勢の地に来て常若と言ったら、やはりこころです。ものでもない、ことでもない、こころなのです。ものでもない、ことでもない、そのような表面的なことではなく、ぐっと扉の中をかき分けて行くとそこには精神性がある。なぜ遷宮というのが行なわれているのか、そういうのに触れることができる。今回せんぐう館を訪れたが、あのせんぐう館を作られたのはとても素晴らしいと思う。遷宮というのは何が行なわれているのか普通は分からない。しかし、せんぐう館に行けば事細かに分かるようになっている。あれはすごくよかったです。常若婚は絶対お勧めできる旅行です。ぜひ皆さんにこころで体験していただきたいと思います」といい、この常若婚が夫婦のこころの奥底にあるなにかにふれる旅であるという。
今回撮影不可の場所、不可の時間などが多かったものの、駆け足で常若婚のポイントを見てきて思ったのが、参拝、祈祷など日本文化ならではの時間が流れ、最初に御朱印帳を交わすことで特別な思いを共有できるのかなということ。確かに安価な旅ではないが、伊勢に入ってからは移動のすべてをタクシーと地元の観光案内人でサポートしてくれる。旅館の取材はできなかったが、旅館についても人気旅館の特別室になるとのこと。
夫婦2人で特別な節目に自分たちで購入というのもありだが、大西純子さんも言うように両親に感謝の気持ちを込めて贈りたい旅だろう。出発日が限られている特別な旅なので、JALダイナミックパッケージ 常若婚のWebサイトで詳細をよく確認していただきたい。