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JAL、三重県伊勢エリアをPRする新観光プログラム「常若婚」を発表

伊勢に参ってパートナーへの感謝を表わす旅。春にはダイナミックパッケージを発売

2017年1月9日 締結

伊勢市、三重県、日本航空株式会社は1月9日、国内外から伊勢エリアへの誘客を狙った新観光プログラム「常若婚(とこわかこん)」を発表した

 伊勢市、三重県、JAL(日本航空)は1月9日、国内外から伊勢エリアへの誘客を狙った新観光プログラム「常若婚(とこわかこん)」を発表した。当日は三重県伊勢市二見町にある「旅荘 海の蝶」で発表会が開かれ、伊勢市の市長である鈴木健一氏、三重県の県知事である鈴木英敬氏、JALの取締役会長である大西賢氏が出席し、この新たな取り組みについて説明し、事業展開に向けた協定を締結した。

「常若婚」は感謝の気持ちと新たな気持ちを育む旅

日本航空株式会社 取締役会長 大西賢氏

「常若」とは20年に1回「式年遷宮」を行なう伊勢神宮の「常に若く瑞々しいままで永遠に」という精神を表わす言葉であり、人生の節目に伊勢の地を訪れ、夫婦やパートナーに感謝の気持ちを伝える「常若婚」という旅を伊勢市、三重県、JALが協働で国内外に訴求していく。発表会ではまずJALの大西賢会長が、常若と常若婚について説明した。

 JALが行なっている地域活性化プロジェクト「JAL 新・JAPAN PROJECT」の一環として、三重県ならではの食や観光の魅力を発信してきたことに触れ、さらに三重県ならではの新しい旅の形が提案できないか模索してきた結果、伊勢市、三重県と共に考え、作り上げたのが常若婚であると紹介。常若と常若婚についてのイメージ映像を流し、さらに説明を続けた。

発表会のなかで自身もお伊勢参りをしてきたと、ご朱印帳を見せる大西賢会長

 大西賢会長は2016年の鈴木英敬知事との対談で2021年に三重県で開催される国体の名称は「三重とこわか国体」と常若という言葉が使われており、鈴木英敬知事から常若のことを教えてもらい、常若婚が生まれるきっかけになったと紹介。

 伊勢神宮では内宮・外宮ともに20年に1度、社殿などをあらためて神様を遷す「式年遷宮」を行なうが、685年から1300年以上続く遷宮の長い歴史とそのたびに新しくなる社殿について「神宮は古くて新しい場所」であると話し、この「常に若く瑞々しいままで永遠に」という精神を伊勢では「常若(とこわか)」と呼んでいること、そしてこの思想が「常若婚」のコンセプトであると説明した。

「パートナーとともに人生の節目節目に伊勢を訪れ、いつまでも変わらないお互いへの思いと、パートナーとの絆が永遠であるよう、あらたに誓い合うことが『常若婚』でございます。

 例えば長年人生を歩んできた夫婦であれば、定年、還暦、子供の結婚や孫の誕生など、さまざまな人生のイベントの折々に、常若の思想が根付くこの三重・伊勢の地でなければできない、夫婦のあらたな絆を紡ぐ旅を提案するものであります。

『いつもありがとう。これからもよろしく』、感謝の気持ちと常若の精神が宿る伊勢の地で、寄り添う人と人が向き合い、感謝の気持ちを感じ、新たな気持ちを育む旅として、あらゆるパートナーにご体験いただきたいと考えています」と常若婚を紹介した。

大西賢会長は2016年の鈴木英敬知事との対談で2021年に三重県で開催される国体の名称は「三重とこわか国体」と常若という言葉が使われており、鈴木英敬知事から常若のことを教えてもらい、常若婚が生まれるきっかけになったと紹介した

2017年春に常若婚をテーマにしたダイナミックパッケージを発売

 続いて大西賢会長は「常若婚の旅には、パートナーとの記念の旅となるように、伊勢のおもてなしがたくさん詰まっています」と、常若婚の旅程イメージについて説明した。

常若婚の旅程イメージ
常若婚の旅程イメージ

「お伊勢参り」の順序はまず、二見興玉神社で禊(みそぎ)をすることから始まるという。それにならい1日目は二見興玉神社を訪れ、ご朱印を押してもらい感謝の言葉をしたためる。宿では伊勢の地ならではの料理を堪能し、ご朱印帳と共に感謝の言葉を交わし合う。

 2日目は伊勢神宮・外宮を訪ね、せんぐう館では、日本人の心のふるさとである伊勢の歴史と、常若の精神、常若婚を学び、内宮の静寂のなかでパートナーと今を迎えることができたことに感謝。最終日には「道開きの神」である猿田彦神社を訪ね、2人のあらたなこれからを神前に誓う。そういった旅程イメージを紹介したあと、2017年春にジャルパックが常若婚をテーマにしたダイナミックパッケージを発売することが発表された。

2017年春に常若婚をテーマにしたダイナミックパッケージを発売する予定
伊勢神宮の常若の精神を持続的な財産価値にして、観光振興を図っていくと説明
常若婚のツアーのためにご朱印帳や御守りが用意されるという

 常若婚のダイナミックパッケージには、この発表会の会場となっている「旅荘 海の蝶」も宿泊施設の有力候補に入っていることを紹介しつつ、「JALグループでは機内誌やビデオなどさまざまな媒体で発信し、この常若婚の旅を育てていきたいと考えております。皆さまも、パートナーへの『ありがとう』と『これからもよろしく』をご体験いただき、伝承者としてご支援いただけますようお願い申し上げます」と話し、説明を終えた。

常若婚で日本中が明るくなる“スタートの地”になれば

伊勢市 市長 鈴木健一氏

 続いて常若婚の舞台となる伊勢市を代表して、市長の鈴木健一氏が挨拶をした。JALグループの「JAL 新・JAPAN PROJECT」の取り組みに感謝を示したあと、天照大神(あまてらすおおみかみ)がこの地に鎮座する際に誘われた倭姫命(やまとひめのみこと)が、この地を訪れて、あまりの美しさに二度振り返ったことから「二見」と呼ばれるようになったという言い伝えや、神様へお供えする塩を製造している御塩田神社、御献と呼ばれる神様への食事に使う野菜を作っている御園(みその)がこの地にあることなどを紹介した。

「常若婚で訪ねていただく猿田彦神社は道開きの神様でして、私も市長に立候補した最初の選挙のときには祈願に参って、それから無事に当選を重ねさせていただいており、そのご神恩があらかたなのは確かでございます」と会場の笑いを誘いつつ、猿田彦神社の御守りを披露した。

鈴木健一市長は大西賢会長のプレゼンの映像でも登場した、猿田彦神社の8種類の御守りを披露した

 また、二見興玉神社は猿田彦大神と共に「岩戸隠れ」の伝説などに登場する芸能の女神である天鈿女命(あめのうずめのみこと)が祭られていることから芸能関係者の来訪がとても多いことを紹介しつつ、境内の磯合にある「夫婦岩」をモチーフにした常若婚のロゴマークを発表した。

「夏至の日には夫婦岩の真ん中から太陽が昇り、富士山も見えるという素晴らしい場所ですので、禊にもぜひ温かい季節にはご参加いただければと思います。この地で始まる常若婚に、たくさんの方にご参加いただいて、日本中が明るくなる“スタートの地”になればと心から期待しております」と挨拶を締めくくった。

常若婚のロゴマークが発表された

旅とパートナーへの感謝と常若の精神が「常若婚」へと結実したことに感謝

三重県 県知事 鈴木英敬氏

 三重県とJALが2015年12月12日に「『食』と『観光』に関する協定」を締結したことは、本誌でも既報のとおりだが、鈴木英敬知事はJALが地産品を機内食やラウンジで提供したり、機内ビデオや機内誌などで三重県の情報を発信していることにあらためて感謝を述べたあと、今回の常若婚の意義について話した。

「『旅』というのは『動機』なんだと思います。『景色を見たい』だけでは日本中、世界中の観光地のなかで簡単には勝てません。どういった動機で来ていただくか、そのバリエーションが重要でして、そこに『常若』の精神と『パートナーへの感謝』とを『旅』に結び付けていただいた。

 それは多くのお客さまとコミュニケーションを重ねてきたJALさんの知恵、経験があったからこそだと思っております。それに加えて『常若』の精神のように、JALが変革・再生を繰り返してきて、常に若々しく、瑞々しく、新しい道を求める努力をしてきたなかで生まれた知恵なんだと思います。

 私たちだけでは『常若』が『常若婚』という旅の提案までには至らなかったと思います。あらためてここでJALさんへ、そして関わってくださっている皆さんへ感謝を申し上げたいです」と挨拶した。

伊勢神宮に歌を奉納した相川七瀬さんも常若と常若婚への思いを語る

歌手の相川七瀬さんからのビデオレターが紹介された

 また会場では第64回伊勢神宮奉納全国花火大会のオープニングテーマソング「僕らのEndless Dream」を担当した歌手の相川七瀬さんからビデオレターが紹介された。花火大会の前には伊勢神宮の外宮、内宮で楽曲奉納、歌唱奉納を行なったことに触れ、「大きな自然につつまれ、神様と一つになったような心地よい時間でした」と振り返った。

 自身も神社巡りが好きだと話し、「伊勢神宮は特別な場所で、行くたびに新しい気持ちにさせてもらえる、リセットさせてもらって、今までの歩みを振り返ることができる場所だと思っています。それが『常若』の精神なんだと感じました。

 パートナーであったり家族であったり、そういった関係性は継続していくものですけど、そのときそのときの感謝の気持ちを思い起こし、表わすためにも伊勢神宮への参拝というのは、私たちにとって大切なことだと思います。

 縁結びというのは1度結ばれることが縁結びなのではなく、節目節目に結び直すことが縁結びなんだなと。それが「常若」「常若婚」なのではないでしょうか。

 日常ではパートナーに感謝の気持ちを言葉に出すのはなかなか難しいことかもしれませんが、こういった機会を作って、参拝をして、話す時間を作って、「常若婚」をしてみてはいかがでしょうか。私もあらためて常若婚をしてみたいと思います」とコメントを寄せた。

常若婚の協定書締結による今後の取り組み

締結日:2017年1月9日
Webサイト:常若婚
・「常若婚」プログラムの運営、伝承、広報活動
・地域連携サポート
・JAL機内誌/国際線機内ビデオ/専用サイトなどでの告知と運営
・旅行商品の開発と販売(JALパックのダイナミックパッケージは2017年春に発売予定)
・地元関係者への啓発活動(常若婚を理解して伝承できる語り部の育成など)
・常若婚運営についての定期的な会議の開催

 そして発表会の最後には鈴木健一市長、鈴木英敬知事、大西賢会長が、常若婚の事業展開に向けた協定書へサインを行ない、協定を締結。発表会終了後は二見興玉神社へ移動し、常若婚の報告と成功を祈願した。

鈴木健一市長、鈴木英敬知事、大西賢会長が、常若婚の事業展開に向けた協定書へサインした
二見興玉神社
二見興玉神社は夫婦岩で知られる
常若婚の報告と成功を祈願した
夫婦岩の前で、手でハートの形を作って記念撮影。写真左から、三重県四日市市出身のCA(客室乗務員)の真弓沙穂氏、鈴木健一市長、大西賢会長、鈴木英敬知事、三重県四日市市出身のCAの山本陽子氏