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ANA、ボーイング 787-8初号機「JA801A」が光輝く通常塗装となってドックアウト

次世代ペイントシステム「BC/CC」でリペイント

2017年2月28日 ドックアウト

リペイントを終えてドックアウトしたボーイング 787-8初号機「JA801A」

 ANA(全日本空輸)のボーイング 787-8初号機「JA801A」がリペイント作業を終え、2月28日にドックアウトした。ANAのボーイング 787型機のリペイント作業は今回が初。塗装は次世代ペイントシステム「BC/CC」(ベースコート/クリアーコート)を採用、耐候性に優れているほか、従来よりもボディの輝きを増していることが特徴となる。

初めてのボーイング 787型機のリペイント作業

 ボーイング 787-8初号機「JA801A」のリペイント作業は、2月14日に伊丹空港に隣接するMRO Japanの整備場へドックインして進められていた。今回は胴体と垂直尾翼、エンジンカバーのリペイントのみで、主翼や水平尾翼はそのままで、塗装は行なっていない。

 採用した次世代ペイントシステム「BC/CC」は、従来、下地塗装の上に表面塗装を施していたものを、下地塗装の上にボディーカラーを含んだベースコート、さらにその上にクリアーコートを塗装する方式。従来よりも耐候性に優れ、長期間に渡って退色防止と光沢維持を可能にするという。ANAでは、ボーイング 787型機ではJA875A以降の新造機に採用、そのほかの機種でも新造機やリペイント機に採用を進めている。

 さらに、ボーイング 787型機の場合は炭素繊維ボディの部分があり、溶剤で表面塗装の除去を可能にするため、下地塗装の上に中間塗装を施している。そのため、ボーイング 787型機でBC/CCを行なう場合、下から下地塗装、中間塗装、ベースコート、クリアーコートの4層となる。今回のリペイントではボーイング 787型機の初回作業ということで、中間塗装の状況確認や技術検証のため、表面塗装を削り取り、ベースコート、クリアーコートを施した。

 ドックアウトした機体は、従来の塗装を施した機体とは違った輝きがある。濃いブルーの部分の映り込みが強くなったほか、機体の下部のグレーの部分でも、地面に描かれたラインや、周囲の機材や作業にあたる整備士の姿がうっすらと映っていた。

 なお、ドックアウトしたボーイング 787-8初号機「JA801A」は、3月1日朝に羽田空港に回送し、その夜の上海行きから国際線にて営業運航を再開する予定だ。

リペイントを終えてドックアウトしたボーイング 787-8初号機「JA801A」
機体に映り込んだものから、表面のクリアーコートのツヤの具合がよく分かる
エンジンなどが反射して映っている
ドックの地面に描かれたラインや、作業台などが映っている。従来のグレーではここまでは映らないという
主翼は今回はリペイントしていないため、若干の汚れが見える
電源を接続する作業スタッフ。後方の作業車やスタッフが機体に写り込んでいる
ANAのボーイング 787型機の特徴としてボディーにマーキングがしてある。これは、ボディーに細かな傷などがあった場合に、従来構造の機体ならリベットの位置と数から場所の座標を説明できたが、ボーイング787型機はそれがない。そのため、ストリンガーと呼ばれる構造材の位置をマーキングし、場所を説明しやすくした
最後の整備をして、3月1日のフェリーと運航を待つボーイング 787-8初号機「JA801A」

14日間に渡るリペイント作業

 ANAは、ボーイング 787-8初号機「JA801A」のリペイント作業のうち、塗装を削り取る作業を公開した。ドックインから6日目の2月20日は、特徴であった機体後方の青を基調に白いラインを施した塗装はほぼ削り取りが終わり、機体前方の「787」の文字を削り取っていた。

 中間塗装の状態を確認するため、塗装を剥離する溶剤を使わず、すべてエアーで回転するヤスリで丹念に削り取っていた。中間塗装と下地塗装があるため、ボーイング 787型機の特徴でもある炭素繊維素材は見えることがなく、通常の金属ボディーの機体と、見える光景に違いはないという。

 機体の塗装を剥がす作業は、ANAでははじめて、ボーイングからも4名のスタッフが来日し、作業の様子や表面塗装を剥がした状態を確認していたという。

伊丹空港隣接のMRO Japanで作業中。足場の中にボーイング 787型機がある
機体前方の「787」の文字を削り取っている様子
反対側も削り作業中
機体後方の青を基調に白いラインを施した部分は削り取りがほぼ完了していた
コクピット部分はガラスなどがマスキングされ、表面の削り取りが行なわれている
上部はほぼ真っ白に
尾翼の付け根の部分。色が残っているのは、突起がある部分
スタッフが塗装を削った垂直尾翼を細かくチェックしている
塗装を落としている垂直尾翼
ドアなど
突起のある部分
エンジンはマスキングされ、埃や塗装の付着を防止
翼もビニールに覆われた
作業を行なったMRO Japan。左側は伊丹空港の敷地