ニュース

豪華寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の車両完成記念式典実施

デッキのデザインは「1930年代に一世を風靡した流線型車両群へのオマージュ」

2017年2月23日 公開

クルーズトレイン「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の初披露に合わせ車両完成記念式典実施

 JR西日本(西日本旅客鉄道)は2月23日、網干総合車両所宮原支所(大阪市淀川区)において、豪華寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」を報道陣に公開。“車両内および車体外観 初お披露目”として車両完成記念式典を実施した。

 式典には、JR西日本 代表取締役社長 来島達夫氏や、全体監修とインテリアデザインを担当した建築家・インテリアデザイナー 浦一也氏、エクステリアデザインを担当したインダストリアルデザイナー 福田哲夫氏、アンバサダーでありテーマ曲を提供したヴァイオリニストの葉加瀬太郎氏らが出席した。

西日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 来島達夫氏。壇上背後に幕がかかった車庫がある

 式典では、まず主催者代表としてJR西日本 代表取締役社長 来島達夫氏が登壇。「TWILIGHT EXPRESS 瑞風は、“美しい日本をホテルが走る”というコンセプトにふさわしい車両として完成いたしました。ご協力いただいた浦氏、福田氏、車両メーカーはもとより、車内には沿線の工芸品やアートを飾っています。これらを制作していただいた先生方など多数の関係者にご尽力いただきました。いよいよ6月17日より運行開始されます。ルートとなる山陰、山陽の自然や文化、食の魅力を発信していき、鉄道の旅で新たな価値を提供できればと思います」と挨拶した。

建築家・インテリアデザイナー 浦一也氏

 続けて登壇した、全体監修とインテリアデザイン担当の建築家・インテリアデザイナー 浦一也氏は、「外観はダークグリーンで、ちょっと懐かしさもあるデザインとしました。上質なホテルが走り出すような空間作りを目指しています。全体に流れるデザインは昭和初期にも通じるアールデコ。天然木をふんだんに使ったツインやシングルルーム、1両すべてを使いバスタブも備えた最高級のザ・スイート、フォーマルかつ上質なテーブルサービスを期待できるダイニングルーム、落ち着いた雰囲気のラウンジには茶の湯を楽しめる卓やバーも備えています。先頭車と最後尾は開放的な展望車でデッキに出ることもでき、運転席と視点の高さを揃えたシートも用意しました。皆さまに喜んでいただけると信じています」とデザインの解説を交えて挨拶した。

インダストリアルデザイナー 福田哲夫氏

 さらにエクステリアデザインを担当したインダストリアルデザイナー 福田哲夫氏も登壇し、「プロジェクトリーダーの浦先生のもと、エクステリアデザインを担当しました。これまでのJR西日本車両の流れを意識し、これまでのアイデンティティを踏襲しながら大切にデザインしました。中間車の窓では眺望を最優先し機能的な配置がされています。特徴的なデッキを囲む“5本のダイナミックループ”の流線は、1930年代に一世を風靡した流線型車両群へのオマージュでもありますが、同時に新しい時代の兆しを感じ、往還するという旅のイメージを込めています。伝統のエンブレムは、ロゴタイプと組み合わせ立体的な配置にしました。編成全体を貫く流線の帯は、両先頭を結び付け、一つにしています。多くの方々に魅力を感じていただけ、末永く愛され続けるよう願っています」とデザインの意味などに触れながら挨拶した。

 挨拶後、除幕式が行なわれ、場内一斉に「スリー、ツー、ワン」と発声しカウントダウンし、来島社長、浦氏、福田氏、葉加瀬氏により除幕ボタンが押下されると背後の幕が開き、ラッピングが剥がされたTWILIGHT EXPRESS 瑞風のグリーンの車体がゆっくりと現われた。そして、長緩汽笛が鳴らされた。

 なお、この様子は、「【4K動画】豪華寝台列車『TWILIGHT EXPRESS 瑞風』初お披露目」で動画も紹介している。

場内一斉カウントダウンの後、来島社長、浦氏、福田氏、葉加瀬氏により除幕ボタンが押された
幕が開き、TWILIGHT EXPRESS 瑞風のグリーンの車体が姿を現わす
TWILIGHT EXPRESS 瑞風の先頭車両が現れた
アンバサダーのヴァイオリニスト 葉加瀬太郎氏

 その後、TWILIGHT EXPRESS 瑞風の前で、クルーが登壇し紹介があった。続けてアンバサダーのヴァイオリニスト 葉加瀬太郎氏が挨拶し、提供したテーマ曲「瑞風~MIZUKAZE」を生演奏した。葉加瀬太郎氏は演奏前の挨拶で、「2016年末に奥出雲、萩、尾道、倉敷を旅をしてイメージを膨らませ、1月に完成させました。今朝方一足早く車内を見学させていただきましたが、こんな空間があの山陰や山陽を走るのかと感動しました。今日は世界初演となります。ラウンジやバーでの演奏や曲をかけていただくために、別バージョンの制作にもとりかかります。自身のコンサートなどで演奏し、この瑞風をPRさせていこうと思います」と語った。

 山陰や山陽の美しい風景と調和したグリーンの車体が走り抜けていく姿をイメージして作曲したというテーマ曲は、まさに車両が疾走する感覚がありながら、日本人の琴線に触れる情熱的で耳に残るメロディがちりばめられたミドルテンポの曲。当日演奏したのは、リズミカルで高揚感のある演奏で、演奏中に葉加瀬氏がリズムに合わせて体を揺らす場面も見られ、熱の入った演奏だった。

TWILIGHT EXPRESS 瑞風の前で紹介されるクルー
列車内での主人役を担う列車長
葉加瀬氏が提供するテーマ曲をヴァイオリンで演奏
TWILIGHT EXPRESS 瑞風の前での生演奏

 最後に、再び来島社長が登壇。「TWILIGHT EXPRESS 瑞風を、上質さのなかに心安まる懐かしさを感じる列車にしていきたいという思いがありますが、葉加瀬さまには、それにふさわしいテーマ曲を作っていただけたと思います。車内でお聴きいただき、クルーのおもてなしとともに、印象に残る旅を味わっていただければと思います。JR西日本グループ総力をあげて、期待に応えられるよう勉めていきます」と締めくくった。

 なお、式典後の走行シーンや車両公開については、「【4K動画】豪華寝台列車『TWILIGHT EXPRESS 瑞風』の構内走行シーンを公開」や、「豪華寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」展望車、食堂車、ロイヤルツインなど車両内部を初公開」でお伝えしているとおり。併せてご覧いただきたい。

TWILIGHT EXPRESS 瑞風の前で挨拶するJR西日本 代表取締役社長 来島達夫氏
TWILIGHT EXPRESS 瑞風