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「京の冬の旅」オープニングセレモニーを特別公開中の壬生寺で開催

壬生寺の非公開文化財特別公開は本堂と狂言堂で3月18日まで

2017年1月13日 開催

壬生寺表門

 京都市、京都市観光協会、JRグループが共同で開催する京都デスティネーションキャペーン「京の冬の旅」が1月1日から3月20日まで開催中。今回は第51回目となるが、そのオープニングセレモニーが1月13日、京都の壬生寺で開催された。

「京の冬の旅」は、1967年(昭和42年)1月~3月に、オフシーズンとなる冬季の観光客誘致を図るため、定期観光バスの特別コースを運行するなどの対策事業としてスタート。1971年の5回目から「京の冬の旅」の名前で事業を展開している。10回目となる1976年からは「非公開文化財特別公開」が開始され、セレモニーの会場となった壬生寺は、通常非公開の本堂と狂言堂を公開する。

 壬生寺は、新選組が境内を訓練場として使っていたことで知られ、近藤勇の銅像があるなど関わりの深い場所。2017年は「大政奉還150年」にあたり、特別公開寺院となったという。

本堂の前でセレモニーが行なわれた

京都観光のキーマンが集まってオープニングセレモニー

 壬生寺で行なわれたセレモニーは京都市長をはじめ、京都市観光協会、JR西日本(西日本旅客鉄道)、JR東海(東海旅客鉄道)、京阪バスなどをはじめ、京都市議会議長と副議長、交通事業者、旅行会社などの関係者が多数出席した。

京都市長 門川大作氏

 主催の京都市からは京都市長の門川大作氏が挨拶、「壬生寺、京都の中心にあり、さまざまな文化を築いてきた。150年余り前は、このあたりを新選組が活躍していた」と紹介、歴史的施設でありながら、現在も保育施設や福祉施設も併設した壬生寺を「文化の基盤」と評価した。

 門川氏は、京都の観光は順調の一方で厳しい面があるとし、「インバウンドは好調だが、国内観光客が少し厳しい。宿泊予約がとれないために、国内が少し減ったんじゃないかなと、感じるときもある」と指摘した。そして、国内観光客の落ち込みに「『京の冬の旅』が大きな役割を果たしてくれると思っている」と期待を寄せ、「1月と2月は食文化、お酒も、お漬物も、あらゆる料理が美味しい時期であります。そうした魅力も発信していきたい」とアピールした。

京都市観光協会 会長 柏原康夫氏

 京都市観光協会 会長の柏原康夫氏は、バスの試乗会で京都をまわった際の感想として「京都はすごい。何度もうかがっても、新しい発見がある。京都に住まわしてもらって、文化のなかにいるというのは、本当にすごいこと」と話した。「このキャンペーン、毎年毎年繰り返しても、新しい発見があるという京都の大きな財産。それを大切に守りながら、日本中、世界中に京都の文化のすばらしさが伝わり、すばらいしい京都の文化を味わっていただけたらなと思う」と京都を絶賛した。

西日本旅客鉄道株式会社 執行役員営業本部長 室博氏

 JR西日本の執行役員営業本部長である室博氏は「京の冬の旅」の効果について触れ、「閑散期と繁忙期の差を縮めるという点からすれば、去年の4月と2月の差は1.4倍にまで縮まっている。今回、51回目はさらにこの差を縮めるために『大政奉還150年』をテーマに、壬生寺をはじめ14カ所の特別公開、京阪バスによる非常に便利な定期観光バス、こういうものを利用して京都の観光を高めていく」と紹介した。

 室氏は2016年4月に開館した京都鉄道博物館を「11月に100万人のお客さまに入館していただき、一つの観光名所になったのではないか」と紹介、京都駅については、2月に140周年を迎えてイベントの開催や記念の駅弁の提供など、京都集客の取り組みを行なうとした。また、6月に運行開始する「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」については列車でお茶をたてることができ“This is 日本”“This is 京都”だと紹介、出発地として京都駅にラウンジができることにも触れ、「京都の皆さまと、新しい京都のおもてなしができたらいいな」と話した。

壬生寺 貫主 松浦俊海氏

 壬生寺 貫主の松浦俊海氏は、壬生寺が特別公開場所となったことについて「まことに光栄で、厚くお礼を申し上げる」と感謝を表わし、「壬生寺界隈は新選組ファンのメッカで、たくさんの若い人たちが幕末の歴史を探訪ということで訪れるところ。このお寺は約1000年の歴史があり、お地蔵さんをお祭りする」と壬生寺を紹介、「京の都の平安京の1000年の歴史はコンテンツが本当に多い」と京都の歴史の深さを指摘し、観光客には「文化を吸収していただき、楽しんでいただくよう祈念をする次第」と結んだ。

 このほか、「京の冬の旅」のポスターに出演する魚三楼 9代目当主 荒木稔雄氏と書家の川尾朋子氏も登壇。荒木氏は「寒い時季であるが、日本料理がいちばん美味しい時季。脂がのったり、甘みが増したりする食材を使いながら、世界中の皆さまに京都のよさ、食のよさをアピールしていきたい」とコメント、川尾氏は「書道の師匠にも京都で出会った、書道用品店の店主にもかわいがっていただいて、書道をさせていただいてると思ってる」と京都への感謝を述べて京都のよさを広めたいと語った。

魚三楼 9代目当主 荒木稔雄氏
書家の川尾朋子氏
2人が登場したポスター

 セレモニーでは、くす玉開披と、壬生六斎会による壬生六斎念仏の奉納を行なった。

主要な関係者がくす玉開披
壬生六斎会による壬生六斎念仏の奉納

壬生寺は本堂と狂言堂を特別公開中

 壬生寺では、1月7日~3月18日(1月30日~2月5日除く)の間、通常非公開の本堂と狂言堂を特別公開する。通常は年間で数日しか公開しないが、今回は特別に約2カ月間に渡って一般公開する。

 本堂は現存最古級の地蔵菩薩像や2016年5月に壬生寺に安置された鑑真和上坐像も初めて公開される。また、「大念佛堂(狂言堂)」も公開、壬生狂言の衣装や小道具、面も公開される。拝観料は大人600円、小学生300円で、公開時間は8時30分からで、16時に拝観受付を終了する。

本堂
本堂の内部(許可を得て撮影)
2016年5月に本堂に安置された鑑真和上坐像(許可を得て撮影)
大念佛堂(狂言堂)
狂言堂の1階部分。客間や衣装の間がある(許可を得て撮影)
貴重な「面」も公開される(許可を得て撮影)
小道具(許可を得て撮影)
衣装(許可を得て撮影)
2階部分。こちらの囲いを外すと舞台となり、外から壬生狂言を見る(許可を得て撮影)
能舞台にない「飛び込み」を行なうための縄が天井にある(許可を得て撮影)
縄が天井にある(許可を得て撮影)