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鉄旅オブザイヤー2016、「赤い風船 観光列車『ながまれ海峡号』に乗ろう」が第6回グランプリに輝く

2017年1月25日 授賞式開催

第6回目の開催となる鉄旅オブザイヤー

 2017年1月25日、「鉄道博物館」(埼玉県さいたま市大宮区)において「第6回 鉄旅オブザイヤー2016」の授賞式が開催された。このアワードでは、2015年11月~2016年10月にかけて実際に販売されて催行された鉄道旅行のなかから、とくに企画性やオリジナリティの高い商品(作品)を表彰する。「鉄旅オブザイヤー」は今回で第6回目となり、従来からの旅行会社部門に加え、一般鉄道旅行ファンより募集した「夢の鉄道旅行企画」を表彰する一般部門も新設された。

 このアワードを運営する鉄旅オブザイヤー実行委員会は、旅行業界のなかで魅力的な鉄道の旅を発信し、鉄道利用の促進を図るためのプロジェクトを立ち上げたメンバーが中心となっており、主要旅行会社のマネージャー、役員からなる15名の実行委員で構成されている。

優れた鉄道旅行の担当者とその旅行商品(作品)を表彰する
応募総数は106作品(16社)

旅行会社部門

 旅行会社部門は、応募総数106作品(16社)のなかから、鉄旅オブザイヤー実行委員会による一次審査で24作品に絞られた。応募時は、鉄道の魅力も訴求した長期旅行(3泊4日)「ロングバケーション部門」、鉄道を使った(関係する)イベントが盛り込まれている「鉄道イベント部門」、ローカル鉄道のファンが作り、地位活性化に貢献がある「ローカル線・地域活性化部門」、鉄道を活用することで、旅情を高めている「鉄道旅情部門」、特別感、珍しい車両、路線、施設などが旅の目的になっている「鉄っちゃんも納得部門」と、ジャンルごとの5部門に分けられおり、そのなかから、ロングバケーション部門から4作品、鉄道イベント部門から4作品、ローカル線・地域活性化部門から4作品、鉄道旅情部門から7作品、鉄っちゃんも納得部門から5作品が二次審査に進んだ。

 その後、外部審査員による二次審査が行なわれ、グランプリ、準グランプリ、審査員特別賞、DC賞、ルーキー賞の5作品が決定された。

審査項目

1.企画性「一般の方には真似のできない旅行のプロとしての企画力が感じられるか?」
2.オリジナリティ「他に類を見ない独創的な作品となっているか?」
3.鉄道力「乗車する列車・路線の魅力度(作品で乗車する列車路線自体に魅力を感じるか?)」
4.コストパフォーマンス「自腹で旅行代金を払うとしたら……?」
5.非鉄誘引力「非鉄道ファンにとっての旅自体の魅力度(とりたてて鉄道好きでない人にとっても魅力的かどうか?)」
6.ベストセールス「販売数や申し込み人数の量が多いか? 中期的な継続性があるか?」

一般部門

 一般部門は、応募総数13作品のなかから、鉄旅オブザイヤー実行委員会による一次審査、外部審査員による二次審査を経て、ベストアマチュア賞の1作品が決定された。

審査項目

1.企画性「旅行のプロも顔負けの企画力が感じられるか?」
2.オリジナリティ「他に類を見ない独創的な作品となっているか?」
3.鉄道力「乗車する列車・路線の魅力度(作品で乗車する列車路線自体に魅力を感じるか?)」
4.非鉄誘引力「非鉄道ファンにとっての旅自体の魅力度(とりたてて鉄道好きでない人にとっても魅力的かどうか?)」
5.参加意欲「この旅行作品が実現したら参加をしたくなるか?」

 外部審査員は以下のとおり(敬称略・五十音順)。

委員長:芦原伸、「旅と鉄道」編集長、日本旅行作家協会常任理事
委員:井門隆夫、株式会社井門観光研究所、高崎経済大学地域政策学部観光政策学科准教授
委員:五十嵐匡一、月刊「旅の手帖」編集長
委員:榎本 聖之、鉄道模型バー銀座パノラマ渋谷店オーナー
委員:オオゼキタク。シンガーソングライター
委員:大塚圭一郎、共同通信社編集局経済部次長、鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」執筆者
委員:栗原景、フォトライター
委員:島川崇、東洋大学国際地域学部国際観光学科 学科長 教授
委員:杉山淳一、鉄道ライター
委員:鉄旅ガールズ、鉄旅好き女子
委員:南田裕介、鉄道好きマネージャー(株式会社ホリプロ)
委員:豊岡真澄、元祖鉄道アイドル、ママ鉄代表
委員:矢野直美、旅をしながら「撮って書く」フォトライター

外部審査は旅行会社に属さない、鉄道に造詣の深い13人が担当
鉄旅オブザイヤー実行委員長の戸川和良氏

 授賞式は鉄道好きとして知られているお笑い芸人「ダーリンハニー」の吉川正洋氏と女子鉄アナウンサーの久野知美氏が司会進行役として、自身の鉄道愛を盛り込みながら進められた。

 まず最初に実行委員長であるKNT-CTホールディングス 代表取締役社長の戸川和良氏が登壇し、「過去最多の応募総数をいただいたわけですが、JR・私鉄ともに国内旅行における鉄道旅行の対するニーズの高まりを実感しております。また、魅力的な観光列車が次々に登場し、それだけで観光素材としても注目を集めているなか、3月から運行を開始するJR九州の『かわせみ やませみ』、4月からはJR四国の『四国まんなか千年ものがたり』、5月にはJR東日本の『トランスイート四季島』、6月からはJR西日本の『TWILIGHT EXPRESS 瑞風』と、非常にバラエティ豊かな鉄道商品が出てまいります。我々旅行会社としてはいち早く旅行商品に仕上げて全国に広めていきたいと思っています」とコメント。また、自身は飲みながら鉄道旅行を楽しむ“飲み鉄”であるとし、先日はJR四国の観光列車「伊予灘ものがたり」に乗車し、来月は「花嫁のれん」と「ベル・モンターニュ・エ・メール~べるもんた~」に乗車する予定と話し、会場を沸かせた。

 次に、これからデビューする新しい観光列車の一つとして、JR四国が4月1日から運行開始する「四国まんなか千年ものがたり」が紹介された。

 徳島では桃の節句になるとお弁当を持って野山にでかける「遊山」と呼ばれる行事があり、この列車は「大人の遊山」をコンセプトとして企画された。情緒的な響きのある“遊山”を、気軽に乗れる列車旅として現台風にアレンジしたとのことだ。運行は土日祝日と平日の月曜日と金曜日が予定されている。

4月1日から運行開始されるJR四国の「四国まんなか千年ものがたり」
コンセプトは「大人の遊山」
今年の1月17日に初めて列車を走らせた映像も紹介された
四国旅客鉄道株式会社 千年ものがたり企画室 アテンダント 山﨑美里氏

 運行区間は香川県多度津から徳島県の大歩危までの全長65.5kmの1往復で、多度津から大歩危行きは「そらの郷紀行」、大歩危から多度津行きは「しあわせの郷紀行」と名付けられている。琴平から大歩危間は四国山地を横断する土讃線の中間で、地理的にも四国の真ん中あたりに位置しており、弘法大師の生誕地である善通寺や古くから海の神様として信仰を集めるこんぴらさん、平家落人の秘話や伝説が今なお残る秘境祖谷地方など史跡が多く、美しい渓谷の景観と合わせて魅力的なルートとなっている。

運行区間は多度津から大歩危までの全長65.5kmで1日1往復の予定

 車両は3両編成で座席数は57、料金はグリーン車指定席特急料金で多度津~大歩危は3740円、善通寺・琴平~大歩危は3550円となっている。デザインは春から冬へと移り変わる日本の四季を表現しており、1号車は春、2号車は夏と冬、3号車は秋をイメージしている。2号車は左右のデザインを変えることで夏と冬を表現しているそうだ。

車両は3両編成で、それぞれ外観や内装のデザインが異なる

 また、列車の中で提供される食事にもこだわっており、そらの郷紀行で提供される「さぬきこだわり食材の洋風料理」は金刀比羅宮のカフェレストラン「神椿」が提供。その神椿は東京・銀座の老舗である資生堂パーラーが運営しているものであり、香川県の地元食材を使ったこだわりの料理が提供される。しあわせの郷紀行では、徳島の日本料理店「味匠 藤本」がプロデュースする「おとなの遊山箱」が提供される。こちらは遊山に出かける際に食材を詰めた「遊山箱」を使用し、地元食材にこだわった料理を3段の箱に盛り付けて提供される。どちらも事前予約制となっており、さぬきこだわり食材の洋風料理は5500円、おとなの遊山箱は4500円となっている。

列車で提供される食事は事前予約制となっており、地元食材を使ったこだわりのメニューとなっている
壇上で列車をアピールするJR四国の山﨑氏。車両は185系を改装したものであり、デザインはJR四国の社員が担当したそうだ

結果発表、グランプリは日本旅行の「赤い風船 観光列車『ながまれ海峡号』に乗ろう」に

 新しい観光列車「四国まんなか千年ものがたり」が紹介されたあとは、旅行会社部門のファイナリストとして残った5作品の担当者も登壇して、各にプランを紹介。そして、いよいよ結果発表。結果は次のようになり、ローカル線・地域活性化部門からグランプリと準グランプリが選出された。プランの概要や担当者の思い入れ、外部審査員のコメントも合わせて紹介しよう。

グランプリ

応募No.67(ローカル線・地域活性化部門)
「赤い風船 観光列車『ながまれ海峡号』に乗ろう」
株式会社日本旅行 新規事業室 鉄道プロジェクト 瀬端浩之氏、株式会社日本旅行北海道 地方創生推進室 永山茂氏、道南いさりび鉄道株式会社 代表取締役社長 小上一郎氏

 北海道新幹線開業を契機とした道南エリアのさらなる地域活性化を目的として、観光列車「道南いさりび食堂ながまれ号」を総合プロデュース。国内で初めて、旅行会社が企画から販売、列車内でのサービス提供までを手掛けた。JR北海道から譲り受けるキハ40系気動車を2両改装し、観光列車として仕立て上げており、普段は日常の通勤、通学用として、地元住民の足として運行するが、団体観光用として車内で食事が楽しめるようにテーブルやヘッドレストを新たに設置したそうだ。地元の多大な協力により、車内の装飾はカーテンではなく大漁旗を掛けたり、漁火用の大きな電球を吊るすなどし、ユニークな試みを展開。「函館海鮮スイーツ丼」(函館市)や「どうなんde's イタリアンオードブル」(木古内市)、「特選いさりび焼き」(北斗市)といった沿線3市町村のグルメを楽しみながら漁火や美しい夕景を満喫でき、道内の明るい話題の一つとして取り上げられるなど、予想以上に利用してもらえたとのことだ。また、スタッフのアットホームな対応はもとより、地元の方がホームで立ち売りで駅弁を販売するなど、窓から買い物という懐かしい体験ができたといったエピソードも紹介された。

 杉山淳一氏コメント「観光列車が各地で誕生しています。ライバルは全国の観光列車です。そのなかで、スイーツ丼の楽しさ、いさりび焼きの大胆さというアイデア、函館湾の風景という特長を活かしたインテリア、どれも素晴らしい。この列車のためだけに函館へ行こうと思えます。北海道新幹線開業で不安に思われがちな並行在来線について、明るい話題を全国に振りまいた功績も大きいです。鉄道会社は運行に専念し、観光列車の運営は旅行会社が行なうという、ビジネスモデルも画期的です」。

 大塚圭一郎氏コメント「2016年3月の北海道新幹線開業という『明』と引き替えに、赤字の並行在来線を切り離す『暗』の部分を担って発足した第三セクター鉄道の道南いさりび鉄道を支援するため、旅行会社が得意とする企画・販売力とノウハウを結集させて遠方からの訪問者を呼び込んだ地域振興ツアーの決定版だ。旅行者で賑わう観光列車が走ったことで沿線地域が元気づけられ、幸先のよいスタートを切った効果は大きい。大部分の第三セクター鉄道は経常損益の赤字が続いており、今回の成功が他の三セク鉄道にとっても観光客を呼び込む方策を進める上で模範事例となることを期待している」。

 オオゼキタク氏コメント「開業したばかりの道南いさりび鉄道はのんびりしたローカル線のイメージがありますが、貨物の大動脈のため、運行ダイヤ作成に見えない苦労があったと今回初めて知りました。贅を尽くした豪華旅もいいですが、限られた資源のなかでどうすればお客さまに楽しんでもらえるかスタッフみんなで頭をひねって考えた、愛のこもった作品と感じました」。

プレゼンターを務めた芦原伸氏とグランプリを受賞した株式会社日本旅行 新規事業室 鉄道プロジェクト 瀬端浩之氏、道南いさりび鉄道株式会社 代表取締役社長 小上一郎氏 、株式会社日本旅行北海道 地方創生推進室 永山茂氏
瀬端氏は「私もうれしいですが、函館、木古内、北斗のみなさんも同じ気持ちだと思います」とコメント
小上氏は「栄誉ある賞を受賞して感激しております。この受賞が沿線の活力に必ずやつながっていくことと思います」と語った
永山氏は「鉄道愛好歴50年の鉄ちゃんが、この栄えある賞をいただき感無量でございます。少しでも地域や業界のために役に立てたのかなと思います。北海道を元気にしよう!鉄道観光は地域創生の切り札だ!を合言葉に頑張っていきたいと思います」と笑いを誘いつつ、元気に感想を述べていた
移管するにあたり、旅行会社が企画から販売、列車内でのサービス提供までを手掛ける
函館、木古内の食材を用いた料理に一工夫を加える
茂辺地駅では駅の構内で「いさりび焼き」を実施するなど大胆な企画も実行
準グランプリ

応募No.99(ローカル線・地域活性化部門)

「長崎・雲仙仁田峠ミヤマキリシマと『幸せの黄色い王国』福袋付きカーネーション列車と島原半島7大ご当地グルメ食べ比べ」
株式会社読売旅行 九州営業部 佐賀営業所 小田隆徳氏、吉田裕謙氏、島原鉄道株式会社 北尾好成氏、日本観光鉄道 野村浩志氏

 島原半島瑞穂地区はカーネーションの産地であり、地元で毎年人気の仁田峠約10万本のミヤマキリシマが見ごろを迎える5月の“母の日”周辺を設定。顧客層の大半にあたる女性(母親)への日ごろの感謝の気持ちとして「母の日福袋列車」を企画した。地元の協力を得て、母の日にからめた「88(はは)個ポイント」を宣伝物に掲載するなど、地域資源を存分に活用したプランとなっている。販売開始後は好評につき合計約600名の予約があったが、4月14日に「平成28年熊本地震」が発生。直後はキャンセルが相次ぎ、募集の継続や催行の可否を慎重に検討したとのこと。九州一体となって地域経済を盛り立てたいと考えから実施を決定し、結果としてバス12台による461名のツアー催行となったそうだ。

 栗原景氏コメント「作品内容もさることながら、パンフレットに目が釘付けとなりました。車窓にグルメ、花にお祭り、街歩きなど、あらゆる要素がてんこ盛りでこのお値段! 今から参加できませんか? と電話しそうになりました。地元の普通の方がどんどん出てくるのもよいですね。熊本地震の直後からの催行となりましたが、自粛ムードが広がるなか催行中止にしなかったという意気込みにも拍手です。こうした作品がもっともっと企画されると、地方の町と鉄道はきっと元気になると思います」。

準グランプリを受賞した株式会社読売旅行 九州営業部 佐賀営業所 小田隆徳氏、島原鉄道株式会社 北尾好成氏、日本観光鉄道 野村浩志氏
圧倒的な情報量で埋め尽くされたパンフレット
日本観光鉄道代表(旧山形鉄道社長)である野村氏のアドバイスにより地域資源を徹底活用
史上初の鯉駅長が島原駅に就任。その模様はYahoo! JAPANのトップニュースとしても掲載された
ルーキー賞

応募No.14(鉄道イベント部門)

「日本海絶景トレイン『きらきらうえつ号』に乗る 月山・鳥海山3つの絶景遊覧3日間」、株式会社阪急交通社 東日本営業本部 メディア営業1部 高橋美和氏

 JR東日本の観光列車「きらきらうえつ」を3設定日チャーターし、日本海きらきら羽越観光圏推進協議会の協賛で車内イベントを開催。チャーター日は10の特典を設け、ホテルも通常プラントは違うSクラスを設定することでチャーター日への誘導を図った。推進協議会だけでなく、鶴岡市観光協会、庄内コンベンション協会などとタイアップし、鶴岡駅でのイベントも開催した。車内で日本酒の試飲会を実施したところ、ほろ酔いの参加者同士が親睦を深めるといったうれしい出来事もあったそうだ。

 矢野直美氏コメント「東北の絶景と鉄道旅を組み合わせた魅力的なツアー。鉄道ファンにとって憧れの路線が組み込まれ、それ以外の方にも魅力的なスポットを訪れることができる「絶景ツアー」は、幅広い方たちが楽しめるツアーだと思います。まさに、東北を再発見できるツアーですね」。

ルーキー賞を受賞した株式会社阪急交通社の高橋美和氏
運行区間は新潟駅~鶴岡駅の126分。さまざまな組織から協力を取り付けて実現したとのこと
地酒やジュースを振る舞っている様子
メロンの振る舞いもあり、大変好評だったとのことだ
DC賞

応募No.23(鉄道旅情部門)

「【プレミアムステージ】中国鉄道コンチェルト<第1楽章>~瀬戸内観光列車旅の章~3日間」
クラブツーリズム株式会社 第3国内旅行センター 増成宜迪氏

 鉄道ファンに贈る、個人では実現不可能な夢の列車旅「鉄道コンチェルト」シリーズの第9弾。瀬戸内を舞台に、デビュー直後となる岡山観光列車に後楽園・春の幻想庭園やオープン直後の津山まなびの鉄道館などトレンド素材を組み込む。

 また、瀬戸内観光列車の瀬戸内マリンビューや岡山電気軌道貸切運行&基地見学、「500 TYPE EVA」の実物大コクピット搭乗体験を組み込むなど、鉄道ファンにとってはうれしい盛りだくさんの内容となっている。増成氏は「パンフレットで紹介していない“隠し要素”も毎回用意しているのですが、今回はトレインビューが楽しめる客室でした。常連の方には先読みされるなどプレッシャーもありますが、プロとして頑張りたいと思います」とコメント。

 五十嵐匡一氏コメント「鉄道ファンなら誰もが懐かしく感じる観光列車『みまさかノスタルジー』から始まり、多くの魅力的な観光列車を組み合わせた鉄道旅は、列車好きでなくても、行ってみたいコースに仕上がっているように思います。また近年盛り上がっている瀬戸内観光や、「晴れの国おかやまデスティネーションキャンペーン」に合わせたこの時期ならではのイベントを組み込んだところも特別感を感じました。復路も単純なアクセスにせず、山陽新幹線『500 TYPE EVA』に乗車でき、最後まで飽きさせないコース設定は見事です」。

DC賞を受賞したクラブツーリズム株式会社の増成宜迪氏
デビューしたばかりの2つの観光列車「ノスタルジー」と「La Malle de Bois」を用意
予約が殺到して取りづらい「500 TYPE EVA」の実物大コクピット搭乗体験も団体旅行に組み込む
パンフレットには書かれていないサプライズも用意するプロとしての矜持も
審査員特別賞

応募No.2(鉄道イベント部門)

「貸切新幹線で行く 元気に!九州 鹿児島」
西鉄旅行株式会社 商品企画部 みちくさセンター 齊藤隆朗氏、綾部千恵子氏、JR部 金谷晋氏

 熊本地区震災による旅行需要回復のため、九州ふっこう割を利用した商品を設定、比較的安価な旅行代金ということで、参加者からは大変な好評を得たとのこと。九州新幹線「N700系」(定員:546人)を貸し切り、1泊2日で個人型商品(フリープラン)と団体型商品6コースを設定。団体型商品は博多で人気のバンド「Windy」に同乗してもらい、鹿児島のホテルでディナーライブも行なった。新幹線の中ではいろいろなイベントを計画していたが、博多~鹿児島中央駅は約1時間30分で到着するため、駆け足での案内となってしまったそうだ。

 芦原伸氏コメント「九州ふっこう割を巧みに利用して、新幹線を貸し切りでイベントを行なうなど、ユニークな企画力が光っています。コースと宿泊地も選ぶことができ、ファミリーやカップル、一人でも楽しめる好ツアーです」。

審査員特別賞を受賞した西鉄旅行株式会社の齊藤隆朗氏、綾部千恵子氏、金谷晋氏
九州新幹線「N700系」の8両編成を貸し切って催行
九州ふっこう割を活用してお値打ち価格でアピール
博多の人気バンド「Windy」にディナーライブを行なってもらう

一般部門は四国を横断する鉄道の旅が受賞

 一般部門のベストアマチュア賞は「寝台特急サンライズ瀬戸&四国まんなか千年物語号で行く四国横断鉄道の旅」を企画した谷正博氏が受賞。内容は、東京から寝台特急「サンライズ瀬戸」で瀬戸大橋から眺める朝日を浴びながら高松へ入り、栗林公園を散策した後は丸亀でうちわ作りを体験。琴平で1泊する。2日目は早朝からこんぴらさんへ参り、「四国まんなか千年物語号」で車窓からの眺めを堪能しながら車内で昼食。大歩危では川下りを楽しむ。その後は後免駅に向かい、土佐くろしお鉄道で東側へ移動。奈半利からバスに乗って室戸岬へ行き、夕陽を楽しんだ後に宿泊。3日目は室戸観光を楽しんだ後に高知へ向かい、特急南風で岡山まで移動し、新幹線で一気に東京まで戻るという2泊4日の鉄旅となっている。出発は木曜日の夜なので、金曜日を有給休暇にするだけで、さまざまな列車旅が楽しめるとのことだ。

榎本聖之氏コメント「非常に魅力的なスケジュールでした。個人旅行でしか四国に行ったことが無い方にもぜひおすすめしたいツアーだと思いました。かく言う私も個人でしか四国へ行ったことがないので、こんなツアーがあればぜひ参加してみたいです」。

ベストアマチュア賞を受賞した谷正博氏。祖父が国鉄で働いていたということも影響して、幼少期から鉄道を愛し続けているとのことだ。受賞するとは夢にも思っていなかったそうで、この日は急きょ休みを取って臨んだと話していた
1日目は東京駅22時発の「サンライズ瀬戸」に乗って、早朝に高松入り。もちろん朝食はうどんだ
2日目は金刀比羅宮を参拝した後、渓谷の自然を満喫しながら夕陽を見るために室戸岬へ
3日目は室戸ジオパークを観光した後、お昼過ぎに南風18号に乗って岡山へ。その後は新幹線に乗って東京まで戻る日程となっている

 授賞式が終了した後は、吉川正洋氏と久野知美氏、それと久野氏のマネージャーで大の鉄道愛好家である南田裕介氏がトークショーを行なった。まずは吉川氏が、自身の2016年鉄道トピックスとして、五七五で駅名が並んでいる「鉄道川柳」なるものを披露した。並んでいるだけだと分かりづらいのだが、声に出してみると「おお!なるほど!」といった響きがあった。今後は"詠み鉄"を流行らせたいと意気込みを語っていた。

鉄道川柳を披露する吉川正洋氏。右は南田裕介氏
これは「とうようちょう みなみすなまち にしかさい」
こちらは「ねづゆしま しんおちゃのみず おおてまち」と根津と湯島をつなげるのがポイントだとか
JR関西本線からのもので「こおりやま やまとこいずみ ほうりゅうじ」
「つくいはま みうらかいがん みさきぐち」。これは終点が最後に来るのが美しいとのこと
変わり種としては「ながたちょう よつやいちがや いいだばし」、「しなのまち よつやいちがや いいだばし」と、南北線でも総武線でも対応できる点をオススメしていた

 久野氏は東武鉄道東上本線「TJライナー」の車内アナウンス、西武鉄道の旅するレストラン「52席の至福」の観光案内を担当したそうだ。そして、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で流行した恋ダンスをアレンジ、恋(駅)ダンスを鉄道関係者や"恋"が付く駅で踊った模様が披露された。

自身のトピックスを語る久野氏
「TJライナー」の車内アナウンスを担当したとのことで、実際に壇上で披露した
「52席の至福」では観光案内を担当
恋ヶ窪駅で恋(駅)ダンスを踊る

 南田氏は昨年大ブレークしたピコ太郎の「PPAP」を鉄道に当てはめたり、流行キーワードの「神ってる」を駅名から探し出して会場の笑いを誘っていた。

PとAで始まる鉄道関連のワードを紹介
このあたりはネタ切れで、お後よろしくといった感じ
神ってるでは全国の神が入っている駅名を披露。オススメを聞かれて備中神代駅を即答していた
授賞式が終了したあとは受賞者と審査員で鉄道博物館内にあるC57の前で記念撮影を行なった