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JR西日本、うめきた地区の東海道線支線地下化・新駅設置工事を公開

特急「はるか」が停車予定の北梅田駅(仮称)は2023年3月開業予定

2017年10月27日 公開

うめきたエリア。後ろには現在の線路を走る特急「はるか」

 JR西日本(西日本旅客鉄道)は10月27日、全面着工を迎えた東海道線支線の地下化・新駅設置工事の一部を報道公開した。大阪駅の北側に位置する“うめきた”と呼ばれる地域で、踏切の廃止による周辺交通の改善、地下化によって大阪駅前という立地の有効活用、さらに、新駅の設置で、関西国際空港への交通アクセス改善など、多くの効果がある事業となっている。

2023年3月に移転開通、関空へのアクセスに重要な路線

大阪駅のノースゲートビルから見た工事区間。奥が現在の線路、その右側に新しい地下区間となる掘削箇所が見える

 東海道線支線は吹田貨物ターミナル駅から新大阪駅を経由して大阪環状線の福島駅を結ぶ路線。京都駅と関西国際空港を結ぶ特急「はるか」は新大阪駅を出発したあと、この線を経由して大阪環状線へ渡るという経路を使っている。京都方面や新大阪駅からの空港アクセスという面でも重要な役割を担っている。

 地下化と同時に大阪駅のすぐ目の前の位置に北梅田駅(仮称)を設置する。駅開業の際は特急「はるか」も停車予定となっており、梅田エリアから関西国際空港へのアクセスが大幅に改善、海外旅行への出発しやすくなるほか、海外からの旅行者も梅田エリアから大阪市内に入るという流れも期待される。

 また、地下化に伴って踏切1カ所、2つの街道の高さ制限がなくなる。安全という意味のほか、鉄道の線路によって街が分断されていたことも解消、周辺の通行が大きく改善される。

現在の線路を走る特急「くろしお」。現在の線路からこの手前の工事現場の地下まで線路が移設される
奥に見える橋は国道176号と阪急電車の3複線。橋のところは地下区間となり、橋のあたりからこちら側にカーブする
JR西日本が公開した地下化したルート

 具体的な経路は、新大阪駅側から淀川を渡り、大きく右にカーブ、さらに左にカーブし始めたところ、地下鉄御堂筋線の中津駅の北側のあたりからトンネルに入り、阪急電車と国道176号を越えたあたりから、現在の地上の線路とは経路が異なり、グランフロント大阪寄りの経路をとり、大阪駅JRバスターミナルに近いところに右カーブしながら北梅田駅(仮称)、さらに廃止となる西梅田一番踏切の少し先のところから地上に出て約1.7kmのトンネル区間は終了、既存と同じルートを通り、大阪環状線へと合流する。

 北梅田駅(仮称)は、大阪駅とは別の駅として計画、隣接するグランフロント大阪と通路で結ばれる計画もある。また、工事概要の断面図は、駅には2面4線のスペースが設けられている。駅の深さは工事の掘削深さで10~15mとなっており、地上からホームまでの深さはさらに小さくなる。大深度地下駅のように、ホームまでたどり付くのに時間がかかりすぎるということもなさそうだ。

 地下化した東海道線支線は、現在は単線としての計画。しかし、トンネルの掘削幅は12mで断面図や実際の工事現場も線路が2本通るように描かれている。

工事現場を公開

工事概要を説明するJR西日本 大阪工事事務所大阪工事所 所長 桐畑修一氏

 今回公開されたのは、トンネル延長1680mを含む工事延長約2.4kmを6つの工区に分けたうちの「北2工区」とされる部分。ガス管やNTTの通信線が埋設してあり、移設などの処理があるため先行して工事を進めている区間となる。現在の進捗率は15%とのことだ。

梅田スカイビルがバックに見える工事現場。トンネルは上から掘削して、あとから蓋をする工法
配筋の工事中
掘削が終わり、コンクリートを打つ手前の段階。奥のほうではすでにコンクリートが打たれている

 この区間では深さ12m、幅12mに渡って掘削したとのこと。公開時には線路の下のコンクリート路盤を作るため、配筋と型枠の作成を行っていた。

 このほかの工区はまだ工事をはじめたばかり。北梅田駅(仮称)が含まれる「駅部工区」は9月14日に工事契約をすませたばかりという状況だが、これで、すべての工区で着工となる。

 この工事の今後の予定だが、東海道線支線の地下切り替えと新駅開業は2023年3月と予定されている。既存の線路の撤去などを含めた事業完了は2024年3月の予定となっている。

 また、現在は空き地で、暫定利用のイベントを開催しているこのエリアだが、2024年3月の事業完了の前、2020年あたりから施設が建ちはじめるとのことだ。

大阪駅のノースゲートビルから見たエリア全体。現在は期間限定の「うめきたガーデン」を開催しているのが見えるほか、新梅田シティに向かう地下道もある