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那覇市で巨大な綱を使った「那覇大綱挽」開催

参加者27万5000人が沸いた

2016年10月9日 開催

 那覇市最大級のお祭りである「那覇大綱挽(なはおおつなひき)」が10月9日に行なわれた。毎年10月の体育の日を含めた三連休に行なわれる那覇大綱挽まつりのメインイベントで、2011年までは「那覇まつり」の名称で開催していた。

 那覇大綱挽は琉球王国時代より行なわれてきた歴史ある行事だが、1935年に一度その歴史が途絶えた。戦後、市制50周年となった1971年に復活し、一大祭りとして知られるようになった。

 使う綱は長さ200m、重さは40トン超。世界一の藁綱としてギネス認定を受けている。材料に稲藁を使うのには、五穀豊穣の祈りも込められている。

横の人やクルマから綱のサイズ感が分かるだろうか……

 会場となるのは那覇の大動脈である国道58号。前日の深夜、会場となる国道58号に設置作業が行なわれる。中央分離帯が外され、久茂地交差点を中心に、東側に男綱、西側に女綱が横たわり綱挽本番を待つ。

朝7時過ぎの国道58号。まだ交通規制前なので、綱の横をクルマが行き交う光景もこの時ならでは

 15時過ぎに再び久茂地交差点に向かうと、すでに交通規制が敷かれ綱の回りは多くの人で埋まっていた。

綱の脇では旗頭が舞い、士気を高める

 16時になると東西にある綱をつないで1本にする作業が始まった。両綱の向かい合う部分はループ状になっており、男綱の端を女綱のループに通し「頭貫棒(かぬちぼう)」を貫通させて1本にする。頭貫棒は長さ3m65cm、重さ365kgとのことで、男綱と女綱をつなぎ合わせる作業には子孫繁栄の願いが込められているそうだ。

2本の巨大綱を交差点の中央に寄せて連結するが、微調整がなかなか難しい
男綱と女綱をつなぐ頭貫棒。巨大な綱をつなぐのもかなり大掛かりで一筋縄ではいかない(綱挽終了後に撮影)
綱挽に先立ち、歴史上の人物が相対し見栄を切る

 綱が1本になると東西綱の両終端から、いにしえの琉球の英雄が競り寄ってくる。中央で相対し見栄を切ると、くす玉が割れた。これを合図に綱挽が始まる。

綱挽スタートを知らせるくす玉が青空に映える

 参加者は、太い綱から枝分かれして出ている手綱を掴み、綱の上からかかる掛け声に合わせて挽き合い。力は両者拮抗しており、すぐに勝敗がつくというわけにはいかない。挽き合いは30分ほどにも及んだ。

綱挽には誰でも参加できる。大きな綱から手綱が枝分かれしている
綱の上から音頭を取る手振りと掛け声に合わせて綱を挽く

 熱戦の結果、今年は西が勝利。旗頭が舞い、参加者は綱に登って踊ったり記念撮影をしたりする。綱を切ってお守りとしてそれを持ち帰るのも恒例行事になっている。ボランティアスタッフが綱を切り、参加者や観客に子綱を渡してくれる。

勝敗が決まると綱のまわりは撮影大会と化す
スタッフが切ってくれた手綱は持ち帰ってお守りとすることができる

 祭りの余韻はまだ残るなか、撤収と清掃が始まる。待機していたクレーン車が手際よく綱を引き上げ、大型トレーラーに載せる。清掃車もスピーディーに藁の屑を除去していく。この作業もなかなかの見応え。

 那覇大綱挽の観客数は27万5000人と主催者発表があった。天気にも恵まれ、一大イベントは無事に終了した。

祭りのあとの撤収の様子も見ごたえあり!