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【ハワイ ツーリズム カンファレンス 2016】「こんにちは」が「ハロー」になる、ウェアラブル翻訳デバイス「ili(イリー)」をレンタル可能に

エリック高畑ハワイ州観光局局長がサプライズ講演

2016年9月28日(現地時間) 開催

青い空、青い海。ハワイ ツーリズム カンファレンス 2016が米国ハワイ州ホノルルにおいて開催されている

 米国ハワイ州ホノルルにおいて「ハワイ ツーリズム カンファレンス 2016(The 2016 Hawai'i Tourism Conference)」が9月26日~30日にハワイコンベンションセンターで開催されている。このハワイ ツーリズム カンファレンスは、主に旅行代理店向けに開催されているもので、ハワイの魅力、そしてハワイ旅行の詳細情報などについて発表や講演が行なわれる。世界各国のハワイ州観光局が一堂に会し、今年度の施策、来年度の施策について語り、今後のハワイ旅行のトレンドを示していくものにもなっている。

アラモアナショッピングセンター近くにあるハワイコンベンションセンター
ハワイらしくおおらかな雰囲気で開催されているハワイ ツーリズム カンファレンス 2016

 3日目となる9月28日、日本のハワイ州観光局 局長 エリック高畑氏が登壇。これまでの施策や、今後の施策について講演を行なった。なお、この講演は最後のサプライズデモを除き、すべて英語で行なわれた。

ハワイ州観光局 局長 エリック高畑氏

 エリック高畑局長は、これまでのハワイ州観光局の日本での取り組みを1本のイメージビデオで紹介。ポータルサイト「allhawaii」のリニューアルや、TwitterやInstagramなどSNSでの取り組み、各種メディアでの露出や、渋谷で行なったリアルイベント「Hawai'i EXPO 2016」の実績などについて触れられていた。

ポータルサイトについて
Twitter
Instagram
SNSキャンペーン
Hawaiian Springs Waterのキャンペーンについて。画面はトラベル Watchの記事
マクドナルドとのコラボレーション
ハワイ エクスポについて
ウェディング市場について
オンラインメディアでの露出について

 その後、現在の為替環境や燃油サーチャージについて言及。現在の円ドルの為替環境は円高傾向にあり、これについて「円高傾向が短期的にはハワイによいが、長期的には日本の景気が悪化するので影響がでる」と見通しを語る。為替の傾向は先が読めないものだが、日本人の購買力が高まる円高はハワイにとって望ましいものだが、景気が悪化するほどの円高局面は望ましくないとした。

 また、ハワイの観光旅行の費用感として、グアムや沖縄など近距離の地域によりは高くなるが、オーストラリアよりは安価なポジションにあるという。全体的な日本からのアウトバウンドにおいてもハワイは重要な位置を占め、7月の海外旅行地域では、昨年対比で+0.8%成長。韓国の+19.4%には劣るものとしたものの、この韓国の高成長はそれ以前の落ち込みの反動であり、ハワイは安定して魅力的な観光地域であることを示した。

為替について
燃油サーチャージについて
費用感
アウトバウンドシェア

 日本からハワイに行くためには、航空機で行くのが一般的な手段となる。そのため、ハワイへの日本からの観光客が増加するためには航空会社が提供する座席数が増加することが必要となる。この座席数についても言及し、ハワイアン航空が羽田~コナ便を新設すること、エアアジアXがクアラルンプール~関空~ホノルル便を新設すること、ANA(全日本空輸)が500席クラスの大型機(エアバス A380型機)を導入することについて語った。

 現状、ハワイへの座席数が最大となっているのがJAL(日本航空)だが、3番目のハワイアン航空はコナ便によって増えるだろうと語った(2番目はデルタ航空)。

 また、JALについてはチャーター便を多数設定するほか、12月はファーストクラス、ビジネスクラス、プレミアムエコノミークラス、エコノミークラスの4クラスを持つボーイング 777-300ER型機を年末年始の時期に導入。これは富裕層の需用に応えるものであるとしつつ、ANAもA380型機でファーストクラスを用意するため、「ハワイ路線にファーストクラスが戻ってくる」と表現。特別な旅行である新婚旅行などにはファーストクラス需用があるため、ファーストクラスを持つ航空機がハワイ路線に投入されることを歓迎していた。

 そのほか航空機のシートのトレンドとして、エコノミークラスよりも少し贅沢な旅行ができるプレミアムエコノミークラスが増えていることにも言及。これはJALが積極的に行なっている施策だが、このようにシートの選択肢が増えることも望ましいことだという。

航空会社別供給シート数
新規路線や新航空会社、新型機導入
JALのアップデート

講演の最後にサプライズとしてウェアラブル翻訳デバイス「ili(イリー)」をデモ

 一般的には観光目的が旅行の大多数を占めるが、近年旅行業界で注目されているのがMICEと略される分野。MはMeeting、IはIncentive、CはConference、EはExhibitionもしくはEventの略で、ビジネス利用による移動を包括的に示している。エリック高畑局長は、MCIセグメントにも注力するとし、自動車、医療、スポーツなど8つのビジネス分野を挙げた。

 イベントの例としては、展示会「The Honolulu Biennial Foundation」、安倍首相の妻である安倍昭恵氏も主催する「日米国際海洋環境シンポジウム」、ハワイで水販売を手がけるHawaiian Springsが後援を行なう音楽イベント「Hawaiian Springs Presents The Hawaiian Classics」なども紹介。これらのイベントについても旅行代理店に訴求していた。

日本のマーケットトレンドについて。2020年の東京オリンピックは日本市場によい影響をもたらすと語る
導入が検討されている成田空港の事前入国管理などについて紹介
イベントの例。中央が安倍昭恵氏も主催メンバーとなっている日米国際海洋環境シンポジウム
今後注目するMCI市場
SNSによるプロモーション。市場の違いを説明
ハワイエキスポは継続して開催
ハワイエキスポ、ハワイサミット、そしてハワイ ツーリズム カンファレンスの連携を図っていく
オアフ島以外の島の訴求も継続して実施
フード&ワインフェスティバルなど訴求
とくに注力すべき5つのこと

 エリック高畑局長が講演の最後にサプライズとして聴衆を驚かせたのが、ウェアラブル翻訳デバイス「ili(イリー)」のデモ。イリーは、日本のログバーが開発したスタンドアロンタイプの翻訳機で、全長はリップスティック程度。エリック高畑局長は、ここまで英語で講演を行なっていたが、取り出したイリーに向かって日本語で「こんにちは」と語りかけ、イリーが見事「Hello」と英語でしゃべるデモを実施。「いくらですか」「試着してもいいですか」「お手洗いはどこですか」と次々に日本語で語りかけ、イリーはそのいずれも瞬時に英語で発声。会場は驚きにつつまれていた。

エリック高畑局長が右手に持つのがウェアラブル翻訳デバイス「イリー」

 エリック高畑局長は、このイリーをハワイへ訪れる日本人観光客にレンタルすることを考えているという。ハワイは日本語が通じる箇所が多いとはいえ、「いくらですか」「試着してもいいですか」と英語でコミュニケーションできるようになることで、より深い観光体験もできるようになる。「いくらですか」「試着してもいいですか」というデモが示しているように、ハワイでの購買に関するハードルも、購買力の豊かな高齢者において下がることだろう。

 エリック高畑局長はプレゼンテーションの最後に日本語で「ありがとうございました」と語り、イリーが「マハロ~」とハワイ語でしゃべって講演を締めくくった。

 イリーを開発したログバーは、Webサイトでイリーがハワイ州観光局公認商品になったことを同日発表。ハワイにおける現地デモ映像を公開した。

ili Landing in Hawaii!

 ログバーのCEOである吉田卓朗氏もこの講演に参加しており、講演後ハワイ語への変換について聞いたところ、イリーの詳細については後日発表するとのこと。スマートフォンではGoogle翻訳の機能により実現しているモバイル翻訳ではあるが使いこなしている人は少なく、スタンドアロン、しかもコンパクトということで、モバイル翻訳デバイスの可能性はさらに拡がるだろう。翻訳デバイスが容易に使えるようになることで、3世代家族での旅行などのハードルが大幅に下がり、ハワイはより観光地としての魅力を増していくことだろう。