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セントレアで2016年の空の日イベント。管制塔の研修スペースでパイロット役と英語で話す練習を行なったCコース
小学生向けに管制官の仕事を学ぶ
2016年9月14日 19:19
- 2016年9月10日 開催
セントレア(中部国際空港)では9月10日、「2016 空の日 エアポートフェスタ in セントレア」が開催された。同イベントは空の日(9月20日)にちなんで行なわれたもので、ターミナルビル4階のイベントプラザなどでセレモニーやブース展示が行なわれたほか、小学生(4年生~6年生)とその保護者を対象とした特別見学ツアーが実施された。
この特別見学ツアーは国土交通省 大阪航空局 中部空港事務所により実施されるもので、セントレア開港以来ずっと続いている目玉ともいえるコンテンツ。関係者以外では年に1回、このイベントでしか立ち入ることのできない空港関連施設の見学ができるのがポイントだ。
見学施設は年度ごとに多少変更があるといい、今年は「Aコース:機内食工場見学コース」「Bコース:空港施設見学コース」「Cコース:管制官を学ぼうコース」の3コースが用意された。8月に入ってからセントレアのサイトで募集を開始したところ、各コース12組24名の定員に対して3倍ほどの申し込みがあったという。
Cコースは管制官の仕事を学ぶコースで、集合場所となったのは、ターミナルビル北側に位置する中部空港事務所。空港島内でひときわ目立つ高さ86mの管制塔に隣接する建物だ。
集まった子供たちはまず、国土交通省 大阪航空局 中部空港事務所 主任航空管制官 長谷川容子氏から、管制官の仕事についてのレクチャーを受講。「管制塔の高さは?」「飛行機の着陸速度は?」といったクイズからはじまり、空の上で静止できない飛行機を交通整理し、空の安全を守るのが管制官の仕事、と紹介した。また、中部国際空港には約80名の管制官が在籍しており、6チームでシフトを組んで運用しているそうだ。
その後の質問タイムでは「管制官になるには?」「管制官になるには何年ぐらいかかるの?」「どんな勉強をすればいいの?」「なんで英語を使うの?」といった質問が飛びだし、子供たちが管制官に対して強い興味を抱いていることが伺えた。ちなみに質問の答えは、「航空保安大学校で研修を受け必要な資格を取る」「航空保安大学校で8カ月の研修を受けて現場に」「英語だけでなくさまざまな知識が必要」「さまざまな国のパイロットと通信するので共通語として使っている」とのこと。
講義のあとはいよいよ管制塔に。管制塔上部に向かうエレベータにはボタンが4つしかないことや、階段だと400段あるといった話を同行の担当者から聞き、ビックリした様子だった。
実際の業務で使用している管制室に入ることはできないため、一つ下のフロアにある研修などで使われるスペースが見学用として利用された。ここでは管制官から「管制塔は27階建てのビルと同じ高さ」「滑走路は3500mあり、歩くと約40分、飛行機は約1分」「離陸時は250km/h~300km/hと新幹線と同じくらいの速さ」といった説明を受けた。また、着陸機と離陸機で混雑する場面では「管制官が安全だと判断して離陸許可を出している」という解説を受け、安全に飛び立った飛行機を実際に見て感心した様子だった。
最後に訪れたのはシミュレータ室。ここでは子供たちがヘッドセットを着け、実際に使われているのと同様のコンソールを見ながら、英語でパイロット役と交信する体験が行なわれた。シミュレータとはいえ、慣れない英語を話さなければならないのはもちろん、ホンモノの機器を使い秒単位で進んでいく飛行機を相手にする必要があるとあって、さすがに子供たちも緊張気味。だが、体験中こそ「難しい」と言っていたものの、終わったあとは「楽しかった」「もう一度やりたい」との声も。参加した子供たちは皆、管制官の仕事に興味を覚えた様子だった。