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新名神 四日市JCT~新四日市JCT~東海環状道 東員ICが開通、三重県の期待が寄せられた開通式典

7月の伊勢への観光客は前年の3倍、北西地域への波及にも期待

2016年8月11日 開通

 NEXCO中日本(中日本高速道路)と国土交通省 中部地方整備局は、新名神高速道路 四日市JCT(ジャンクション)~新四日市JCT、東海環状自動車道 新四日市JCT~東員IC(インターチェンジ)を8月11日15時に開通。同日、三重県東員町の東員町総合文化センターで開通式典、東員IC付近本線上でくす玉開披やテープカットセレモニーなどを実施した。

 新名神 四日市JCT~新四日市JCT間は新名神の東端となる区間で、東名阪自動車道の四日市JCT~亀山JCT間と、新名神の四日市JCT~亀山西JCTが並行するような格好となる。現在、新名神を使って名古屋エリアから大津、草津方面へ向かう場合、東名阪道を経由する必要があるが、2018年度に予定されている新四日市JCT~亀山西JCT開通後は、東名阪道とのダブルネットワークが形成され、新名神を利用して関西へ行く人は四日市JCTから亀山西JCTへ、三重県の南方や名阪国道へ向かう場合は東名阪道へとアクセスが分散できるようになる。

 一方の東海環状道 新四日市JCT~東員IC間は、東海環状道の西端部にあたる。東海環状道のいわゆる西回りでは、2012年に開通した養老JCT~大垣西ICに続いての開通となる。新名神 四日市JCT~新四日市JCTとの同時開通により、新名神、東名阪道、伊勢湾岸自動車まで、一気に接続することになった。東員ICから先(北側)の大安ICまでは、新四日市JCT~亀山西JCTと同じく2018年度の開通が予定されている。

開通式典の会場となった東員町総合文化センター
開式までは「東員アンサンブルオーケストラ」による演奏が行なわれた
国土交通省 中部地方整備局長 塚原浩一氏

 開通式典で主催者を代表して挨拶した国交省 中部地方整備局長の塚原浩一氏は、「今回の開通は東海環状道の三重県内において初の開通であり、多くの製造拠点が集積する当地が、東名阪道、伊勢湾岸道などと接続することにより、沿線地域の開発支援、港湾への所要時間短縮、立地企業の輸送が加速される、経済活動における生産性が向上が大いに期待されるところ。さらには、4月に発生した熊本地震の被災状況、復旧状況を見ると、災害時の輸送路確保が改めて強く認識された。当地域においては、発生が予想されている南海トラフ地震の際の、緊急輸送道路としても役割も期待される」と、地域の経済、生活に関わる重要な道路であることを紹介。

 未開通区間については、「中部地方整備局としては、現在、東海環状道の西回りの全区間整備を全力で進めている。もの作りが盛んな中部地域だが、その社会経済活動を力強く支える意味で、東海環状道、新名神の早期の全線開通を目指して、NEXCO中日本らと連携しながら引き続き推進していく」と決意を示した。

三重県知事 鈴木英敬氏

 来賓として最初に挨拶に立った三重県知事の鈴木英敬氏は、「今回は三重県内初の東海環状道であり、東員町内初のICであり、今日は日本国で初の山の日ということで、初物づくしのめでたい日」と開通の喜びを表わしたのに続き、経済効果について言及。「この地域は、さまざまな企業の立地が進んできており、自動車産業、航空機産業、フラッシュメモリなどのエレクトロニクス産業など、日本の経済産業を牽引する企業が集積している。そうした企業は生産プロセスにおいてのコスト削減は相当難しい段階のギリギリのところまできている。一方で、物流コストはまだまだ余地があるのではないか。(今回の開通で)ここから四日市港、名古屋港まで行くのに、17分ぐらい短縮される、使う燃料が減る、人件費も減る、物流も効率化され、物流コストが削減される。そして、これまで名古屋港を利用していた人が、四日市港を利用すると、四日市港は名古屋港に比べて、若干……若干ですよ、若干空いているので、来ていただくと、停泊時間が少なくて済む。停泊していると燃料代や停泊代がかかかるので、その部分のコストも削減できる。新たな国際競争力を生み出せる」と述べ、経済効果が地域住民の賃金、消費増につながることに期待を寄せた。

 一方で、「道路はつながって意味がある。まずは、大安IC~東員ICの平成30年(2018年)にはしっかりと供用していただく。新名神も平成30年なので、ぜひとも一日も早く全線供用していただく。加えて、東海環状道の県境部分はいまだ事業開始時期が公表されていないので、なんとしても平成33年(2021年)の『三重とこわか国体』までには、開通していただく。まだまだやることは山積」と、協力を求めた。

衆議院議員 島田佳和氏

 衆議院議員の島田佳和氏は、「NEXCOと国交省で展示したパネルのヘッドラインに『子孫に残そうストック効果』というコピーが書かれていた。これまで道路工事というと、いわゆるフロー効果、一時的な雇用、一時的な需要の創出に注目が集まっていたが、近年は道路が地域と地域を結んで、新しい人や物の流れができて、企業が立地し、仕事が生まれる、そして街の賑わいが持続されていくストック効果に注目が集まるようになっている」との着眼点から、「三重県、岐阜県、愛知県は、江戸時代に作られた街道、すなわち東海道、中山道で発展してきた街なので、日本全国のなかでも、道路の持つストック効果を十分に感じられる地域ではないかと思っている」と、東海道や中山道の圏域を結ぶ東海環状道の役割の重要性を指摘。

 そして、「東海環状道の東回りを見るとトヨタ関連企業を中心に非常に大きなストック効果が発揮されている。西回りも、東回りに負けないストック効果を発揮することを祈念申し上げる」とし、東海環状道 西回りの早期開通とその効果への期待を示した。

衆議院議員 中川康洋氏

 衆議院議員の中川康洋氏は、「開通がこれで終わるのではなく、これを大きな一つのスタートに皆さんと頑張っていきたい」と呼びかけた。その理由は西回り区間の全通時期が示されていないためで、「東海環状道は、東回りは10年前に供用開始されている。多くの企業が進出していて、ストック効果が大きく見えている。西回りにおいても、ストック効果が十分発揮されることは間違いない。しかし企業にとって大事なのは、いわゆる予見可能性をどう持てるか、それを元に企業の進出や設備投資などができるかだと思う。東海環状道は岐阜県や愛知県、富山県、福井県、石川県につながっていく大きな道路。企業や地域の皆さんが予見可能性を持てるように、いま開通年度が示されているところは予定どおり、さらに1年でも早く進めることが大事。いまだ事業化が指定されていないところは、一日も早く事業化され、皆さんがより進出しやすいような、また地方創生や産業発展に具体的な方向が進むように、その一助となりたい」と意欲を示した。

参議院議員 吉川ゆうみ氏

 参議院議員の吉川ゆうみ氏は、参議院議員に当選して初めての仕事が東海環状道の鍬入れだったことで思い入れが強いという。「地域の経済が活性化していく、愛知・岐阜・三重がよりつながる、多くの企業にますます集まってもらう、産業活性化の一助になる新しい門出の一日であるとともに、この道路の開通で、員弁地域の皆さんの救急搬送で、30分以内に救急病院行ける方が9割になる。住民の安全安心を守る道路でもある」と、道路の暮らしへの効果に言及。

 さらに、「伊勢志摩サミットがあったが、2016年7月の伊勢の観光客は2016年の3倍、伊勢のお客さんに北西地域にも寄ってもらうことにもつながる。この地域は『昇龍道』、インバウンドにより勧めようという観光地のど真ん中。道路がつながることで、この地域が経済、産業、製造業、物流だけでなく、観光という面でも自然と文化の地に訪れてくれる人が一人でも多くなるように」と、観光面での効果にも期待を寄せた。

 このあとは、NEXCO中日本 四日市工事事務所長 塩梅崇氏からの工事報告が行なわれた。新名神は日本道路公団時代の2010年に用地取得と道路工事に着手。東海環状道は1996年に用地取得開始、2000年に工事に着手した経緯を紹介。両路線合わせて、670軒の地権者から合計約56万m2の土地を取得したことや、工事の実施状況などを説明した。

中日本高速道路株式会社 名古屋支社 四日市工事事務所長 塩梅崇氏
伊勢湾岸道、東名阪道と接続する四日市JCT。2年半で計10回の夜間通行止めを行ない架設工事を行なった
新名神 四日市JCT~新四日市JCT間の工事状況。2015年9月には台風の影響でのり面が崩落。対策のために大規模な工事が行なわれた
東海環状道。国交省が土工橋梁工事、NEXCOが舗装と設備工事を行なった
天然記念物のヒメタイコウチの移植など自然環境に配慮した工事を実施
地元小学生による卒業記念植樹など地元に密着
三重県内の新名神全通、東海環状道の大安ICまでの延伸ともに2018年度開通の予定
中日本高速道路株式会社 代表取締役社長 宮池克人氏

 続いて、NEXCO中日本 代表取締役社長の宮池克人氏が挨拶し、「開通区間については、2015年9月の台風18号で工事中ののり面が崩落。安全対策として大規模な工事が必要となった。そのため開通が半年近く遅れた」と謝意を示した。

 今後については、「三重県内の新名神の残る区間は新四日市JCTから亀山西JCTまで約23kmとなった。2018年度開通に向け、全線にわたり鋭意工事を進めている。この区間が開通した暁には、東名阪道とのダブルネットワークが形成され、東名阪道の大幅な渋滞緩和、地域産業の活性化が幅広く期待され、さらには大規模災害時の救援救護活動など、災害対応の迅速性、信頼性が高まることが見込まれている。東海環状道についても、引き続き国交省と連携しながら一日も早い開通を目指して、全力で事業を進める」と述べた。

 開通記念式典は、最後に三重県議会副議長 日沖正信氏の音頭で万歳三唱が行なわれお開きとなった。

三重県議会副議長 日沖正信氏の万歳三唱で式典はお開きとなった

東員IC付近の本線上でセレモニー

 その後、場所を東員IC付近の東海環状道本線へ移し、くす玉開披、テープカット、バルーンリリースといったセレモニーを実施。

 ここでは、8月11日には近隣のイオンモール東員で開通を記念したイベントを実施しており、その場で受け付けた一般の申し込み者先着100名が参加してのテープカットも行なわれた。

 その後、開通を記念したパレードを実施。三重県警の白バイを先頭に、トヨタ車体、デンソー、神戸製鋼所といった地元企業の車列、来賓、地元の人たちのクルマなど約50台が、開通を控えた東海環状道から新四日市JCT、四日市JCTを走行した。

来賓、地元小学生、地元企業の代表者らによる、テープカットとくす玉開披
開通を記念してバルーンリリースも
一般参加者100名が参加して、中央分離帯に張られたテープカットのセレモニーも実施
開通パレードに参加した車両