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LINEで心理診断して惣菜を組み合わせる弁当「デリ・サプリ」を限定販売
7月15日、16日に横浜市のCIAL桜木町 紅葉坂ギャラリーにて
2016年7月14日 13:13
- 2016年7月15日、16日 数量限定販売
産学連携による共同研究チームが開発した新しい発想の弁当
慶應義塾大学 小川克彦研究室は、横浜ステーシヨンビルやJR東日本(東日本旅客鉄道)研究開発センターフロンティアサービス研究所との産学共同研究で、弁当選びの新しいスタイルを開発。7月15日、16日に数量限定で行なわれる一般販売に向けて、プレス体験イベントを実施した。
「デリ・サプリ」と名付けられたこの弁当は、現在抱えるストレスの種類を4種類に分類する診断プログラムをLINE上で実行、その結果に合わせてCIAL(シァル)桜木町内9店舗で総菜を購入するという2ステップで作れる弁当の新システム。メディア研究を行なう慶應義塾大学 小川克彦研究室に所属する7名の学生が、2015年春から産学連携の共同研究としてスタートした企画であり、今回2日間限定で初の一般向けトライアル販売が実施される。
今回の共同研究チームに参加した小川研究室の川口真実さんによると、実際に何度も自分で惣菜や弁当を購入したり、ほかの利用者がどのような買い方をしているか観察するうちに、いろいろな店舗で惣菜を買ってランチに食べている人が多くいるということに気がついたという。そのため、ワークショップなどをとおして「いろいろな種類の総菜を少量ずつ食べられる、カスタマイズできるお弁当」「なりたい自分になれるお弁当」というコンセプトで開発を進めたとのこと。
食を通じて健康を意識できるよう栄養士のアドバイスを入れるなどさまざまな工夫を重ね、購入後、ベンチなどで「膝の上に置いて食べる」ことを想定して容器の形を3Dプリンターを使って何度もプロトタイプを作成したとのこと。このデリ・サプリの容器には、専用の小型容器が4つセットできる。この量は、成人女性が満足でき男性でも物足りなくならない量として、500ml~650ml程度の分量を目安に決めたとのこと。
CIAL桜木町の担当者として参加した横浜ステーシヨンビル 営業推進部企画開発課課長の餅田訓章氏によると、学生側からの意見は「ありそうでなかった」ものだという。店舗の垣根を超えてひとつの弁当を作るというアイディア自体や、焼き鳥が食べにくいので串を抜いてほしいといった点まで、着眼点が非常に柔軟だと感じたそうだ。
通常、限られたスペースでは店舗の数に限りがあるため、弁当の種類は店舗の数に比例する。しかしデリ・サプリの場合、9店舗で提供される総菜は全部で87種類。惣菜の組み合わせは約222万通りになる。運営側としては、これにより来店頻度が多いリピーターにもバリエーションが提供できることが魅力という。
デリ・サプリの取り組みは、CIAL桜木町の7月16日に迎える開業2周年イベントのひとつとして実施される。今回は初めてのトライアルとして販売するが、好評であればCIALグループのなかで定番化を検討していく。
購入方法は「LINEで診断」「店舗で選ぶ」の2段階
デリ・サプリの一般向けのトライアル販売実施は、7月15日、16日の各日10時~21時。JR東日本の京浜東北・根岸線 桜木町駅に隣接する駅ビル「CIAL桜木町 紅葉坂ギャラリー」の総菜店9店舗が参加する。
参加者はまず診断のため、デリ・サプリ公式サイトにアクセスし、スマートフォンでQRコードを読み込んでデリ・サプリをLINEで友だち追加。このQRコードはポスターや会場で配布されるカードにも記載されている。
LINEのトーク画面でデリ・サプリから提示される写真から気になったものを答えていくと、「デリ・サプリ処方箋」として「KIND(やさしさ)」「PURE(さわやかさ)」「SHARP(集中力)」「POSITIVE(自信)」の4種類から1つが提示される。
臨床心理士と共同開発されたこの診断結果で、例えば「心が敏感でちょっとしたことで対外的にトゲトゲしている状態の方」と判断されると「KIND」が表示される。KINDには「免疫力を高めるビタミンや、消化によい食材」が勧められ、KINDの惣菜でセットを作って食べることで、やさしい気持ちになれるというアドバイスが表示される。
この処方箋に従って、紅葉坂ギャラリー入り口に設置されたデリ・サプリのブースで種類別の専用容器を受け取り、参加9店舗それぞれに設置されたデリ・サプリのコーナーで自分の処方箋のコーナーに並ぶ惣菜から好きなものを選んでいく。1つの惣菜は約150円~300円前後。弁当全体が800円程度の価格に収まるイメージだ。選んだ惣菜は各店舗で1つずつ精算し、4つ目を購入した店舗で持ち帰りやすいようバンドでとめ、お手ふきやフォークとともに袋にセットされる。
ちなみに惣菜は、どの店舗にも必ず4種類のメニューがあるわけではなく、店舗によって充実している種類はさまざま。惣菜一つ一つに処方箋別に色分けされた番号が記載されたシールが貼られているので選びやすい。ちなみに前述のLINEのトーク画面でこの番号を入力すると惣菜の詳細や食べることで期待できる効果なども表示される。
ベンチでも食べやすい!膝上が熱くない紙製の容器
CIAL桜木町にはフードコートとしてのスペースはないため、購入した弁当は近隣の公園やオフィスなどで食べることになる。桜木町周辺は観光地であることもあってベンチも多め。実際にベンチで食べてみると、フタを重ねて膝上に乗せる形になるが、フタの面がフラットで膝上で安定しやすい。
また、容器が紙製で、下皿との間に空間もできるため熱いものや冷たいものでも熱が伝わりにくく、普通の弁当よりも快適に食べられた。
少量ずつ、いろいろな味を食べたいというブッフェやアフタヌーンティーのような満足感を弁当で、それも店舗を横断して作れる楽しさは確かに新しい。「シュウマイを1個だけ食べたい」「カツを2切れだけ食べたい」と選んでいける楽しさがある。
普段何気なく食べる弁当を、ゲーム感覚で選んで自分の体調を改善させてくれると意識しながら食べられる楽しさも実感でき、定番化も可能だと思う仕組みだ。