トピック
仮死状態のポルシェのトラクター、動かせるか?
ポルシェ×東大のプロジェクト「LEARN with Porsche」
- 提供:
- ポルシェジャパン株式会社
2021年11月4日 10:38
ポルシェジャパンと東大が共同で実施した、若者向けプログラム「LEARN with Porsche」の3日目。
新千歳空港から十勝の森の馬小屋に無事に到着した一行。そこで待っていたのは、馬たちと古びて動かないポルシェのトラクター。メンバーは、森のなかで乗馬を体験することに。うまく馬をコントロールできるのか、トラクターのエンジンはかかるのか。
子供たちに夢を持つ力を与える「LEARN with Porsche」
馬と意思疎通して仲間になる <3日目>
3日目も、馬を捕まえることから始まった。もう何も教えられなくても、前日よりもスムーズに無口を付け、馬小屋に連れてくるまでできるようになっている。子供たちの順応の早さに、ちょっと驚かされる。
馬を引くコントロール技術も重要。馬を引いたら自分に付いてきて、自分が立ち止まったところで、馬も一緒に止まるという練習をする。前を向いたまま行ない、ちょうど右手後ろのあたりで止まるようにする。馬に意識がいって、つい後ろを向いてしまいそうになるが、ここはグッとこらえて前を向いたままいるのがコツだとか。
ある程度、馬を引き回すことができるようになったら、馬に乗るための馬具を自分たちで装着していく。馬の背に乗せて自分たちがまたがる鞍は、前後左右にズレないよう取り付けないと、とても危ない。
頭絡に付いているハミという金具は、しっかり口を開かせて奥で噛ませる。ハミは手綱につながっていて、乗馬時に馬をコントロールする重要な馬具だ。
自分の馬を自在に乗りこなせ
馬具を装着できたら、馬の操縦方法のレクチャーを受け、実際に乗ってみる。最初は馬の上に体を預けて乗るだけでもひと苦労。しかし、乗ってしまえば、少し姿勢や動かす方法を教えてもらっただけで、意外にもコントロールできている。
森の馬小屋の馬たちは自然に近い育て方をされていて、調教された馬の乗馬に慣れている人ほど苦労することがあるとのこと。素直な乗馬初心者の若者ゆえ、うまく乗れているのかもしれない。
最初に乗ったメンバーは、ある程度乗りこなせるようになったので、森のなかのコースを乗馬で回ってくることになった。森のなかの一本道で、みんなとても気持ちよさそうにしていた。大満足の乗馬体験だ。そのあとは、順次メンバーを交代。暴走したり落馬することもなく、ゆったりと森のなかを進む。
何回かコースを往復していると、馬が急にコースを変えて道なき道に入っていった。ここの馬は同じ道に飽きてきて、ときどきこういうコースを行きたがることがあるそうだ。ムリに戻さすに、そのままヤブを突き進む。
丸太と綱引きして人力の限界を知る
乗馬を体験してひとしきり休憩のあとは、人と機械の力を実感するために、大きな丸太と綱引きをしてみることになった。
切り出された大きな丸太が積み上がっている。その1本にロープをかけて綱引きをしてみる。まずは、メンバー全員でトライ。まったく動く気配はない。次に、48馬力ある軽トラックで引っ張ってみる。スリップしてしまって、まったく引っ張ることができない。
最後にトラクター登場。軽トラックと同じくらいの47馬力。この「Ford 3000」は1965年~1975年ごろ販売していたモデルだが、現役で使っている。すると、いともたやすく丸太を引き離すことができた。
仮死状態のポルシェトラクターに命を吹き込む
先ほどのトラクターを運転していた、池田猛さんからトラクターについて詳しく解説してもらう。池田さんは長年トラクターの代理店に勤め、ビンテージトラクターの収集が趣味。10台ほどビンテージトラクターを所有しているという。
トラクターはクルマと同じような馬力を持っていても、超低速時に強い回転力(トルク)が出せるようになっている。しかも、巨大な後輪を駆動させて、タイヤには柔らかい土でもしっかり噛んで滑らないような溝が掘られている。土の上でモノを動かしたり、掘ったりするのに適した作りになっているわけだ。
そして、話題は横に置かれた赤いポルシェのトラクターへ。
「この動かないポルシェのトラクター。動かしてみたいと思わないか?」と中邑教授が言う。
「ちょっとエンジンかけてみましょうか」と池田さん。
キュキュキュキュと、数回クランキングしてみると、少し煙は出るがエンジンがかかる様子はない。
「ちょっとおまじない」と、吸気口にスプレーをする。これはスターティングフルード(ジエチルエーテル)。ディーゼルエンジンがかかりにくいとき、燃焼をうながすためにもよく使われるものだ。
再度クランキングすると、「ズドン! ドドドドド」と、黒煙とともに勢いよくエンジンがかかった! 固唾を呑んで見守っていたメンバーから思わず拍手が出る。
ここに来て、メンバーの積極性が大きく変化していることに気がつく。トラクターの迫力あるエンジン音に怖じ気づくこともなく、「ぜひ自分も運転してみたい」と申し出てきたのだ。乗馬のときもそうだったが、興味と自信から目が輝いてきているのが分かる。この日とても大きな変化に感じられた。
「馬とかトラクターに乗ると目線が高くて、どこにでも行ける、世界が広がる感じが気持ちよい」という声が印象的だった。
明日の最終日は、ここを離れて別の場所で最後のプログラムを行なう。ただし、どこで何をするのかは、当日までミステリーになっている。積極性が感じられるようになってきたメンバーが、どんな体験をするのか楽しみだ。