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文豪が愛した京成電鉄沿線をワンデートリップ!「文学浪漫きっぷ」でゆかりの地を訪ねる
1000円で都内エリアが乗り降り自由&硬券4枚のお得なきっぷ
- 提供:
- 京成電鉄株式会社
2018年6月5日 06:00
森鴎外や夏目漱石、太宰治、正岡子規といった文豪にゆかりのあるスポットが、京成電鉄沿線に数多く点在しているのをご存じでしょうか? 例えば上野には夏目漱石が「三四郎」などで登場させた正統派フランス料理店「精養軒」があったり、日暮里には正岡子規がよく通った豆腐料理の老舗「笹乃雪」が、そして船橋の九重橋には太宰治の肖像と「走れメロス」の一節が刻まれたレリーフを見たりすることができます。
そんな“文豪ゆかりの地”を訪ねて、文学浪漫に浸るお出かけにぴったりな「文学浪漫きっぷ」が京成電鉄から発売されています。
以前紹介した京成電鉄の都内エリアが1日乗り放題になる「下町日和きっぷ」と、区間が決まっている4枚の乗車券がセットになって1000円とお特なきっぷですよ。
「文学浪漫きっぷ」は下町日和きっぷ+硬券4枚
「下町日和きっぷ」は駅の券売機で買えますが、この「文学浪漫きっぷ」は有人窓口での購入となります。なぜなら、文庫本風のレトロなデザインの台紙に、きっぷがセットになった特別バージョンだから! しかも4枚の乗車券は今ではほとんど見かけなくなった硬券なのです。これにはびっくり!
「もしかして駅員さんが鋏でパンチを入れてくれるですの~!?」と思ったらそのとおり! 自動改札機を通らず(通れません)有人窓口に行ってきっぷを出すと、改札鋏が出てきて、パチッとやってもらえるのです。そんな昭和世代には懐かしい体験もできちゃうのが「文学浪漫きっぷ」なのです。
うれしいのはそれだけではありません。「下町日和きっぷ」同様に、京成沿線にあるさまざまな施設や店舗で優待特典が受けられます。さらに「下町日和きっぷ」は今回「文学浪漫きっぷ」とのセットになったことで優待特典が増えています。京成電鉄のサイトでチェックしてみてくださいませね。ちなみにこの「文学浪漫きっぷ」、発売は11月30日までとなっていますが限定6000部ということで、売り切れてしまう可能性も。お買い求めはお早めに!
京成電鉄 文学浪漫きっぷ
URL: https://www.keisei-cp.com/bungakuroman/
ということで、早速私ゆきぴゅーも「文学浪漫きっぷ」を使ってお出かけしてみましたの~♪
上野恩賜公園周辺は文豪ゆかりの地がたくさん
文学浪漫の旅のスタートは京成上野駅。上野といえばそう、上野動物園のシャンシャン! ではなく、文豪です文豪。その上野動物園のほど近くで最初の文豪スポットに遭遇です。それが「正岡子規記念球場」。明治時代に日本に導入された野球にハマったという俳人 正岡子規はこの上野公園内で仲間と楽しんだそう。そして俳句や短歌にも登場させて野球の普及に貢献したと言われています。その功績を賛えて、子規の名前が付いた球場があるのです。今も使われている「打者」や「走者」などの野球用語を日本語訳したのは正岡子規だというのをご存じでしたか?
正岡子規記念球場から徒歩5分ほどのところにある寛永寺の開山堂が次なる文豪スポット。ここに明治の文豪 幸田露伴の旧宅の門がひっそりとあります。もともと谷中にあったものを移築したものですが、案内板がなければ知らずにくぐり抜けてしまいそうなほどその場になじんでいました。シンプルな門ですが、じっくり眺めるとなかなかの風情。ここはぜひ文豪気分で通り抜けてみてくださいませね。
幸田露伴 旧宅の門
所在地: 東京都台東区上野公園14-5
幸田露伴 旧宅の門をあとにして、東京国立博物館を右手に見ながらまっすぐ5分ほど歩いたところにある小さいながらも堅牢な建物が、京成電鉄の「旧博物館動物園駅跡」です。博物館動物園駅というのは京成本線の上野駅と日暮里駅の間にかつてあった地下駅で、1933年(昭和8年)に開業して1997年(平成9年)に休止されるまで使われていました。
なかに入ることはできませんが、今も地下にはホームが残っているそうですよ。博物館や美術館が立ち並ぶ文化的な上野公園界隈にしっくりとなじんでいるこの古い駅舎は、2018年4月に鉄道施設としては初めて東京都選定歴史的建造物に認定されたのだとか。
旧博物館動物園駅跡
所在地: 東京都台東区上野公園13-23
「下町日和きっぷ」を使って日暮里駅へ。気持ちが穏やかになる子規庵で糸瓜を想う
京成上野駅から1つ隣の日暮里駅に向かいます。ここで使うのは「下町日和きっぷ」。有人窓口で日付スタンプを押してもらうと、その日は京成線の都内エリアは1日乗り降り自由。このきっぷは本当にコストパフォーマンスがよいのでお勧めですの。ほかの4枚の硬券乗車券と別の日に使ってもオッケーです。
日暮里駅から歩いて10分の場所に、俳人 正岡子規が1902年(明治35年)に亡くなるまでの8年間、母と妹と過ごした旧居「子規庵」があります。現在の建物は1950年(昭和25年)に復元されたものとはいえ、今ではめったに見られなくなった平屋造りの素敵な古民家。ここ、俳句をたしなむ方々にとっては聖地のような場所なのだとか。早速おじゃましてみましょう。
玄関から入ってすぐの8畳間は、夏目漱石や高浜虚子、伊藤左千夫など数多くの友人・知人が集って句会などが行なわれたお部屋。明治の文豪がここで情報交換をしていたと思うとなんだかわくわく。思わず一句浮かんでくるような気がしてしまいますの。
6畳間の窓際に子規愛用の座机が置かれています。脊椎カリエスで左膝が曲がったまま伸びなかった子規。そのため、立て膝を入れる部分をくり抜いて作らせた特注品なのです。そこまでしてこの机に向かっていたなんて……そう思いながら座ると胸の奥が熱くなってしまいました。
子規は亡くなる前年、植木屋さんに頼んで6畳間の前に糸瓜(へちま)棚を作らせたといいます。翌年34歳11カ月という短い生涯を終える前日に【をととひの へちまの水も 取らざりき】など、糸瓜が登場する絶筆三句を残しています。そんなことから今でも子規庵では、6畳間の前に棚を作って糸瓜を育てています。これから夏に向けてつるが伸びていき、9月には大きな糸瓜がぶら下がって子規が布団のなかから眺めていたような光景が見られるそうですよ。そのころまた遊びに行きたいな~。
子規庵
所在地: 東京都台東区根岸2-5-11
開庵時間: 10時30分~12時、13時~16時
入庵料: 500円(下町日和きっぷ提示で400円)
定休: 月曜
TEL: 03-3876-8218
URL: http://www.shikian.or.jp/
日暮里から江戸川の河川敷へ。これから花菖蒲が見頃を迎える小岩菖蒲園
江戸川のすぐ近くにある江戸川駅。3~4分も歩けば空が気持ちよく開けた土手の上に出ます。目の前の河川敷に広がるのが「小岩菖蒲園」です。ここは江戸川区が管理する入園無料の菖蒲園で、100種類5万本の花菖蒲がまさにこれから見頃を迎えます。梅雨シーズンの代表的な花の1つですわよね。
京成沿線は堀切菖蒲園も花菖蒲の名所として人気のスポット。最寄り駅はその名もズバリ、堀切菖蒲園駅。こちらも「下町日和きっぷ」で乗り降り自由な区間内なので、カメラ片手に花菖蒲のハシゴもよいかもしれません。
小岩菖蒲園
所在地: 東京都江戸川区北小岩4丁目先(江戸川河川敷)
入園料: 無料
URL: https://www.city.edogawa.tokyo.jp/shisetsuguide/bunya/koendobutsuen/koiwa.html
市川真間駅で下車して知る人ぞ知る“文学の散歩道”をゆく
市川真間駅から徒歩8分のところに長さ約400mの「文学の道(旧桜土手公園)」があります。閑静な住宅街にある遊歩道で、両脇にはソメイヨシノが植えられています。今は日に日に濃くなっていく緑の葉が美しいシーズン。その桜の木の下に、北原白秋や永井荷風、幸田露伴などといった市川ゆかりの文学者のプロフィールや作品が書かれた紹介板が数m間隔で置かれています。
この文学の道には、ところどころに子供用のちょっとシュールな動物遊具があったりして、実にのんびりした雰囲気。紹介板を読んで歩いて読んで歩いてを繰り返していくと、市川にゆかりのある文士が数多くいることに驚きます。ベンチも置かれているので、好きな作家の文庫本を片手に読書なんぞしたら、文学浪漫あふれる散策はもうバッチリですわね。
今回は足を運んでいませんが、市川市には万葉集にも登場し、多くの歌人に詠われたという「真間の継橋」や、詩人 北原白秋の旧宅「紫烟草舎(里見公園内)」など、文学と関係の深いスポットがほかにもいろいろあるそうですよ。
文学の道(旧桜土手公園)
所在地: 千葉県市川市真間3-3地先
「荷風の日常」を感じられる八幡を歩く
続いては京成八幡駅に降り立ちました。ここは明治生まれの小説家 永井荷風にゆかりのある地。晩年に市川市八幡町に移ってきた荷風は、京成八幡駅前にある小料理屋「大黒家」を毎日のように訪れ、決まって日本酒1合とお新香とカツ丼を注文していました。1959年4月30日に心臓麻痺で亡くなる前日もこのお店で同じものを食べていたのだとか。
ちなみに「大黒家」は、その後も“荷風が通った料理屋さん”として文学ファンなどに愛され営業を続けてきましたが、2017年7月に惜しまれつつ閉店。しかし2018年、大人のカルチャースクールとして生まれ変わったようです。そんな荷風ゆかりのお店の前を通って向かった先は、これまた荷風とゆかりの深い神社、白幡天神社です。
住宅街にひっそりと鎮座する白幡天神社は、詳しい創建こそ不詳ですが、1180年に源頼朝が安房国に旗揚げの際にこの地に白旗をあげたことから“白幡”と呼ばれるようになったと伝えられる、実に800年以上の歴史がある神社。永井荷風の終の棲家はこの神社のすぐ近くだったのだそう。
白幡天神社 禰宜(ねぎ)の鈴木さん曰く、「荷風さんはよくここに来られていたようです。当時は今のように周囲に玉垣などもなく素朴で開放的なお社だったので、ときどき欄干の下に寝っ転がってお昼寝をしていたらしいですよ。地域の方々はそんな話をずっと語り継いでくださっているんです。ありがたいですよね」
欄干の下でウトウトお昼寝するという微笑ましい描写は日記「断腸亭日乗」にもたびたび登場するのだとか。今度読んでみようっと。
最終目的地の京成船橋では人気文豪・太宰で〆る
「文学浪漫きっぷ」で巡ってきたワンデートリップは京成船橋駅がラスト。“太宰治の植えた夾竹桃(キョウチクトウ)”なるものが、駅から徒歩5~6分の船橋市民文化ホールにあるのだそう。では行ってみましょう。
1935年(昭和10年)、太宰治は27歳のときにここ船橋に療養のため引っ越してきました。そのとき、隣の家の庭に咲いていた夾竹桃が気に入り、お願いして分けてもらったものを自身で借家の敷地内に植えたのだそう。その後太宰は2年も経たないうちに別の場所に移ってしまうのですが、夾竹桃はそのままだったようです。だいぶ年月が経った1982年(昭和57年)にその土地が整備されることになり、ここ市民文化ホールの前に移されたということです。
夾竹桃は街路樹などで使われることが多く、濃いピンクや白、黄色の花が夏の間中咲き続ける常緑低木。太宰がその船橋に移ってきたのが1935年7月1日なので、きっと鮮やかに咲いていたピンク色の花に心を奪われたのでしょう。それをわざわざ分けてもらって自分で植えたというエピソード、とっても微笑ましいと思いませんか。この夾竹桃は毎年キレイな花を咲かせているようですよ。
船橋市民文化ホール
所在地: 千葉県船橋市本町2-2-5
URL: http://www.city.funabashi.lg.jp/shisetsu/bunka/0001/0001/
近代日本文学を代表する文人たちが登場した文学浪漫巡り、いかがだったでしょうか。今回まわったのはほんの一部。まだまだ京成線沿線には文豪ゆかりの地がたくさんあります。気になった方は、まず京成線の駅に置いてある「文学浪漫巡り」というパンフレットガイドを手にとってみては? 内容充実のとってもよいガイドブックです。そして気になる文豪スポットがあったら、ぜひ「文学浪漫きっぷ」でお出かけしてみてくださいませね~♪