ハワイ現地発

【ハワイ現地発】2024年にハワイでオープンした旬の居酒屋3選

 今年も年間を通して飲食店のオープニングラッシュは止まらず、多種多様な店がハワイに登場した。それぞれがユニークなコンセプトを掲げているが、日系人をはじめとするロコたちが好きな「イザカヤ~居酒屋~」も勢いがあったので、個性に富んだ3店舗を選んでみた。

居酒屋 天きち

1階の入り口を入って階段を上っていくと店がある

 今年2月にオープンした「居酒屋 天きち」。1階にはローカルでにぎわう人気居酒屋「とりとん」があり、その横の階段を上がると入り口がある。

まずは生ビール。サントリープレミアムモルツは1杯7.50ドル

 種類豊富な天ぷらのほか、刺身などの海鮮メニュー、手巻き寿司、酒の「あて」となる具材を海苔巻きにした「あて巻き」などが揃う。

ボリューム満点の肉厚のポン酢サーモンは12ドル
かつお節とチーズなどを巻いたあて巻きは全15種類

 この店の特徴はスタッフが底抜けに明るくてイキがいいこと。出てくる料理も豪快で、ポン酢がかかったサーモンが分厚くて驚いた。名物のワッショイいくら丼(45ドル/59ドル)は、スタッフが「ワッショイ!」の掛け声とともにイクラをこぼれるほどスプーンでご飯の上にのせてくれる。

山芋わさびソース漬けの天ぷらは4つで4.49ドル
キスの天ぷらは6.50ドル、いか天ぷらは4つで6.90ドル

 天ぷらは、エビやキスなどの魚介、マストオーダーのハワイ島コナ産アワビ、野菜、きのこに加えて、豚しそ梅肉、しそめんたい、ブリーチーズ、卵焼き、さきいかなどをカラッと揚げたおつまみ系がある。天つゆも合うが、お勧めは塩。塩の名産地とされるカウアイ島の塩、ゆず、昆布塩の3種類をネタに合わせて試してみよう。

ハワイ島が誇るコナ産アワビの天ぷらは8.90ドル
3種類の塩があるので食材に合わせて選ぼう

 価格帯は、天ぷらが2つで5~6ドルくらい、つまみは4ドルから15ドルほど、あて巻きは一つ1ドルで、どれをとってもローカル価格。キングストリートという場所柄、大半が地元客、スタッフはほとんどが日本人。ここに行けば「ハワイにある居酒屋文化」を体験できる。

ワイキキ食堂

この扉の先の階段を上がって2階に店がある

 ところ変わって、ワイキキのど真ん中にも新たな居酒屋がオープンした。カイムキでそば居酒屋を経営する企業が、満を持してワイキキに開店したのが「ワイキキ食堂」だ。免税店(DFS)のビルの向かいにあるが、一見分かりづらい地味な入り口から階段を上がった2階に、広々とした店が広がっている。シックな落ち着いた雰囲気のなか、意外に良心的な価格で創作系の料理がメニューに並んでいた。

アサヒ生ビールは9ドルでやはりちょっと高め
日本らしい飲み物といえばレモン酎ハイ。8ドル

 たこわさや長芋おひたし、自家製豆腐などの冷たいつまみは5~6ドルほど。イチオシの沖縄スイートポテトサラダ(13ドル)はさつまいものように甘い紫色の芋を使ったポテサラで、味付けたまごとイクラをトッピング。たっぷりの野菜とチップスが乗った豚しゃぶサラダ(13ドル)もなかなかイケる味だった。

ハワイでは定番「沖縄スイートポテト」を使ったポテサラ
日本とハワイの味がミックスした豚しゃぶサラダ

 トマト肉巻きやレタス肉巻き、牛タンなどの炭火焼き、炙りシメサバなど、メニュー数が多くて、3~4人で取り分けながらいろとりどりの料理を楽しめた。

レタス肉巻きは8ドル。焦げ目が香ばしい一品
肉厚の牛タンは25ドル。レモンをキュッと絞って!
焼きそばや豚キムチ炒めなどの鉄板料理は14ドルから
ハニートーストは12ドルで半端ないボリューム

 デザートのハニートーストは日本ではおなじみかもしれないが、隣の席の米本土から来ていた観光客の男性からの視線が痛いほど突き刺さっていた。あまりにじーっと見ているので「食べてみますか?」と聞くと、(ガン見している自分自身にハッと気づき)笑いながら「食後にオーダーするよ!!」と目を輝かせていた。「居酒屋」が身近にない地域からの人たちとのこんな触れ合いも楽しい時間となった。

居酒屋855-アロハ

店内は緑に囲まれていて、明るく爽やかな雰囲気
「居酒屋」に誇りを持つスタッフが笑顔で迎えてくれる

 今年6月にワイキキに誕生した大人専用ホテル「ローマーハウスワイキキ」。このホテルの1階に登場したのが「居酒屋855-アロハ」。日本の仙台出身で米本土での経験も豊富な日本人シェフが監修した居酒屋で、東北のテイストがちょこちょこと感じられる。

電話にまつわるネーミングのカクテルは18ドル前後
ひじきやニンジンの胡麻和えなど野菜サンプラーは8.50ドルから

「855」とは昔のハワイの市外局番で(今は「808」)、古きよき時代のハワイへのオマージュがこの店のコンセプト。店内のところどころには公衆電話などレトロなインテリアが置かれていた。

 カクテルの名前がユニークで「CALL ME MAYBE」「CAN YOU HEAR ME NOW?」などの名前が付けられている。

丁寧に作られた一品ずつは彩り鮮やか
生姜と味噌で味付けしたエビのグリル

 枝豆や、ハワイの旬の野菜をごまあえや、味噌で味付けしたシンプルなつまみでスタートするのもいいだろう。ハワイの素材を使った料理はもちろん、東北地方のメニューも自慢。例えばジュージューモクモクの状態でいただくステーキのような厚さの牛タン(24.50ドル)、仙台発祥とされる冷やし中華は昔ながらの懐かしい味だった。この店では、締めはラーメンでなく冷やし中華となる。

厚みのある牛タンは柚子コショウとレモンポン酢でいただく
キュウリや薄焼き卵の薄切りが「昭和」を思わせる冷やし中華

 デザートで、女性陣が大絶賛したのが「チョコレートナメラカ」。なめらかなキャラメルと黒胡麻の味わいをとことん楽しめる一品。かき氷は、季節のフルーツがのってコンデンスミルクがとろりとかかった誰もが好きなデザート。

タヒニキャラメルとゴマをたっぷり使ったチョコレートナメラカは8.25ドル
食後にさっぱりとハワイのフルーツを味わえるかき氷は7.75ドル

 新しさとハワイの懐かしさが入り混じったこの店は、ハワイらしい居酒屋の食体験を楽しめる。

大澤陽子

ハワイで発行している生活情報誌「ライトハウスハワイ」編集長。日本ではラジオアナウンサー、ライターとエディターとして活動。2012年にハワイへ移住。新聞やハワイのガイド本などの編集に携わる。ハワイのビーチとビールをこよなく愛している。