ハワイ現地発

【ハワイ現地発】ドローンライトショーで2023年の幕開け! 変わりつつあるハワイ

ダイヤモンドヘッドからの初日の出を臨んだ2023年の元旦

 2023年早々、1月3日に日本からハワイへの1日の渡航者数が3000人に達した。2022年前半は毎日500人足らず(ゴールデンウイークを除く)で、その後も1000人に届かない日も多かったが、年末を前についに2000人を超えた。

 なぜ年明け後にさらに日本からハワイへの渡航者数が増えたか。それは、年末年始に日本へ帰国していたハワイ在住日本人が、子供たちの冬休みが終わる日に一斉に帰ってきたからだと思われる(旅行者ではなかった……!)。

日本への帰国手続きは、オンラインサービス「Visit Japan Web」により、検疫、入国審査、税関申告が完結できるようになっている

 2023年はホテルがこれまでと違った年越しを試みたり、新年から観光制限が変わったり、新たな州知事も就任したので、ハワイは今年グッと変わっていくのかもしれない。

2022年の大晦日のマカプウビーチ。街の喧騒を離れたビーチは365日マイペースでのんびりとした時間が流れている

 ハワイの年明けは、日本の厳かな雰囲気とはまるで逆で、爆竹がそこら中で鳴り響く。

 1850年代にサトウキビ農園の労働者として中国から渡ってきた移民が新年を祝うために爆竹を持ち込んだのが始まりで、ミックスカルチャーを持つ島ならではの大晦日の慣習になっている。このあと、中国の旧正月である1月22日も爆竹で祝われることになる。

 ハワイでは、爆竹を購入するには許可証を取得しなくてはならない。許可証は1枚25ドル。爆竹と花火はそれを使う時間も、オアフ島では大晦日は21時から元旦の午前1時までと定められている。しかし実際は、待ちきれない人たちが大晦日の日中から住宅街で爆竹を鳴らす。犬は驚き、鳥も飛び回る。この日は家にいるペットが動揺して逃げ出すケースも多い。

いつもは公園などに来てくつろいでいるワンコだが……
犬にとっては大晦日も爆竹の慣習も知ったことではない

 夕方になると、盛大な花火を見るために、ワイキキにも多くのクルマが入ってきた。そして0時の年越しの瞬間、ビーチから夜空へ向かって打ち上げられた花火は息を呑む美しさだった。

2023年1月1日0時にワイキキビーチからまっすぐ打ち上げられた花火

 そんななか、新たな年明けの仕掛けが、ザ・カハラ・ホテル&リゾートで行なわれた。例年の花火ではなく、LEDライトを搭載したドローンが夜空を彩ったのだ。ドローンライトショーによるカウントダウンは、ハワイ州のホテルでは初めてとなる。

 同ホテルのシニアマーケティングマネージャーの佐々木和歌子さんに話を聞くと、「今回は3年ぶりに多くの常連のお客さまが世界中から戻ってこられたので、お客さまへのサプライズとして実施しました」とのこと。この情報は一般公開されておらず、近隣のローカルは、恒例の花火を眺めようとして違いに気付いたという。

夜空を背景にハワイをモチーフとしたデザインを描いた(写真提供:ザ・カハラ・ホテル&リゾート)
ドローンのバッテリの関係でショーは10分間(写真提供:ザ・カハラ・ホテル&リゾート)

 12月31日23時56分から始まり、カハラリゾートのロゴデザインを入れたカウントダウンが行なわれた。東京オリンピックで使用されたドローンの数は1800機。今回カハラホテルでは200機が夜空を舞ったが、ゲストは十分楽しんだ様子。

宿泊者にはゲストレターによって直前にサプライズとして知らせた幻想的なショー(映像提供:ザ・カハラ・ホテル&リゾート)

 このドローンライトショーを実施した理由の一つは、環境への配慮もあるという。ドローンは、花火のような大きな音を出さないため、海洋生物や動物たちを脅かすことがない。煙を出すこともないので、空気を汚したり、土壌や海を汚染したりすることもない。ゴミも出ない。再利用ができる。火災のリスクが低い。

 佐々木さんは、「ドローンによっていろいろなオブジェクトができることが分かったので、今年の年末もカハラリゾートではドローンライトショーを予定しています」と教えてくれた。

カハラホテルは、サステナブルな活動「KISKA」を行なっていて、教育を兼ねたアクティビティやカルチャーレッスンなどを広く実施している
世界海洋デーに実施されたイベントでは、ビーチクリーンアップ後のマイクロプラスチックを使って子供たちがアートを作った

 もちろん花火ならではの迫力や魅力もあるが、今後ハワイの年越しイベントが変わっていくのかもしれない。……サステナブルな爆竹もいずれ開発されるのだろうか?

 新年が明けると、日系人やハワイ在住日本人らは、ハワイにある神社やお寺に初詣に行く人が多い。パンデミックのときはオンラインや完全予約制による初詣を実施していたが、今年は多くの参拝客が訪れた。

1906年(明治39年)に日系移民への神道布教を目的として開設された出雲大社

 最後に、2023年に入って1週間のハワイの動向を。観光名所での変更として、コロナ感染拡大防止のためにツアーが制限されていた「ハナウマ湾自然保護区」では、1月4日からツアーの催行が再開されている。

 一方、ハワイ島の観光スポットであるハワイ島のキラウエア火山では、1月5日に噴火活動が再び始まった。ハレマウマウ火口から、これまでにないとされる大量の溶岩が勢いよく吹き上がっている。

巨大な島ハワイ島の雄大な自然をヘリコプターで見るのも一つの手段

 なお、ハワイへの入国時の規制に関しては、1月5日から、中国からの渡航者に対して入国時に新型コロナウイルス検査の陰性証明の提示が義務づけられた。

 もう一つ、車社会のハワイにとって多くの人が関係するニュースとして、虹が描かれた車両ナンバープレートが引退することになった。1991年に発行された、レインボーステイトの愛称を持つハワイならではのデザインが変わるのは寂しい限りだが、過去にカメハメハ大王像、ダイアモンドヘッドなどのデザインがあったように、新たなものもハワイの文化や歴史、自然に由来するものになると信じている。正式な日程などはまだ発表されていないが、今年のハワイでは道路を走るクルマのナンバープレートの変化にも注目を!

アメリカのナンバープレートデザインは各州の個性が際立っている(ワイキキの88Teeの階段のコレクションより)
虹のナンバープレートがすっかり定着している。ユニークな文字を入れている人も少なくない