ボーカリスト琴音の音楽旅

ヨーロッパの古城に行ってきた!? ロックハート城、竹久夢二伊香保記念館、美肌温泉と乙女の夢を叶える旅

日本とヨーロッパの、それぞれのよさを満喫しました

 東京では桜も散って、新緑の季節になってきました。過ごしやすい気候になり、お出かけしたい欲もむくむくと湧いてきます。

 しばらくはまん延防止等重点措置で都外へのお出かけは自粛していましたが、やっと解除されたので久しぶりに日帰り1人旅に出かけてきました。

 以前、こちらの連載でも群馬県渋川市にある「日本シャンソン館」について取り上げたことがあり、そのときは自分がシャンソン館のコンサートに出演し、仕事後に伊香保温泉に入って帰りました。

 が、美味しいと評判の水沢うどん、渋川エリアからクルマで40分ほど行ったところにあるスコットランドのお城を移築(!)したというロックハート城、竹久夢二伊香保記念館と、気になっていたけれど行けなかったところもたくさんありました。

 小学生のころからヨーロッパの古城が大好きで、本屋さんに並ぶ古城の本を毎日見に行っていた少女時代。

 パンデミックがなければ、アルゼンチン留学からドイツのノイシュバンシュタイン城(東京ディズニーランドのシンデレラ城のモデル)に行って、帰国する予定だった私。

 その雪辱を晴らすべく?今回は東京からもそう遠くないということで、群馬県渋川市伊香保町と吾妻郡高山村にあるロックハート城を訪ねることにしました。

JR高崎駅まで電車、レンタカーで水沢観音を目指します

 私が出かけたのは日曜日。行きも帰りも高速道路が混むと聞いていたので、JR高崎駅まで電車で行き、レンタカーで水沢観音に行くことにしました。

 JR高崎駅から水沢観音までは、余裕を持って運転をしてクルマで約1時間ほどになります。山間をクルマで登っていくと、水沢うどん街道を抜けて水沢観音に到着しました。

 クルマを降りると、山を登ってきただけあって少し冷んやりとした空気に身が引き締まります。駐車場から最初に目に付いたのは立派な鐘楼です。1打100円の御志納金で参観客も打てる、ということで打ってみました。人生初の鐘打ち体験です。

 本堂をお参りし、六角堂、十二支の守り本尊をお参りしました。そして、樹齢700年にもなる水沢の観音杉は圧巻の一言。

 御祈祷もしてもらったので、御本尊の十一面観世音菩薩も拝めました。観音さまの優しい表情に救いを感じるのは、いつの時代も変わりませんね。

水沢観音をお参り
立派な鐘楼は、一般参拝客も打てます
十二支守り本尊
六角堂
内部にある回転する地蔵尊は非常にめずらしいそう
樹齢700年の水沢観音杉

念願の水沢うどん&舞茸の天ぷらを堪能

 歌のお仕事で何度も渋川に来ているのに、実は現地で一度も食べたことのなかった水沢うどん。念願叶って、やっと食べることができました。

 今回はいろんな付けだれで食べられるということで、「松島屋」におジャマしました。古民家風の店内に、私はうどんと天ぷら付きの竹セットを、舞茸の天ぷらに変更して注文。

 到着した水沢うどんはキラキラ輝いて、発光しているかのような白いボディがまぶしいです。

 付けだれは山菜、なめこおろし、醤油、ごまと4種類があり最後まで飽きずに食べられます。醤油ベースの甘さ控えめのサッパリとした付けだれが、サクサクの舞茸の天ぷらと相性バッチリ。

 うどんの上に乗っていた椎茸の煮物も、甘みがアクセントになって美味しかったです。

水沢うどん「松島屋」
付けだれが左から山菜、なめこおろし、醤油、ごまと4種類
ジューシーな舞茸の天ぷら

スコットランドの本物のお城が群馬県に!? ロケ地としても大人気のロックハート城へ

ロックハート城、入り口から一気にヨーロッパにトリップ
スプリングベル、鐘の塔

 何度も渋川を訪れて、ずっと来たかったロックハート城。到着してみると、えっ、こんなに広い敷地のなかにあるの?と驚き。

 いろんなドラマや映画、CDジャケットなどの撮影でも使われているそうです。あなたの好きな作品やアーティストも、ここで撮影しているかも? サインギャラリーもあるので、探してみるのも楽しそうです。

 この日は日曜で、ロックハート城で結婚式が行なわれていました。結婚式の日でも一般のお客さんも入場可能で、幸せムードを少しお裾分けしてもらった気分に。お城の隣にはセントローレンス教会もあり、こんな素敵なところで結婚式を挙げられるなんて、乙女の夢そのものじゃないですか?

 ロックハート城の入り口階段の中央に、錠前のなかにハートが入っている紋章があります。これはスコットランドの王ロバート一世の心臓を箱に入れ、鍵をかけて運ぶ命を受けたのがロックハート家の祖先サイモン・ロッカードでした。それから、このマークがロッカード家の紋章に加わったそうです。

 お城の入り口脇には、イギリスのダイアナ妃が乗っていたというロールスロイス、現在もエンジンがかかるという1931年のプジョーとクラシックカー好きは目の色が変わるような展示も。本物のプリンセスの軌跡を感じられます。

すべてのパーツをヨーロッパから移築、復元したロックハート城
ハートをロックしている紋章
本物のお城ならではの威厳のある入り口
1931年のプジョーと、故ダイアナ妃のロールスロイス
セントローレンス教会
木の梁が特徴的。18世紀のステンドグラスも素敵です

 お城内部も、レンタルドレスでプリンセス体験ができたり、撮影スポットも盛りだくさん。

 そして、このロックハート城がスコットランドから移築されたのは、俳優の津川雅彦さんがこのお城を飛行機の上から見てほれ込んだことがきっかけだそうです。

 そこからさまざまな人の熱意と夢を経て、現在のロックハート城が日本に移築されました。ロックハート城内の津川雅彦さんのサンタコレクションが寄贈された「世界のサンタミュージアム」は津川さんの魂を感じられます。

「好き」という情熱を実現した素敵な空間に、ひたすらうっとり。そういえば、私は高校の進路相談で担任教師に「ヨーロッパのお城を買って住む」とほざいていましたが、このロックハート城はそれに近いことを体現されていますね。

 夢と熱意があれば、ムリそうに思えることもいつか実現できるのかもしれません。ロマンティックな空間ですが、その裏にある熱い男たちのヒストリーを思うと胸が熱くなります。

レンタルドレスでプリンセス体験も
もちろん、メンズ服、お子様用も用意あり
世界の城ライブラリーなどを背景に、プリンセス姿で写真撮影も可
津川雅彦さんご自身で集めたサンタクロースコレクション
この城を建てたウィリアム卿の当時の書斎をイメージした「ウィリアムの小部屋」

 私は過去にドイツの古城にも行ったことがあるのですが、城内は簡素なお城もありました。しかし、このロックハート城は城内も見どころがたくさん!

 マリリン・モンローなど、名女優が使っていたジュエリーが展示されているジュエリーミュージアムやギャラリーショップも、アンティークやヨーロッパ雑貨好きには堪らない空間になっています。

 なかにはマリー・アントワネットの母としても知られるマリア・テレジアから、過去のロックハート城主に送られた勅許状も展示されています。

 本物のお城だからこそリアルな歴史があって当然なのですが、話のスケールが大き過ぎて一瞬自分が本当に日本にいるのか疑ってしまいました。

ジュエリーミュージアム
ヨーロッパ雑貨、アンティークを扱うギャラリーショップ
お城内部のサロンも雰囲気抜群
マリア・テレジアからの勅許状

 お城を出ると屋外にはイギリス式庭園「ウィリアムズガーデン」もあり、5月はじめのGW辺りには新緑の季節になり見応えバッチリだそうです。

 レストランもお土産屋さんもあって、本当に丸1日じっくりいても飽きずに楽しめちゃいますね。カントリーレストラン「ビッグハート」にはなんと、イギリスドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」で使われていた馬車の展示もあるんです。

 イギリスの方々から「なぜ日本に?」と惜しむ声が多数あったとかなかったとか。なんだか、色んなマニアに受ける小ネタが多くてロックハート城に来る前と来たあとではだいぶ印象が変わりました。

 イギリス~スコットランドと徹底的に統一された世界観はお見事と言わざるを得ません。

 まだ安定しない世界情勢で、気軽にはヨーロッパに行けないなかでかなり外国気分を楽しみました。

カントリーレストラン「ビッグハート」
ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」で使われていた馬車
ウィリアムズガーデン入り口
秘密の花園ごっこができそう
ウィリアムズガーデンから見るロックハート城
飼育されているアヒルちゃんたち
気軽なお土産屋さん「ハートバザール」
メルヘンワールド炸裂
くるみ割り人形、アリス、ピーターラビットと私の好きな物全部ありました
真っ赤な野菜、ビーツを使った見た目もかわいいお菓子のお土産も

竹久夢二伊香保記念館、大正浪漫に浸れる空間で夢二作品を堪能

 続いては、また渋川に戻り明治・大正時代に活躍した画家の竹久夢二伊香保記念館に行ってきました。

 伊香保の温泉街のすぐそばにあるので、夏なら浴衣を着て訪れるのも素敵ですね。現在はコロナウイルスの影響で、本館の「黒船館・大正ロマンの館」は時短営業、新館「義山楼」は土日祝のみ人数制限をして開館しています。

 黒船館に入ってすぐに、大正時代に流行したオルゴールがたくさん設置された夢二ホールに入りました。

 なんとこちら、大正期に作られたスタインウェイ、ベーゼンドルファーのピアノがあり、生演奏のコンサートが行なわれることもあるそうです。

 こちらではアンティークオルゴールの音楽も楽しめて、夢二の作詞した「宵待草」のオルゴールは特に絶品。この建物とオルゴールの音色に、まるで大正時代にいるかのような気分に。

 オルゴール演奏は定時で行なわれているので、開始時間は現地で要チェックです。

本館 黒船館入り口
豪華過ぎる夢二ホールのピアノたち
ディスクが見えるアンティークオルゴール
天井のステンドグラスも必見
目でも楽しめる夢二ホール
夢二作詞の宵待草はオルゴールの音色ともピッタリ

 続いて、夢二が表紙や挿絵を描いていた雑誌の展示から始まり、徐々に夢二の作品ワールドに誘われていきます。

 大正ロマンの館の記念室2に入ると、夢二の絵画作品をしっかりと感じられる展示になっています。

 恋人と死別した夢二の気持ちを思うと胸が痛みますが、その悲しみが素晴らしい作品に活かされているのかもしれません。

夢二のデビュー作が掲載された雑誌「中学世界」の展示
記念室2の入り口
伊香保と夢二作品のつながりを感じられる記念室2
黒船館2階、こちらにも大正期のアンティークオルゴール
夢二が愛用していた椅子と同じもの
江戸時代の豆皿。夢二以外の作品も楽しめる
夢二にちなみ、大正時代に日本で作られたモリムラドールやオールドノリタケも展示
感染予防のため現在は休業中の喫茶室「港屋サロン」、それでも雰囲気抜群

 この建物やランプ、ステンドグラスなどすべてが夢二作品の世界観を広げていて、より一層深く作品の世界に入り込むことができます。

 そして、伊香保、榛名山と夢二のつながりに関してもさまざまな展示がされています。

 やはり生の作品のパワーはすごくて、涙が出てきてしまう作品もありました。

 夢二の作品といえば「黒船屋」が有名ですが、こちらで常設展示はされていませんが、年に2週間、予約制で見ることができます。

ランプやステンドグラスもすべてアンティーク
本物の威厳が夢二の作品に引けを取らず、お互いを引き立てています

最後は黄金の湯で伊香保温泉を満喫しました

 そして、ここまで来たら温泉に入らないで帰ってどうする! というわけで、竹久夢二伊香保記念館の目の前にあった「黄金の湯館」で日帰り温泉を楽しみました。

 こちらは源泉かけ流しもあり、伊香保温泉らしい黄金の湯はお肌がとぅるん、と保湿剤に浸かっているような感覚に。ちょうど、今脚に火傷をしてしまっているので湯治にもなりました。

 露天風呂もあって、伊香保のよい空気を吸いながらのんびりリラックスモード全開。

 春とはいえまだ肌寒い日が続いていたので、しっかり温泉で温まりました。

 温泉のあとは瓶入りのコーヒー牛乳を飲んで、クールダウン。風呂上がりに瓶で飲む牛乳って、なんでこんなに美味しいんでしょう。

 休憩所までの廊下に素敵なヨーロッパ風のレトロなポスターがたくさん貼られていて、これもまたたくさん日帰り温泉があるなかで黄金の湯に来てよかった、と思えました。

黄金の湯館外観
日帰り温泉も宿泊もあり
レトロなポスターがたくさんあります

 黄金の湯館からは、またレンタカーで約1時間ほど走りJR高崎駅まで。というわけで、JR高崎駅からビールを買って東京までの電車に乗り込み、渋滞に巻き込まれることなく1人旅を終えました。

 何度も渋川に行っていても、また新たに行きたくなる場所ができる魅力的な場所です。東京から電車のアクセスもよいので、クルマだけではなく電車を使っての旅もオススメ。

 子供のころからヨーロッパの古城が好きで、大正浪漫好き、温泉も大好き! な私にとって、久しぶりの県外の旅は最高のものになりました。

琴音

シャンソン、JAZZなどをメインに歌うボーカリスト。たまにアルトサックスも吹きます。1986年10月10日生まれ。趣味・特技は、ライブなどで訪れた日本各地の美味しい食べ物を探すこと。思い立ってふらっと一人旅をすることもしばしば。ブログはhttp://ameblo.jp/singersax-kotone/