JALふるさとアンバサダー/応援隊に聞く地域愛

JAL客室乗務員が取り組む阿蘇の野焼き支援ボランティア。美しい草原を未来に残す活動に参加しました!

JALふるさとアンバサダーに地域の取り組みを聞いた。回答者は熊本県JALふるさとアンバサダーの坂内純子さん

 全国各地に拠点を持つJALは、地域活性化の取り組みを継続的に実施してきており(現在は「JALふるさとプロジェクト」)、2020年8月には社内公募で選ばれた客室乗務員が現地に移住して、それぞれの地域での取り組みを推進する「JALふるさとアンバサダー」を発足しているほか、同12月には乗務しながら地域活性化に携わる「JALふるさと応援隊」を任命している。故郷や縁のある地域に対して、客室乗務員として培ってきた知見を活かした商品開発や地域課題の解決などを展開する狙いがある。

 今回お話を聞いたのは、熊本で阿蘇の野焼きボランティアに携わるJALふるさとアンバサダーの坂内純子さん。

――取り組みについて教えてください。

 阿蘇くまもと空港の離着陸時に機窓から見える雄大で美しい阿蘇の山々は、千年以上も昔から人々の手により守られています。

 熊本に春を告げる風物詩といえば、阿蘇の野焼きです。

 年に一度早春に野焼きを行なうことにより、美しい草原を維持し、また地中に蓄積された炭素が固定され地球温暖化を防止し、貴重な草原の生態系を守り、雨水を土のなかに蓄えることで九州の水がめを担います。

 しかしながら草原の面積は、野焼きに携わる人手不足などさまざまな要因からこの100年で約半分に減ってしまいました。今後30年でさらに約6割が失われるかもしれないと示唆されています。

 日本航空と阿蘇市は、阿蘇の草原を一緒に守っていくための連携協定を2023年3月に結び、関係人口の創出、拡大に向けた取り組みを進めています。

 その一つとして、先日JALグループ社員向けに野焼き支援ボランティアツアーを企画、実施いたしました。

――この取り組みにはどのように関わっているのでしょうか。

 今回のツアーは1泊2日。さまざまな職種のJALグループ社員18名が首都圏、関西圏、九州域内より集まり、私もそのうちの一人として参加いたしました。

野焼き前の藁色の阿蘇の草原

 1日目に阿蘇草原保全活動センターにて、これまで地域の方々がどのように阿蘇の草原を守ってきたか、また阿蘇の草原を守るべき理由について学習したあと、火消し棒やジェットシューター(水嚢を背負いポンプで消化する機材)の使い方を学びました。

 2日目は地元ボランティアの皆さまと一緒に阿蘇の草原(4.5ha)にて野焼き支援をいたしました。天候に大きく左右される野焼き。この日は霜が降りていたためなかなか火がつきにくかったのですが、長年野焼きに携わっている皆さまの、風や状況を読む研ぎ澄まされた感覚と技術により、火入れに成功。藁色だった草原は、真っ黒く様変わりしました。我々は飛び火しないよう火消し棒を持って注意を払います。

野焼きの様子。それぞれが火消し棒やジェットシューターで飛び火による火災がないようフォローします

 この作業は保安要員として常に機内の様子に注意を払う客室乗務員の仕事ととても似ていると感じました。

――今後の展開・展望について教えてください。

 今回初めての野焼き支援ボランティアツアーを企画・実施いたしましたが、JALグループは美しい阿蘇の草原を何年先も残せるようこの活動を継続して実施する予定です。

 真っ黒になった阿蘇の草原は冬の終わりを告げ、そこから1か月ほどで、あっという間にフレッシュなグリーンに生え変わります。

 草原を守る人々の活力は草原の活用です。

 これからベストシーズンを迎える阿蘇の草原では、トレッキング、ボルタリング、e-bikeでの草原ライドなどさまざまなアクティビティの体験が可能です。

 またアクティビティを楽しむうえで欠かせない草原、そんな草原を守る野焼き支援ボランティアを阿蘇グリーンストックでは募っています。

――旅行者に向けてメッセージをお願いします。

 阿蘇のグルメといえばあか牛です。

 阿蘇の草原に放牧されているあか牛に、美味しく草を食べてもらうことでも、阿蘇の草原風景は保たれています。

 阿蘇のあか牛は広大な草原で放牧されているため、よぶんな脂肪がなく適度な霜降りと旨味成分を豊富に含んでおり、とてもジューシーな味わいです。

 そのあか牛を100グラム食べることで阿蘇の草原、約4.5畳の保全につながるとも言われています。

阿蘇の草原でのんびりと過ごすあか牛。あか牛を美味しくいただくことは阿蘇の草原保全につながります

 また阿蘇にはたくさんの温泉もあります。

 阿蘇の温泉の1つ、内牧温泉の泉質は鉄分を多く含む泉質で、疲労回復を促し湯上りの肌はすべすべに。露天風呂に浸かりながら阿蘇の有名な雲海が見られる温泉もございます。

 皆さま春のご旅行に熊本はいかがでしょうか。