井上孝司の「鉄道旅行のヒント」

交通系ICカードとネット予約サービス、どれ使ってる?

筆者の手元にある、いわゆる交通系ICは4アイテム。このうち「東京駅100周年記念Suica」は純然たるコレクターズアイテムだが、機能を維持するために、ときどきチャージして使用している。それは記名式Suicaも同様

 前回は「クレジットカード選び」の話を書いたが、その流れで、交通系ICやネット予約サービスについても書いてみようと考えた。いずれも「地域別」になっていることから、それがひとつの判断基準になるのは間違いない。しかしそれだけの話でもないだろう。

とりあえずSuica

 実のところ、主要な交通系ICカードは全国相互利用の対象になっているから、「どれを使っても同じ」と考えそうになるが、はたしてどうか。

 筆者は東京都内在住であり、JRの駅が自宅の最寄りである。よって、交通系ICのメインはモバイルSuicaである。全国相互利用の対象になっている鉄道路線ならどこでも利用できるから、北は北海道から、南は九州・沖縄まで対応できる。これで何も困っていない。

 ちなみに、その「交通系ICカードの全国相互利用」対象になっている、いわゆる「10カード」とは、以下の面々である。

・Kitaca(JR北海道)
・Suica(JR東日本など)
・TOICA(JR東海)
・ICOCA(JR西日本など)
・SUGOCA(JR九州)
・PASMO(首都圏民鉄各社)
・manaca(中京圏民鉄各社)
・PiTaPa(近畿圏民鉄各社)
・はやかけん(福岡市交通局)
・nimoca(西日本鉄道)

ことでんの高松築港駅で。同社は2018年3月から交通系ICの利用が可能になった

 ただ、「地場」の決済システムを利用したときだけ恩典が存在する、というケースもある。その一例が伊予鉄道で、モバイルSuicaでも乗れるしキャッシュレス割引(-20円)も受けられるが、ポイントサービスの対象にはならない。それには「みきゃんアプリ」が必要である。

伊予鉄道市内線では、宣伝用のラッピング電車まで用意して「みきゃんアプリ」をアピールしている
運賃箱に掲示があるように、交通系ICの利用も可能、かつキャッシュレス運賃で乗車できるが、ポイントサービスの対象になるのは「みきゃんアプリ」のみ

 もっとも、日常的に利用するからこそのポイントサービスであり、他所から来た一見さんが単発で利用するのでは、ポイントサービスのメリットはない。だからそこは無視して、キャッシュレスで乗車できる利便性だけあればよろしいと考えている。

 するとここでも、前回に取り上げたクレジットカード選びと同様に、「日常的な利用がどれだけあるか」というファクターが影響するのだと分かる。

 よって、例えば首都圏でJRの電車や電子マネーを利用して「JRE POINT」を貯めようということであれば、モバイルSuicaやMy Suica(記名式)が最善の選択となる。ただし筆者の利用状況では、ポイントが貯まるといっても知れているので、貯まったポイントはもっぱら、普通列車のグリーン車を利用する場合に放出することにしている。

前回書いたように、筆者はクレジットカードのメインが航空系ということもあり、JRE POINTの積算は、日常の電車利用と「えきねっと」の利用に限られている
記事を書く目的でQRチケレスを試用したときの名残で、JR九州のポイントも積算されているが、これだけでは使いようがない

 なお、筆者はモバイルSuica導入前の名残でMy Suica(記名式)もキープしているが、普段は使用していない。予備としての機能維持のため、たまに少額をチャージして利用するだけである。そのほかKitacaも持っているが、これは主として「エゾモモンガがかわいい」という理由である。

ネット予約サービスの選択に関わるファクターいろいろ

 では、ネット予約サービスはどうか。

 JRグループの場合、現在は「えきねっと」「EX予約およびスマートEX」「e5489」「JR九州 インターネット列車予約」という棲み分けになっている。また、以前に取り上げたように、私鉄特急でも自前のネット予約サービスが一般化している。

 実はここでもポイントサービスというファクターが関わってくるので、「利用頻度が高い事業者あるいは路線に対応したネット予約サービスを」とするのが、もっとも無難かつ確実な選択である。よって筆者の場合、えきねっととスマートEXの2本立てとしている。

 ただ、えきねっとでできないこともある。その一例が「サンライズ瀬戸・出雲」の設備選択で、えきねっとでは「指定席」の選択しかできない。e5489なら指定席に加えて、B寝台2種類、A寝台2種類のなかからチョイスが可能である。

e5489では「サンライズ」の設備選択が可能である
ところが同じ列車を指定しても、えきねっとでは「指定席」のチョイスしかない

 以前にも書いたように、e5489は会員登録なしでも利用できるから、e5489でなければ購入できない列車、あるいはe5489でなければできない設備選択を利用するために単発で臨時利用することにも意味があろう。

 また、東海道・山陽新幹線で事前申込やシートマップ指定ができるのはEXサービスであり、えきねっとではできないのが現状である。

 ポイントサービスについては、クレジットカードの場合と同様に「他地域の事業者のポイントがあっても使いみちに困る」ということになりがちである。かく申す筆者自身、JR九州のポイントが150ポイントあるが、利用するアテがない。そこはやはり「地元のサービス」にメリットがあるわけだ。

ネット予約サービスでは、受け取りという問題がある

 ただ、ここまで述べてきたファクターだけに依拠して選択を決められないのがネット予約サービスの難しいところ。新幹線はまだしも、在来線では完全なチケットレス化が実現していない現在、紙のきっぷを受け取る場面が発生する可能性は考慮に入れなければならない。

 そして、地元のJRが提供しているネット予約サービスなら受け取りに問題はないが、他所のJRグループが提供しているネット予約サービスでは事情が違う。ネット予約サービスの利用だけならどこにいてもできるが、場所によっては受け取りができないことがある。

大阪駅の中央出札口で。ここではえきねっとの受け取りができず、新大阪駅に行かなければならない
その新大阪駅では、在来線と新幹線の乗り換え改札口の手前右手に、えきねっとの受け取りができる指定席券売機が設置されている
それがこの券売機。筐体が青色の券売機が該当する

 以前に、割引商品に釣られてJR九州のネット予約サービスを利用したことがあるが、きっぷを受け取れたのは博多駅に着いてからであった。券売機がそれほど混雑していなかったからよかったが。ただし現在はQRチケレスが登場しているので、受け取りの問題は大きく緩和された。

 JR東日本でも、「えきねっとQチケ」のエリア拡大が進んでいるので、こちらでも将来的には、受け取りの問題は緩和が進むこととなろう。すると、JR東日本のテリトリー外でもえきねっとを利用しやすくなる。

 つまり、「地元で紙のきっぷの受け取りができること」という前提を踏まえたうえで、「特定の事業者や路線の利用頻度が高い場合には、その事業者のサービスを」「利用が特定の事業者や路線に集中していない場合には、購入できる商品の幅が広いサービスを」という選択にするのが、無難な選択肢ではないか。