井上孝司の「鉄道旅行のヒント」
鉄道旅行とクレジットカード選び
2026年1月14日 06:00
世を挙げてのキャッシュレス時代。鉄道旅行の分野も例外ではなく、現金の出番はずいぶんと限られたものになった。かく申す筆者自身、日常生活でもおでかけでも、現金を使用する機会は激減している。代わって、交通系ICのような電子マネー、それとクレジットカードが大活躍である。
利用できる店舗の多寡とタッチ決済の有無
日常の各種支払におけるキャッシュレス化の進展、そしてネット予約サービスやネット通販の利用など。そうした状況を考えると、クレジットカードは間違いなく必需品である。
しかし、その選択肢はあまりにも多い。流通関連でも運輸関連でも、そして金融機関でも、クレジットカードを作りませんか、と宣伝にこれ努めている。では、ことに「鉄道旅行」という観点にフォーカスした場合、どういう選択をすればよいのか。
シンプルに決済の手段として考えた場合には、「利用できる店舗がどれだけあるか」に尽きる。海外での利用があるかどうか、それも、どの地域におでかけするかによって、この辺の判断基準は違ってくるだろう。
また、昨今の状況からすると、タッチ決済(コンタクトレス)に対応するカードがあるかどうかも重要な問題である。筆者の場合、国内では交通系ICの一択だと思っているが、海外では事情が違う。
実際に利用したところでいうと、ニューヨークやロンドンの地下鉄、そしてシンガポールのMRT。みんな手持ちのクレジットカードを「ピッ」とやるだけで乗車できるのは、まことに便利である。
そのほかの着目点として、カードによっては付帯している旅行保険の存在が挙げられる。おでかけの機会、ことに海外に出る機会が多い場合には、このメリットは無視できないものがある。
しかし実のところ、それだけの話ではすまないのが現状ではないか。
地元の、よく利用する事業者のカードが基本か
大手の鉄道事業者の多くは、自社の看板を冠したクレジットカードを用意している。そして大抵の場合、自社の利用によるポイントサービスの充実をアピールしている。それは鉄道の利用だけでなく、同じグループの流通部門を利用する場合も含む。
身も蓋もないことをいえば、ポイントサービスというのは「囲い込み」のために行なうものである。それを利用者の立場から見れば、貯まったポイントは活用できなければ意味がない。ちょっと格好を付けた書き方をするならば、ポイントサービスというエコシステムを回せるかどうかである。
特定の鉄道事業者を利用する機会が多くを占めており、さらに、グループ企業の商品・サービスを利用する機会も多いということであれば、話は簡単。その事業者が出しているクレジットカードを利用するのが、もっとも無難な選択肢ではある。まさに囲い込まれだが、貯める方でも使う方でも、ポイントサービスのエコシステムを効率よく回すことはできる。
しかし例えばの話。「ポイントがたくさん貯まるから」といって、自分が住んでいるのと異なるエリアの鉄道事業者が用意しているクレジットカードを利用した場合はどうか。ポイントを大量に貯め込んでも、貯まったポイントを利用する機会に乏しいのでは、ありがたみがなくなる。
また、ポイント還元率の高さに釣られて決済手段の手駒を増やしても、可処分所得のトータルは同じだから、リソースが分散するだけである。多少の還元率の高さよりも、特定の決済手段に全振りする方がメリットが大きい、という考え方もあろう。
筆者のメインは航空系
さて。筆者のように、利用する事業者や路線が多岐にわたる場合には、ポイントサービスによる囲い込みの恩典が効いてこない。そこで、「ポイントを稼ぐ」ことよりも「ポイントを活用できるかどうか」という考え方でクレジットカード選びをしているのが現状である。
その結果としてどういうことになったかというと、連載のタイトルとは裏腹に、「航空系」を主用するところに落ち着いた。だから、「えきねっと」でJRのきっぷを買ったり、旅先で宿泊や買物などをしたりして、航空会社のマイルを貯め込む構図になっている。
そうなった背景には、ここ10年ほどの間に国外に出る機会が増加したことで、サービスステイタスやマイレージ特典のメリットを実感しやすい環境ができた事情がある。裏を返せば、そういうメリットを実感できないのであれば、航空系のクレジットカードを選ぶ必然性は乏しくなる、ともいえる。
まったく個人的な話で恐縮だが、「こんな考え方もある」という一例として書いてみた。
年会費不要のサブカードを持つことの意味
クレジットカードには年会費が必要なものもあれば、不要なものもある。年会費不要だからといって、勧められるままにクレジットカードの枚数ばかり増やすのもいかがなものかと思うが(個人の感想です)、1枚しかないと、それはそれでリスク要因になる可能性がある。
ネット通販などで時折出てくる話だが、指定したカードの利用が弾かれる事態は皆無ではない。また、万が一に備えた予備、という考え方もある。すると、国際ブランドを意図的に違えて複数持ちにするのが、無難なチョイスということになるだろう。
筆者のように、「海外での小口利用はサブカードに分離する」という考え方もある。こうすれば、万が一、不正利用の被害に遭うようなことがあっても、国内での日常利用にトバッチリがおよばない。



























