井上孝司の「鉄道旅行のヒント」
同じホームなのに真逆の方面の列車が停まってる? 乗り換えをスムーズに、間違えないコツ
2024年1月24日 06:00
鉄道旅行について回るのが、異なる路線、異なる列車の間での乗り換えである。
乗り換えの不安要素はなにかといえば、「間に合うかどうか」が最大のものであろう。単にホーム間の移動距離の問題だけではなく、「間違いなく行き着けるかどうか」「混雑して移動に時間がかかるのではないか」という懸念も、当然ながらある。
階段やエスカレーターで押し合いへし合い
ことに、階段やエスカレーターを介して別のホームに移動する乗り換えでは、幅の限られている階段やエスカレーターに多くの旅客が集中するため、そこで押し合いへし合いが発生して流れが滞ることがある。1月18日に敦賀駅で行なわれた、北陸新幹線と在来線特急の乗り換えシミュレーションでも、これが問題になった。
ホーム間を結ぶ跨線橋や通路が複数ある場合には、空いていそうな通路を選ぶ手も考えられるが、これはどこの駅でも通用する汎用的な方法とは言い難い。使えるものなら使いたい手ではあるのだが。
ちなみに北陸新幹線敦賀駅の場合、新幹線と在来線の境界にある中間改札から至近にあるエスカレーターに人が集中してしまったようだ。しかし、実はその先にも別のエスカレーターや階段がある。そちらに行けば、多少はスムーズに在来線ホームに降りられたかもしれない。
敦賀駅では意図的に多めに設置されているが、一般的に、階段やエスカレーターの数は限られている。すると、そこから遠い場所に降り立ってしまうと移動の時間が増える。
そうなると、乗り換えの時間的余裕が厳しいと分かっている、あるいは厳しいと予想される場合には、乗り換える駅が近付いたところで早めに席を立ち、階段やエスカレーターに近い車両に移動しておく手も考えられる。
新幹線では、大抵の場合にはホームの中央付近に階段やエスカレーターがあるものだが、例外もある。例えば新下関駅は、在来線に乗り換えるのであれば博多方の端部にある階段が近い。
東北新幹線の盛岡以南では、フル規格車両の10両編成だと東京方に寄せて停車するので、10両編成の中央に位置する5・6号車はホームの中央付近に来ない。そんな事例もある。
駅構内図や地図で予習しておく
駅の構造やホーム同士の位置関係については、Webサイトで公開されている駅構内図を確認しておくのが早道。現場に行ってから不安になるよりは、事前にひと手間かけておく方がマシというもの。
昔は、時刻表に駅構内図が載るのは新幹線と在来線が接続する主要駅ぐらいだったが、今は多くの鉄道事業者がWebサイトで構内図を公表している。だから、「○○駅 構内図」とキーワード指定して検索すればなんとかなることが多くなった。こういうところは便利になっている。
実は、こうした「ホーム同士・駅同士の位置関係」を把握する手段として、地図の有用性がある。駅構内図では、位置関係は分かっても距離感は分からないことがままあるが、地図なら位置関係も距離も把握できる。ただし実際に連絡通路がどう通っているか、そこにエスカレーターやエレベーターや動く歩道があるかどうかといったことまでは地図では分からないから、そこは駅構内図の出番となる。
間違いが起こりやすいケースとは
普通は1つのホームに列車が1本だけだから、番線の数字だけ気にしていればいい。ところが、同一平面のホームに複数の列車がいる場合もあり、こちらの方が間違えやすい。
すると、乗り間違いや迷いが起こりやすいという意味では、「ホーム端に切り欠きホームから出る列車」と「同一ホームでの縦列停車」が要注意となる。
例えば松山駅では、駅舎や改札と同一平面の1番線に、岡山・高松行きの「しおかぜ・いしづち」と宇和島行きの「宇和海」が縦列停車することが多い。改札から右手が「しおかぜ・いしづち」、左手が「宇和海」の停車位置だが、これを間違えると逆方向に連れて行かれてしまう。
以下の写真は、10年ほど前に撮影した徳島駅での縦列停車事例。1番線は、改札に面した同一平面の2番線より左手に設けられた切り欠きホーム。そこに、発車時刻と行先が異なる2列車が縦列停車している。案内に注意しないと乗り間違えるやつだ。
自分が乗っている列車が遅れている場合
乗り換えにおける、もう1つの不安要因が「自分が乗っている列車が遅れている場合」。乗り換える先の列車が所定時刻に出てしまうと、置いて行かれる可能性がある。そうでなくても、乗り換えに際しての時間的余裕が乏しくなるだけで不安は増す。
2つの列車が接続していて、乗り換える利用が多い場合には、若干の遅れなら待ってくれることもある。なにも特急列車や新幹線に限らず、在来線の普通列車同士でも発車を遅らせて接続をとることがある。ただし、無限に待っていると遅れが遅れを呼んで影響を広げてしまうので、限度はある。
在来線特急から新幹線への乗り継ぎでは、在来線特急が遅れると、車掌が車内を巡回して「新幹線に乗り継ぐ旅客の数」を把握することがよくある。
乗り継ぐ乗客が多く、かつ、待てる範囲内の遅れであれば、乗り継ぎ相手の新幹線が発車を遅らせてくれることもあるが、必ずそうするとは限らない。遅れが広がってくると、接続を切って「後続列車への御案内」となる。函館本線の上り特急「北斗」と北海道新幹線の接続で、時折、そういう場面が見られる。
そのほか
乗り換えは、荷物に影響される部分もある。大きなスーツケースやキャスター付きバッグは、平地を移動する分にはいいが、階段の上り下りでは難儀をする。だからといってエスカレーターやエレベーターを利用するとなれば、そうした設備がある場所まで移動しなければならないので、選択の幅が狭まる上に時間がかかり、機動力が落ちる。
すると、以前に書いたことがあるように、機動力に優れた荷物作りをすることも、乗り換えを円滑に運ぶ一助となるわけだ。といっても長期の旅行ではどうしても荷物が大きくなりがちなので、限度はあるのだが。
このほか、自由席や普通列車だと「乗り換えた先の列車で座れるのか」という懸念事項も出てくるが、これは早い者勝ちの要素があるのでいたしかたない。どうしてもということなら、以前にも書いたように、乗り換える駅で「1本落とし」して次の列車にするしかない。