週末駅弁
郡山駅「三代目 小原庄助弁当」
2022年9月9日 11:00
東北新幹線は2022年6月に開業40周年を迎えました。今回ご紹介する駅弁は、記念年を祝う掛紙が楽しい福島県にある郡山駅の定番「三代目 小原庄助弁当」です。
描かれているのは開業当時の200系新幹線やまびこの懐かしい姿。0系にも似た、この白と緑の新幹線がデビューしてからもう40年が経ったとは、改めて時の流れを感じます。もともと「小原庄助弁当」は東北新幹線の開業記念弁当として発売されたので、この駅弁も代を重ねながら同じく40周年を迎えます。
掛紙を外すと、見た目はコンパクトながら上段のおかずと下段のご飯の2段重ねになっていて、けっこうボリューミー。ご飯は刻み梅がのった白飯と、菜の花の醤油漬けがのったしめじご飯の2種類です。
まずは白飯からいただきましたが、とにかく米が美味しい。家で食べる炊きたてとはまったく違うタイプの美味しさ。一口食べた途端、同じ郡山駅で販売されている人気の駅弁「海苔のりべん」をスグに思い出しました。同じものかは不明ですが、記憶に残るアノ味です。確認すると、製造はどちらも郡山にある駅弁の老舗「福豆屋」。白米に刻み梅がのり、とてもさっぱりいただけます。
しめじご飯のほうも、上にのった菜の花の醤油漬けとともにほんのりとしたやさしい味付けです。さっぱりした白飯との組み合わせは、それだけでも満足できそうな美味しさでした。
おかずは奇をてらったところがなく一見するとオーソドックスに感じますが、一品一品の味付けはとてもしっかりしていてバラエティに富み、ご飯同様に満足度の高いものでした。
海老の磯辺揚げは、海老と海苔から磯の風味が感じられ食べ応え十分。にしんの昆布巻はほどよい濃さのやさしい味付け。豆みそは味噌が染みすぎず豆そのものの味や食感も残っています。酒粕が香る鶏肉の酒粕味噌焼きはボリュームがあり、ほかにも素材の味を大切にした煮物などが盛り込まれています。
ちなみに、一際かわいらしい手まり餅はあんこ入りです。このお弁当を手掛ける福豆屋は、和菓子職人だった初代が大正時代にはじめた駅弁屋とのこと。実はこの手まり餅に創業者の想いやこだわりが詰まっているのかもしれません。
駅弁の名前にある小原庄助さんは、福島の民謡「会津磐梯山」に登場する人物です。“朝寝、朝酒、朝湯が大好きで身上つぶした”と囃言葉にありますが、駅弁にそういう大雑把さは感じず、むしろ一品一品に実直さを感じます。一方で人懐っこく多くの人に愛されたそうで、それがこのネーミングの元ではないかと感じました。
郡山駅にはご飯が美味しい駅弁が多数ありますが、ぜひ東北新幹線とともに40周年を迎えた「三代目 小原庄助弁当」を選んでみてはいかがでしょう。
「三代目 小原庄助弁当」
価格 :1100円
販売駅 :郡山駅
購入場所 :福豆屋 2号売店(新幹線13番線ホーム)
購入日 :2022年8月22日