週末駅弁

函館駅「鰊みがき弁当」

「鰊みがき弁当」

 北海道の北の玄関口、函館駅の老舗弁当店函館みかど(現在はJR北海道フレッシュキヨスクが運営)が1966年(昭和41年)から販売しているロングセラー駅弁が今回紹介する「鰊みがき弁当」です。

鰊、数の子ともになかなかのボリューム
旧函館駅のイラストがかわいい老舗の駅弁屋、函館みかどの駅弁です

 内容は天日干した身欠き鰊(ニシン)の甘露煮と、その卵である数の子の組み合わせというシンプルなもので、要は鰊の親子弁当です。鰊の甘露煮は身が厚くずっしりしていながら、とても柔らかく秘伝のタレで煮込んだという味付けはしっかりとしています。甘露煮としては甘さが強過ぎず鰊の味わいも十分に感じられるもので、ついついご飯が進んでしまいます。

身欠き鰊の甘露煮は肉厚でやわらかい

 一方、数の子はかなりの歯応えとプチプチとした食感が強いものです。もともと数の子というのはそういう食べ物ではありますが、そのなかでも硬めの部類だと思います。柔らかくしっかりとした味の甘露煮に対し、こちらは味も淡白で、味、食感ともになかなかのコントラストです。数の子といえば高級食材でもありますが、たっぷりと入っていますので心ゆくまでポリポリと楽しめます。

数の子は歯応え強目でしっかりとしたポリポリ感

 ちなみに付け合わせの茎わかめも、素材の味も歯応えもしっかりとしたタイプ。黄色い大根は味噌で漬けたもので、強目の味噌味が印象的です。

茎わかめの醤油煮
大根味みそ漬

 北海道の駅弁といえばカニを筆頭に海鮮系のお弁当が道内のあちこちで販売されていますが、この鰊と数の子のシンプルな組み合わせは類似したものをあまり見かけず、それでいて北海道らしさを強く感じる駅弁でした。

濃い味でやわらかい甘露煮と淡白な味付けと硬めの食感の数の子の組み合わせが楽しい

 余談ではありますが、今回筆者は東京から新幹線で北海道入りする予定で、函館駅は通過すらしない予定でした。ところが3月16日深夜に発生した地震による東北新幹線の不通により急遽飛行機で函館入り。そんな経緯でこのお弁当に出会ったわけですが、今後、北海道新幹線の延伸によって函館駅がどう変化していくのかちょっぴり気になりました。いずれにしても函館駅にはまだまだ魅力的な駅弁がたくさんありますので、これからもいろいろと食べて楽しみたいと思います。

「鰊みがき弁当」

価格: 980円
販売駅: 函館駅
購入場所: 函館駅 四季彩館「駅弁の函館みかど」
購入日: 2022年3月24日