週末駅弁

博多駅「豊後牛博多明太弁当」

平澤寿康

2021年7月1日 12:00

豊後牛博多明太弁当

　福岡には美味しい食べ物がたくさんあるので、博多駅で売られている福岡らしい駅弁も数が豊富です。なかでも特に目を引くのが辛子明太子を使った駅弁で、どれを選ぶか目移りしてしまいます。今回そのなかから選んだのが「豊後牛博多明太弁当」です。

　この駅弁では、福岡で有名な辛子明太子の店「やまや」の無着色明太子が使われています。東京在住の筆者は、やまやといえば辛子明太子はもちろんですが、ランチがお得なもつ鍋屋さんというイメージも強くて、パッケージの「やまや」の文字を見つけて即手に取ったのでした。

フタを開けると、ぎっしり敷き詰められたお肉と、大ぶりの辛子明太子が目に飛び込んでくる

　また、この駅弁で使われている牛肉の「豊後牛」は、大分県のブランド牛です。そういった意味では、大分県と福岡県のコラボ駅弁とも言えるでしょう。

　フタを取ると、ぎっしり敷き詰められたお肉と、その上に盛り付けられた辛子明太子が目に飛び込んできます。辛子明太子は1腹丸々というわではありませんが、大ぶりな辛子明太子の半身ほどのサイズがありますので、駅弁1食分としたら十分な食べ応えがあります。

　この辛子明太子は、先ほども紹介したように無着色ということで、色は淡いピンクといった印象です。とはいえ、明太子独特の旨味はとても強いので、いやがうえにもご飯が進んでしまいます。ちなみに、表面に唐辛子のつぶが見えますが、食べてみると辛みはかなり抑えめなので、辛いものが苦手な人もこれなら問題なく食べられるはずです。

辛子明太子は1腹の半分ほどのサイズで、駅弁1食分としては十分な量で食べ応えがある

辛子明太子は、辛みはほどほど。一口ほおばると独特の旨味が口いっぱいに広がり、とにかくご飯が進む

　すき焼き風に甘みの強い醤油味で煮込まれた豊後牛は、臭みがまったくありませんし、冷めていても柔らかくて、こちらも納得の美味しさです。お肉の下にはご飯が敷き詰められているので、ご飯と一緒に食べると、上品な牛丼を食べているといった雰囲気です。

　そして、辛子明太子と一緒に食べると、さらに美味しさが増します。どちらも比較的主張の強い味わいですが、ケンカするどころか、陸と海の美味しさが重なることで旨味が増強されて、2倍以上の美味しさになります。美味しい牛肉と辛子明太子の組み合わせが、ここまで相性がよいとは思っていなかったので、正直びっくりさせられました。

　そして、付け合わせの煮卵も、しっかり味が染みていて、箸休めどころか、さらに食欲が増進されます。

すき焼き風に煮込まれた豊後牛は臭みがまったくなく、柔らか食感でとても味わい深い。辛子明太子と一緒に食べると、旨味が増強されてなんとも言えない美味しさだ

付け合わせの煮卵は、味がしっかりと染みていて食欲が増進される

　辛子明太子、お肉、ご飯ともにボリューム満点で、満足度も十分です。ガッツリお肉の駅弁が食べたい人はもちろん、せっかくの福岡なので辛子明太子の駅弁が食べたいという人にもお勧めです。