荒木麻美のパリ生活

冬のラトビア、ノルウェー、スウェーデンへ。「ノルウェーのヘルシンキで迎えたホワイトクリスマス」

ラトビアからフィンランドに。よく見ると、パイロットがサンタの帽子をかぶっています

 2024年の12月頭から2025年の1月頭まで、ラトビア、フィンランド、スウェーデンに行っていました。今回はフィンランド編です。

 ラトビアのリガからフィンランドのヘルシンキまでは、飛行機で1時間。あっという間に到着です。リガ同様、ヘルシンキも1桁台の気温で拍子抜け。

 それでもヘルシンキ到着後すぐに、雪が降り始めました。かなりの大粒で、みるみるうちに銀世界になっていきます。

町があっという間に白くなっていきました

 もともと白いヘルシンキ大聖堂も真っ白に。大聖堂前で開かれていたクリスマスマーケットと合わせて、これぞ見たかった北欧クリスマスの景色! でも雪は翌日にはすっかり溶けてしまいました。観光には雪がない方がよいとはいえ、ちょっと残念。

サンタさんも写真撮影に忙しそう
大聖堂のなかは想像よりシンプル

 ヘルシンキに着いた翌日は、借りたアパートで調理して食べるための食材を探すため、屋根付き市場2か所に行きました。1か所は港の近くのオールドマーケットホール。歴史を感じる建物で雰囲気は抜群なのですが、未調理の食材がほとんどありません。

オールドマーケットホール

 食材を求めてもう1か所のハカニエミマーケットに移動しました。クリスマス直前ということで、特に肉屋と魚屋には人だかりが。フィンランドのクリスマスはハムを食べるようですが、私は八百屋で野菜と、魚屋でつやつやのサーモンの切り身、そしてスモークサーモンなどを買いました。クリスマス前日と当日は、これらを簡単に調理したものを家でゆっくりと食べました。

ハカニエミマーケット

 さらにフランス人の夫が「クリスマスにはデザートにブッシュがあるといいね」と言うので、フランス菓子を売っているお店「Chez Janet Gourmet&Gift」にも行きました。フランスでは1月に食べるガレットももう売っていたので、これも一切れ購入。正直なところ、味にそれほど期待をしていなかったのですが、「ブッシュもガレットも美味しい!」と夫と2人でうれしい驚き。

ブッシュとガレットを買った「Chez Janet Gourmet&Gift」

 ヘルシンキでもほぼ自炊していたので、ちゃんとレストランに行ったのは1回だけです。某口コミサイトで高評価だったので行ったレストラン「Kuu」は、店員の対応がてきぱきかつ愛想よく、新鮮な魚料理にトナカイの肉料理、最後のデザートまでとてもよかったのですが、私も含めて客が全員観光客! 店員に理由を聞いたところ「口コミサイトの上位になってからずっとこの調子で。近くの国立歌劇場で公演があるときは、フィンランド人も来るんだけどね」とのことでした。

Kuuの料理はすべて美味、量もちょうどよかったです
入りませんでしたが、映画「かもめ食堂」の舞台となったカフェ「Ravintola Kamome」。オーナーと内装が変わり、撮影当時のままではありませんが、より映画のイメージに近くなり、作品のファンなら訪れたい場所

 フィンランドのデザインについて興味があったので、デザイン美術館に行きました。フィンランドのデザインの歴史を深く見られると思ったのですが、期待が大き過ぎたのか、常設展も企画展も入館料に見合っていないように私は思いました。ヘルシンキの歴史と文化を紹介する、無料のヘルシンキ市立博物館の方が、企画展も含めて興味深かったです。

ちょっと期待外れだったデザイン美術館
マリメッコのブティックは市内のあちこちにあり、特に買い物バックを持っている人をよく見ました
ヘルシンキ市立博物館。休憩所がカラフル

 ヘルシンキも教会がたくさんあるのですが、テンペリアウキオ教会は大岩をくりぬいてガラスをはめた作りとなっており、なかに入ると開放的かつ神秘的な空間となっています。音響もとてもよくて、静かな音楽が流れているのはよいのですが、観光客の話し声もよく響いてとにかくうるさい! 椅子の上に足を乗せている人、コスプレの撮影をしている人までいたのは残念でした。コンサートをしているときに行くとよさそうです。

テンペリアウキオ教会

 気を取り直し、教会をあとに海の方に歩いて行くと、ヒエタニエミ墓地が。フィンランドではクリスマスにお墓参りをする習慣があり、あちこちにキャンドルが灯っていました。お盆みたいですね。

絶え間なく人が訪れていたヒエタニエミ墓地

 ヘルシンキにはおもしろい建物がいくつもあり、北欧最大のロシア正教会であるウスペンスキー大聖堂、流線型のヘルシンキ中央図書館、無音の世界を体験できるという木造のカンピ礼拝堂などを、タイミングがわるくてなかには入れませんでしたが、外から眺めました。

ウスペンスキー大聖堂
ヘルシンキ中央図書館
カンピ礼拝堂

 ヘルシンキ市内を離れ、大人気の観光地、スオメンリンナの要塞に行きました。フェリーに乗って15分で到着です。観光案内所でもらえるマップ(日本語版あり)のお勧めルートを中心に見て回りましたが、スオメンリンナ教会や潜水艦、大砲、キングスゲートなどをじっくり見ていたら3時間くらい経っていました。マップに裏千家の茶室があるというので、入り口だけでも見られないかとかなり探したのですが、最後まで見つけられなかったのは残念でした。

スオメンリンナ行きのフェリー
スオメンリンナ教会
第二次世界大戦時に使われた潜水艦
要塞の式典用の門、キングスゲート
島内の様子
この辺に茶室があるはずなのですが……

 たくさん歩いて少しお腹が空いたので寄ったカフェのキッシュやスープは、キッチンでちゃんと作られた感じがあり、心身ともに温まったところで帰りのフェリーに乗って市内に戻りました。

島内には数軒の飲食店があります

 ヘルシンキ市内にもたくさんのサウナがあるのですが、市内から少し遠いものの、森のなかにあるサウナを発見したので行ってみることにしました。オンラインで予約をして行ったのですが、時間に着いても先客たちがいるのみ。チェックインみたいなことはなく、どうしたらいいのだろうと思っていたら先客たちがいろいろと教えてくれました。家族で来ている人が多かったです。クリスマスらしく、サウナ帽としてサンタハットをかぶる人が多く、和やかな雰囲気。

 水着やサンダルなどはかごに入っているものを自由に使ってよく、タオルやそのほかのグッズはレンタルもできます。更衣室となっている小屋で水着に着替えたら(男女一緒ですが私は気にならず)、あとは2時間自由に過ごします。サウナは2か所あり、体を冷ましたくなったら目の前の海に。水は凍ってはいないものの、数秒でギブアップの冷たさでした。

 ムーミンの世界が頭にあったのと、静かなリガから入ったので、ヘルシンキの第一印象は「都会だ!」でした。大きな無印良品もありました。この無印良品では、ヘルシンキの無印良品でしか手に入らない地元産の商品があります。それとこれはとてもうれしい驚きでしたが、ヘルシンキの水道水はとても美味しかったです! 肌や髪にもやさしい水でありがたかったです。

ヘルシンキの無印良品。カフェの和食はまぁまぁの味

 次は最後の目的地、スウェーデンのストックホルムです。ヘルシンキからストックホルムまでは船に1泊して行きましたが、想像以上に快適な旅となりました。

夜の港。このバイキングラインという船に乗ってストックホルムに向かいます
荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/