荒木麻美のパリ生活
デヴィッド・ギルモアのコンサートにマイケル・ジャクソンのミュージカル、ロンドンで芸術の秋
2025年1月18日 08:00
昨秋、イギリスのロンドンに2泊3日で行ってきました。パリからロンドンまではユーロスターで2時間ちょっとなのですが、コロナもあり、最後にロンドンに行ったのはなんと2016年。
昨秋と2016年にロンドンに行ったのは実は同じ理由で、イギリスのロック・バンド、ピンク・フロイドのメンバーであるデヴィッド・ギルモアのコンサートを見るためです。夫がギルモアの大ファンで、「これが最後のツアーになるかもしれないから行きたい!」ということで(前回も同じことを言っていたような気がしますが)、チケット発売日に気合いを入れてチケットを取ってきました。
会場は今回もロイヤル・アルバート・ホール。重厚な赤色のドーム型の外観は、遠くからでも目立ちます。ここはさまざまなジャンルのコンサート、スポーツイベントなどが行なわれる多目的ホールで、ヴィクトリア女王の夫アルバート公に捧げられたホールとして、1871年にオープンしました。
今回はこのホールをもっとちゃんと見てみたいと、昼間のガイドツアーに参加しました。集合場所に着くと、ピンク・フロイド関連のTシャツを着ている人がちらほらと。結局来ていた人全員が、その晩のコンサートに行く人たちでした!
ツアーは1時間。VIPたちの控えの部屋やロイヤルボックス席など、演目を見に来ただけでは行けない場所を見られました。ギルモアファンたちはその夜のコンサートのリハーサルを見られて大興奮。
夜には再びホールに行ってコンサートを見ましたが、9年振りとなるアルバム「邂逅」からの曲と過去の名曲のオンパレードで、この日を待ちに待ったファンたちの熱気に満ちた、かつ和やかな時間でした。
今回のロンドン旅行、夫はギルモアのコンサートがメインでしたが、私はロンドンのミュージカルとシャーロック・ホームズ博物館も見たいと思っていました。
今回見たミュージカルは「MJ」です。マイケル・ジャクソンの半生を描いており、決して愉快なだけのストーリーではないのですが、全編を通して大ヒット曲の数々が流れ、ときに本物のマイケルかと錯覚を覚えてしまったメインキャストを含めてすべての演者たちが素晴らしく、見終わってすぐに「もう一度見たい!」と思えるほどでした。
シャーロック・ホームズは、イギリス俳優ジェレミー・ブレッド(吹き替えの声は露口茂)版のテレビドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」が大好きで、幼い頃に熱心に見ていました。当時の記憶がどれだけよみがえるかを期待しつつ博物館に。場所はもちろんベーカーストリートです。時間ごとの人数制ですが、4階建ての細長い家なので、階段ではすれ違うのも一苦労の狭さです。ここは博物館という名前が付いてはいますが、架空の人物たちが住んでいた家という設定のアトラクションですから、シャーロック・ホームズにさほど思い入れがない場合はがっかりするかもしれません。
私は思い入れがあるので、中に入ると「この窓からホームズはベーカーストリートを眺めていたのか!」「ホームズのパイプにバイオリン!」など、心のなかでは若干テンション高めに各部屋を見て行きました。ホームズの寝室の壁にシリアルキラーの写真がたくさんあるところなど、違和感のあるところはちょこちょこありましたが、おおむね満足でした。
イギリスといえばアフタヌーンティーですが、今回行ったのはホテル「The Orangery at Number Sixteen」の一角にあるレストランです。ロンドン在住の知人が連れて行ってくれました。真っ白なテーブルクロスに美しいカトラリーで提供された軽食とお茶を、久々の再会を喜びつつ、ゆったりとした気持ちで味わいました。
シャーロック・ホームズ博物館に行くときに寄ったパブで軽く食べたものや、ホテル近くで食べた朝食なども、ロンドンの食のレベルは昔とは大違いで満足。
今回泊まったホテルはノッティングヒル地区にある「Ruby Zoe Hotel&Bar」です。ロンドンをよく知る知人が勧めてくれたのですが、ロンドンのホテルにしては良心的な値段かつ機能的でよかったです。室内にはなぜかマーシャルのスピーカーとアンプが置いてあり、希望すればギターも貸してくれます。Rubyは欧州に展開するホテルチェーンなのですが、ほかのホテルもこうなのでしょうか? それだけ防音設備に自信があるということでもありますが、確かにとても静か。よく眠れました。
ナショナルギャラリーで絵画を見たり、ホテルと同じエリアにあるマーケットに行ったりもして、久々のロンドン2泊3日の楽しい旅はあっという間に終わりです。パリからロンドンは気軽に行ける距離なので、今度はあまり時間を置かずに再訪したいと思います。