荒木麻美のパリ生活

1泊2日で行く、アルザス地方コルマール&ストラスブールのクリスマス・マーケット

 12月のフランスはすっかりクリスマスモードです。パリのマルシェ・ド・ノエル(クリスマス・マーケット)も楽しいですが、ドイツに近いアルザス地方のものはとても有名。去年はパリの東駅前にアルザスをテーマにしたマルシェが開かれていたので見に行きましたが、現地にも行ってみたいと思い、コルマールとストラスブールに1泊2日で行ってきました!

 パリの東駅から高速鉄道TGVに乗り、2時間半ほどでストラスブールに到着です。ここから快速・普通列車TERに乗りかえ、30分ほどでコルマールに到着。パリからコルマールまで直行のTGVもありますが、本数が少ないです。

ストラスブール駅
コルマール駅

 コルマールに着いたのは昼時。タルト・フランベというアルザス地方の郷土料理専門のレストラン「La Stub」は、人気店で予約を取れませんでした。それでもダメ元で行ってみたのですがやはり満席のようで、ドアには鍵までかかっていて入ることもできません。これはムリかなと思っていたら、お店の人が出てきて「ちょうど席が空いたのでどうぞ」となかに入ることができました!

「La Stub」(72 Grand Rue, 68000 Colmar)

 タルト・フランベは薄いピザのようなものです。パリパリの生地にチーズ、クリーム、ラルドン、タマネギが乗っており、ハーブなどが入ったチーズを加えたバージョンもあるのですが、何を頼んでも見た目はほぼ同じです(笑)。デザートも同じ生地にリンゴ、シナモン、粉砂糖が乗ったものです。どれもサクサクとした食感にシンプルな美味しさで飽きません。ただし、見た目以上に食後の満腹感はありました。

タルト・フランベ

 お腹が満たされたところで、町の散策開始です。コルマールのマルシェの魅力は、とにかくその町並みです。旧市街のカラフルな木組みの建物は、おとぎ話に出てきそう。ここにクリスマスデコレーションが入ると、もはやここは某テーマパークかしら?と何度も思ってしまいました。マルシェは市内の数か所で開催されていますが、旧市街は小さなエリアですし、マルシェマップ(コルマール観光局)を見ながら回れば簡単です。

コルマールの町並みとマルシェ
グルメ市場と名付けられた場所では、カキの盛り付けコンテストが
サンタクロースあて専用のポスト
キリストが誕生した場面を再現したクレッシュ

 コルマールには、「小さなヴェネツィア」と言われるエリアがあります。ヴェネツィアとはちょっと違うかなと私は思いますが、これはこれでとてもすてきなところでした。せっかくなので小舟での運河巡りをしてみました。所要時間は30分ほどです。川から見る町の景色のほか、澄んだ水を泳ぐ無数の魚を眺めたり(残念ながら食べても美味しくないとか)、途中で頭を橋にぶつけないように大きくかがむところがあったり、短いながら楽しいひと時を過ごしました。

 料金は大人8ユーロ。チケットはオンラインで予約をできますが、時間を読めない場合は適当な時間に現地に行けば、直接購入できます(支払いは現金のみ)。

 私がコルマールにいた12月6日はサン・ニコラの日。なじみのない名前かもしれませんが、サンタクロースのモデルとなったとも言われる聖人で、アルザス地方ではサン・ニコラの日をお祝いします。そのためこの日はサン・ニコラの扮装をした船頭さんも登場。

夜まで忙しそうだったサン・ニコラ

 屋内常設マルシェにも行き、映画「ハウルの動く城」のモデルとなったとされる建物を見たりしてから、ストラスブールに戻りました。

屋内常設マルシェ
映画「ハウルの動く城」のモデルとなったとされる建物
ステンドグラスが美しいサン・マルタン教会

 翌日はストラスブール大聖堂(ノートルダム大聖堂)内にある、天文からくり時計の見学から始めました。ストラスブールに行くことがあれば、この時計をじっくり見たいと思っていました。チケットは9時半から11時まで好きなときに行って買えるものと、11時半から列に並んで買う2種類があるのですが、私は9時半に張り切って行ってチケットを購入し、再度集合時間の11時半に大聖堂に行きました。というのも事前にチケットを買っておいた方が早く教会内に入れるために、時計を見るのによい場所を取りやすいと聞いていたからです。

ノートルダム大聖堂
時計の解説付き見学チケットは大人4ユーロ
時計前の場所を確保したところで振り返るとこの人!

 見学は12時からビデオを使った解説で始まります。30分ほどのこのビデオは仏・独語ですが、英語の字幕が付いています。天文からくり時計が動くのは12時半から3分ほどなので、人によってはがっかりするかもしれません。でも私にはとても興味深い内容のビデオでした。

とても興味深かった時計の紹介ビデオ。日曜日と祝日はビデオの上映がありません

 ビデオが終わるといよいよ12時半です。まずは2人の天使たちが鐘を鳴らすことから始まります。骸骨の前を老人が通り過ぎると、骸骨が鐘を鳴らします。その上にはキリストがおり、使徒たちが前を通るときに祝福を与えます。合間には雄鶏が鳴き、羽根を動かします。解説付き見学の時間帯以外は大聖堂内に無料で入れて、15分に一度、鐘が短く1回だけ鳴り、骸骨の前を人が通ります。

天文からくり時計

 すべてが終わると一気に人が減ったので、時計近くにさらに寄ってじっくり見ました。時計は時間のほか、年月日、ほかの惑星の位置、月の満ち欠けなども示しています。何度かの修復を重ねた上、1842年に完成した時計は、1年に数秒の誤差しか出ないというから驚きます。

大聖堂もクリスマス仕様

 美しく精巧な時計を見て大満足したあとは、アルザスの郷土料理であるシュークルートを食べに行きました。1964年創業のレストラン「Le Pigeon」は雰囲気がすてき。家族経営で少ない従業員で回しているせいか、若干愛想がわるいと感じる人がいるかもしれません。でも予約なしで行っても、満席だったのに場所を作ってくれましたし、常連さんも多そうでしたし、料理は素朴ながらきちんと作られていて、私はとてもよいお店だと思いました

「Le Pigeon」(23 Rue des Tonneliers, 67000 Strasbourg)

 お腹が満たされたところで、市内のマルシェを見て歩きます。華やかなのはクレベール広場と大聖堂前のものですが、日が落ちてから行ったプティット・フランスというエリアのマルシェは、少し暗くて地味めなのですが、あちこちで焚き火が炊かれ、ライブ演奏もあってとてもよかったです。

大聖堂前のマルシェ
クレベール広場のマルシェ
プティット・フランスというエリアのマルシェ
日が暮れると町はまた違う美しさに
数年前のこの時期に銃撃事件が起こったためだと思いますが、旧市街に入るためには荷物チェックが

 こうして1泊2日の旅はもうおしまいです。氷点下ではなかったものの曇天かつ一桁台の寒さで、人混みのなかを歩き回って疲れましたが、雨や雪に降られることはなく、初アルザスのマルシェ・ド・ノエルを十分に楽しみました!

 我が家のクリスマスもこれから本番です。世の中のニュースには心を痛めることが多いのですが、今年も家族が元気に集まれそうなことに感謝をしつつ、新しい年を平和な気持ちで迎えたいと思います。皆さまもどうぞ穏やかな年末・年始を迎えられますように。

マルシェでたくさん買った、お土産用のオーナメントの一部
荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/