旅レポ
ニューヨークで訪日観光の魅力を伝える「Japan Week 2016」を見てきた
デルタ航空、JR東日本などが参加して日本観光をアピール
(2016/3/31 00:00)
国際観光振興機構(JNTO:Japan National Tourism Organization、通称:日本政府観光局)は、訪日観光の魅力をアピールするイベント「Japan Week 2016」を、米国ニューヨーク州ニューヨーク市のグランド・セントラル駅(東京駅に相当するようなニューヨークの中心駅)で3月10日~3月12日の3日間にわたり開催した。今回で5回目となるJapan Weekは、3月26日に開業した北海道新幹線にちなみ「北海道」と、東日本大震災から5年目となる「東北」を中心にアピールするイベントとなった。
このイベントには米国の航空会社のなかで最大規模の日米路線を運航しているデルタ航空、さらには北海道新幹線につながる東北新幹線を運営するJR東日本(東日本旅客鉄道)、さらに「NHK WORLD」で英語放送を行なっているNHKなどが協賛しており、それぞれのブースで自らの魅力をアピールしていた。また、日本ならではの食材を提供する食品メーカーや流通事業者、地方自治体、旅行関連企業など約40団体が出展して、ニューヨーカーに日本の素晴らしさをアピールした。
東日本大震災から5年、復興する東北と新幹線開業で盛り上がる北海道をアピール
会場があるグランド・セントラル駅は、ニューヨーク市の玄関として親しまれている中央駅で、ローカル線やニューヨーク市民の足となる地下鉄(Metro)も通り、多くの乗客が利用している。そのグランド・セントラル駅のイベントホール(Vanderbilt Hall)が開催場所となっており、出展する各団体のブースが並んでいる。駅の中央コンコースから外に出る通路に面していることもあり、多くの乗客が足を止めて説明員の話に耳を傾けていた。
初日となった3月10日は、在ニューヨーク日本国総領事館 在ニューヨーク総領事・大使である髙橋礼一郎氏、主催する日本政府観光局からニューヨーク事務所 所長である岩田賢氏が参列して開幕セレモニーが開かれ、テープカットなどが行なわれた。
髙橋氏は「昨年の日本への観光客は約1970万人と47%の大幅増となっている。もっともっと日本に来ていただくお客さまを増やすために、東京や京都といったメジャーな観光地だけでなく、ほかのエリアも楽しんでいただきたいと思っている。例えば、北海道の雪山やスキーなど日本にはさまざまな顔があり、ちょうど今年の3月26日に新しく北海道新幹線が開業する。また、明日3月11日は、東日本大震災より5年目となる。震災のときには、ニューヨーク市民の方々からも力強い支援をいただいた。東北の被災地は復興しつつあり、ぜひ今度は東北を訪れることでその復興にご協力いただければと思っている」と述べ、今回のイベントにより米国民が日本に観光で行くきっかけになり、かつ東北の復興にも役立ってほしいという期待感を示した。
岩田氏は「このJapan Weekは日本観光のショーケースだ。これにより、ニューヨーク市民の皆さまや米国の皆さまに日本のよさを理解してほしいと思っている。桜、そして日本の代表的な食文化ともいえる回転寿司などさまざまなアトラクションも用意しており、日本を体感していただきたい。また、今回は北海道新幹線が3月26日に開業することに合わせて北海道、そして力強く復興しようとしている東北を応援する意味を込めて東北にフォーカスを当てている」と述べ、日本観光の魅力を広くアピールするイベントにしていきたいと説明した。
新しく成田空港~関西国際空港線を開設することに合わせて3つの空港へのアクセスをアピール
米国アトランタに本社を構える航空会社デルタ航空は、Japan Weekの公式エアラインとして協賛しており、ニューヨークから日本行きの便をアピールしている。デルタ航空は、ニューヨーク近郊の2つの空港をハブ空港として活用している。1つはジョン・F・ケネディ国際空港(通称および3レターコードはJFK)で、欧州や中南米向けの国際線のハブとして、もう1つがJFKと並ぶニューヨークの空港であるラガーディア空港で、こちらは国内線のハブとして活用している。デルタ航空のハブといえば、本社のあるアトランタ、そして2008年に合併した旧ノースウエスト空港の本社があったミネアポリスやデトロイトなどが有名だが、JFKも国際線や主要国内線のハブ空港として路線の整備が進んでいるのだ。
現在日本からニューヨークへは、成田空港~JFKのDL172(復路便はDL473)を定期便として運航しているほか、セントレア(中部空港)にはデトロイト行きのDL630(復路便はDL629)を運航、デトロイトを経由して、ラガーディア空港やニューアーク・リバティー空港へ移動できる。さらに、デルタ航空は3月27日から、成田空港~関西国際空港便となるDL473(成田16時00分発~関空17時40分着)、復路便のDL172(関空13時10分発~成田14時45分着)を開設した(成田空港~JFKと同便名)。
この成田空港~関空便は国際線扱いで、デルタ航空で成田から米国などに向かうときのみ利用できる。現在デルタ航空は成田から米国の7都市(デトロイト、ニューヨーク、ミネアポリス、ポートランド、アトランタ、シアトル、ロサンゼルス)へ定期便を運航しているが、この成田空港~関空便(DL172/DL472)を利用すると、それらの便に関空からも成田で接続して利用できるようになる。なおDL172/473は国際線扱いのため、入国/出国および税関は関空で受け、成田では「国際線接続」の仕組みで乗り継ぐことになる。
現役CAと写真を撮れるイベントやデルタ・ワンのシートを体験できるコーナー
こうした状況があるため、今回デルタ航空は、成田空港行き、中部国際空港行き、関西国際空港行きの3つの目的地をアピールしており、展示などにもそれが反映されていた。説明員として会場に立ったのは、同社の現役CA(客室乗務員)。デルタ航空の関係者によれば、同社ではこうしたユニフォーム着用のイベントでは、コンパニオンなどを使うのではなく、現役CAが務めることが社内規定となっているそう。会社のアクティビティに協力したいCAがあらかじめ登録する仕組みが用意され、それを利用して声がかかるということだ。
デルタ航空のブースでは主に2つのアトラクションが用意され、1つは同社が「デルタ・ワン」というブランドで展開しているビジネスクラスのシートを試すコーナー、もう1つが日本らしい風景をバックに写真を撮影し、それをポストカードに印刷したり、メールで送ったりできるコーナーで、CAと一緒に撮影してもらえるため行列ができるほど人気を集めていた。
新幹線関連の展示や北海道、東北などの産品の即売会が行なわれ、行列は駅の外にまで
JR東日本のコーナーでは日本の新幹線の歴史が学べるコーナーが設けられていた、北海道のブースでは3月26日に開業した北海道新幹線や北海道の産物などがアピール。
また、NHKのブースでは海外向けに展開しているNHK WORLDのサービス関連の展示があり、海外向けニュースやドキュメンタリーの英語放送をタブレットやPCで楽しめることを紹介。Japan Weekの期間は3月11日も含まれていたこともあり、東日本大震災の津波の被害を記録したドキュメンタリー番組で登場した、宮城県の小学校の14時45分で止まった時計などが展示されていた。NHKの公式キャラ「どーもくん」も渡米、来場者とタブレットで写真を撮るサービスをしていた。
このほか、各流通事業者や地方自治体のブースなどでは、北海道や東北の名産、食品などが販売されて物産展的な雰囲気に。北海道産のジャガイモを利用したコロッケや牛乳を利用したチーズケーキ、有名ラーメン店「らーめん山頭火」のラーメンセットなどが並び盛況だった。
初日の3月10日は、13時からのスタートだったが、スタート前から行列ができており、夕方には入場制限をせざるを得なくなるほどに。その行列はグランド・セントラル駅をはみ出て外の歩道に続くほどになっていたのが印象的だった。