旅レポ
代行バスが走るJR美祢線からe-Palette「美祢ぐるっと号」で秋吉台の日帰りツアーへ。長門湯本温泉も満喫した山口DCの旅
2026年10月13日 06:00
JRグループとおいでませ山口観光キャンペーン推進協議会は、「山口デスティネーションキャンペーン」として、「万福の旅 おいでませ ふくの国、山口」を10月~12月にかけて開催している。
デスティネーションキャンペーンとは、JRグループ、地方自治体、地元観光関係者、旅行会社が一致協力し、開催期間中におトク旅行商品やポイントキャンペーン、限定企画などを提供するもの。
開催に先だち、JR西日本の主催で錦帯橋や秋吉台を周遊する見学会が行なわれた。前編の錦帯橋近辺と瑠璃光寺に続き、後編では秋吉台周辺を巡っていく。
美祢駅からe-Palette「美祢ぐるっと号」で日帰りツアーに
秋吉台方面に向かうため、山陽新幹線「こだま」号で広島駅から厚狭駅に向かう。厚狭駅からはJR美祢線で美祢駅を目指すのだが、この美祢線は2023年に発生した大雨の影響で、厚狭駅と長門市駅間でバスによる代行運転となっており、今後はBRT(バス高速輸送システム)による復旧に向け検討を進めている。
バスへの乗り換えは、いったん駅から出てきっぷを購入して乗り込むことになる。バスは線路の周辺道路を使い、各駅を巡っていく。現時点での時刻表や運賃などは、JR西日本のリリースに詳しく書かれている。
美祢駅に到着したら、ここからはトヨタの次世代モビリティ「e-Palette(イーパレット)」で秋吉台周辺を巡る。これは山口DCに合わせて、10月3日~12月27日の期間内の土日祝に29回、JR西日本と美祢市が「美祢ぐるっと号 次世代モビリティe-Paletteで快適周遊! 心洗われる美祢満喫日帰りツアー」として開催しているもの。
ツアーは日本旅行が担当し、船木鉄道がe-PaletteをJR西日本から借り受け運行する。乗車券のみで小学生以上3000円。
秋吉洞の入洞券付きで中学生以上4200円という設定もあるが、前編で紹介した「山口ふくの国周遊パス」には秋吉洞の入洞券が含まれているので、そちらを使う場合には乗車券のみを選ぼう。利用には特設サイトからの予約が必要になる。各日7名までで、1名でも予約が入っていれば運行される。
e-Paletteは、自動化レベル2相当の自動運転システムにも対応可能なバッテリーEVなのだが、「美祢ぐるっと号」は運転手がいる。BEVなのでとても静か。窓がとても広くとられていて、一般的なバスより車内は明るく景色を満喫できる。
ただし、車内に大型スーツケースを置くスペースはないので、宿泊ホテルのクロークサービスを利用するなどして、最小限の身のまわり荷物のみで乗り込む工夫はした方がいいだろう。薄暗い秋吉洞内での散策もあるので、歩きやすい服装で望んだ方がいい。
ツアーは、10時に美祢グランドホテルを出て、美祢駅では10時15分に発車する(ほか美祢市役所や道の駅おふくでも乗車可)。その後、別府弁天池(観光約15分)、秋吉台観光交流センター(観光約1時間45分)、秋吉台カルスト展望台(秋吉台ジオパークセンターカルスター)(観光約10分)、大嶺酒造(買物約20分)、道の駅おふく(買物約20分)を経て、美祢駅には15時20分に戻り、最終的に美祢グランドホテルに15時40分に着く、という行程になっている。
美祢駅では往復ともに代行バスに接続してくれる。全体の所要時間は5時間30分ほど。添乗員はなく運転手のみの運行で、車内のサイネージが次の目的地の観光案内や戻り時間などを伝えてくれる。別府弁天池や秋吉台では、細かい高低のある場所でもグイグイ巡ってくれる。これは小型でEVのe-Paletteならではだ。
まず立ち寄ったのは、「別府弁天池」と呼ばれるエメラルドグリーンの美しい水源だ。名水百選にもなっている上質な水が、毎分11トンもの水が湧き出ていて、地元の人々の水源にもなっている。水が貯まる小さな池は、深いエメラルドグリーン色に見える。この水を飲むと長寿と財宝が授かるそうだ。
狭い集落の細い道の奥にあるので、タクシー以外の公共交通ではなかなかアクセスしにくいと思われる。こういう名所を小ぶりなe-Paletteで周遊できるのはうれしい。
別府弁天池で15分ほど観光したら、指定時間にみねぐるに戻り、次は「秋吉台観光交流センター」に向かう。
センターから秋芳洞までの道は、観光客向けのおみやげ店や休憩所などが並び、雰囲気のよい小径になっている。昼食をとりながら散策しよう。ここから秋芳洞の洞内エレベーターで上に上がるまでに、各自で昼食をとるのに約1時間45分ほどの時間がとられている。
迫力の大鍾乳洞が広がる「秋芳洞」
そのまま店の並ぶ小径を進むと、秋芳洞の入口がある。秋芳洞は特別天然記念物で、秋吉台国定公園の地下100mにある大鍾乳洞だ。観光用の遊歩道のコースは約1km(総延長11.2km)あり、起伏もあり濡れているので、歩きやすい服装と靴で望んだ方がいい。
すべてではないが、車イス(無料貸出あり)でも観光できるようになっている。洞内途中に秋吉台に出るエレベーターがある。観光の時間は約1時間程度を見ておくといいだろう。
入洞料は高校生以上の大人で1600円なのだが、これは前編で説明した、tabiwa by WESTER限定で販売する「山口ふくの国周遊パス」(大人5000円)に含まれている。
一度は見ておきたい日本最大規模のカルスト台地「秋吉台」
秋芳洞の地上部には、日本最大規模の広大なカルスト台地秋吉台が広がっている。ところどころに石灰岩が露出しているが、かつてこのエリアは海で、サンゴ礁だったそうだ。サンゴが化石化し、プレート運動により隆起した石灰石。これが長い年月で溶け出し、地下に秋芳洞を作っている。
丘陵は何も手入れをしていないと森になってしまうので、定期的に木が生えないように手入れをして、このなだらかな丘陵地帯が作られている。もっと周囲の木を倒すと広げることもできるそうだ。取材時はまだ紅葉していなかったが、秋には黄色く色づく。
大嶺酒造と道の駅でおみやげ吟味に立ち寄り
ツアーでは、秋吉台近くで日本酒を作る「大嶺(おおみね)酒造」にも立ち寄ってくれる。良質な水源が多い山口県は、日本酒酒蔵の宝庫だ。
山口県では人気銘柄として「獺祭」が有名だが、この大嶺酒造は2010年に復活させ、「古典レシピを尊敬しつつ、現代の技術をもって先人のなし得なかった日本酒を創造する」というポリシーで作る新進気鋭の酒蔵。「SAKE COMPETITION 2023」で「大嶺2粒 火入れ 山田錦」が純米大吟醸部門にて第1位を受賞している。
現在一般酒店では入手困難なので、興味があればこちらで購入することをお勧めしたい。多くが生酒なので要冷蔵だが、持ち帰り時間程度なら常温で問題ないとのこと。
近くの道の駅「おふく」にも立ち寄ってくれる。ここでおみやげ購入の時間がとられている。ツアー行程内で利用は困難だが、立ち寄り温泉もあったりする。
「Rail Run!」でJR美祢線の線路を漕いで走ろう
代行バスが走るJR美祢線の長門湯本駅からは、「Rail Run!(レイルラン) レールサイクル運転体験」というアクティビティを、美祢線の往復約2.4km(片道約1.2km)板持駅間の線路を使って、山口DC期間中に開催している。
電動アシスト自転車を使って自分で線路上を走行する「レールサイクル運転体験」(自転車の運転2名と観覧シート乗車2名で各回3台)と、JR西日本社員が運転するエンジン付きの軌道カートに乗車する「軌道カート乗車体験」(観覧シート乗車3名で各回4台)という2つの体験を用意している。予約はtabiwa by WESTERから行なう。
1台あたりの料金は、走行体験だけのシンプルプラン3600円と線路ガイドツアー付きプランが5600円と2種あり、どちらも1台3名まで。開催は9時30分、10時30分、11時30分、13時30分、14時30分、15時30分の6回行なわれ、予約時に時間を指定する。レールサイクル運転と軌道カート乗車の実施日が異なっているので、確認して予約してほしい。
長門湯本駅へのアクセスでの注意点として、JR美祢線代行バスの各駅停車では長門湯本駅に停車し、快速では後に紹介する長門湯本温泉駅に停車する。すぐ近くなのだが、異なる場所なので混同しないように注意が必要だ。
今回体験したのは、「レールサイクル運転体験」の方だ。ホームの低くなっている場所から乗りこんで2人で漕いで進む。電動アシスト自転車なので勾配も問題なく、意外とスピードが出る。スピードを乗せ過ぎて前の車両と間隔を詰め過ぎないように注意したいところ。
漕いでいくと、レールのガタンゴトンという音がして、いかにも鉄道という感触がある。美祢線沿線を流れる厚狭川や田園風景、道路とも併走するなど、景色も多彩で楽しめる。止まって降りたりするのは厳禁。途中で踏切があるので一時停止する。
川沿いに広がる600年前から続く長門湯本温泉
長門湯本駅のほど近くに長門湯本温泉がある。先にも紹介したが、代行バスで快速を選ぶと長門湯本温泉駅に停車する。
ここは長門湯本温泉駐車場となっていて、長門湯本温泉 恩湯(おんとう)という、温泉街のほぼ中央にある立ち寄り湯の近くになる。長門湯本駅からも各温泉旅館の送迎は行なわれているので、バスの時間など都合に合わせて下車駅を選ぶといいだろう。長門湯本駅と長門湯本温泉駅は、徒歩で10分ほど(約700m)離れている。
音信(おとづれ)川と支流の大寧寺川(たいねいじがわ)周辺に温泉街が広がっていて、風情のある橋や竹林のライトアップもあり、いかにも温泉街に来たという旅情を楽しめる。温泉は無色のアルカリ性単純泉でトロっとしていて、わずかに硫黄の匂いがしている。温度はぬるめで、ゆっくりつかることができるだろう。
長門湯本温泉では玉仙閣という温泉宿に宿泊したので紹介しよう。楊貴妃浪漫の宿と銘打っていて、楊貴妃ゆかりの装飾がされている。2024年までにリニューアルされていて、モダンな洋室と風情ある和室を好みで選ぶことができる。恩湯から少し西側で大寧寺川が近い。楊貴妃伝説は、山口県長門市油谷にある二尊院に伝わるものだそうだ。
温泉は貴妃湯と太子湯の2種の大浴場があり、朝と夜で男女で入れ替え制となっている。どちらにも露天風呂がある。楊貴妃が座ったとされる玉座を再現した浴槽は、貴妃湯の方にある。ぜひ先に紹介した立ち寄り湯の恩湯を含め、各温泉を巡ってみてほしい。
夕食は和の会席コース料理。仙崎港や下関からの新鮮な食材を季節に合わせたメニューで提供する。楊貴妃が好んだというナッツをあしらった粥や食前酒がメニューに含まれていた。ランチも営業している。
山口というと、いきなり下関に向かってしまいがちだが、紹介したように岩国~山口~秋吉台~長門湯本温泉周辺も見どころは多い。特に今回、土日祝に開催しているe-Paletteを使ったみねぐるのツアーは、秋吉台周辺をちょうどいい時間配分で巡ってくれるので、ぜひ活用してみてほしい。





























































































































































