旅レポ
ヨーロッパの歴史が刻まれたチェコ・オロモウツの街歩き。教会とお城、世界遺産の聖三位一体柱
2024年4月19日 12:00
チェコを訪れる日本人観光客は、首都のプラハだけに滞在するという人が多いようです。確かにプラハは旧市街やカレル橋、プラハ城など見どころが盛り沢山。だけどチェコ国内にはまだまだ知られていない魅力的な街があるんですよ~!という旅レポの第3弾。今回はチェコ第5の都市「オロモウツ」とその周辺の観光名所をご紹介します!
思わず西洋史を勉強したくなる街オロモウツ
チェコ東部のモラヴィア地方に位置する人口10万人ほどのオロモウツ。文化財保有数は首都プラハに次いで2番目に多い街なのだそう。「とにかく教会だらけ」と現地ガイドさんが言うように、街のあちこちで尖った塔を目にしました。今回はそんな文化財の街オロモウツを、徒歩とトラムで巡っています。
この日は朝から冷たい雨が降るあいにくのお天気でした。荘厳な建築群の雰囲気と相まって、私のなかでのオロモウツは“重々しくて物哀しいヨーロッパの街”といったイメージに。とはいえ、それはネガティブな印象ではありません。
中世ヨーロッパの成り立ちに疎い私でも「なんだかよく分からないけどすごい!」と楽しめて、帰国後にはマンガ世界の歴史でも買って勉強してみようかなと思ったくらいなので、ヨーロッパの歴史や宗教、建築物などに興味がある人には絶賛オススメの街。そんなオロモウツへは、プラハから電車で2時間~2時間半で行くことができます。
バロック様式が美しい「雪の聖母マリア教会」には、チェコ国内で最も古いパイプオルガンがあります。今回は特別にそのパイプオルガンの音色を聴くことができました。弾いてくださったのはパイプオルガン奏者のクィンツさん。静まり返った教会に響く厳かな調べに寒さを忘れて聴き入ってしまいました。
1906年に建てられた「ヴィラ・プリマヴェージ」は、モラヴィア出身の実業家オットー・プリマヴェージさん夫妻の邸宅だった建物で、現在その一部をギャラリーとして公開しています。
芸術家たちのパトロンで、ウィーン工房の出資者でもあったプリマヴェージさんですが、1918年のオーストリア=ハンガリー帝国の崩壊によって破産してしまったのだそう。建築家のヨーゼフ・ホフマンや画家のグスタフ・クリムトらが装飾を手掛けたというヴィラは、当時の芸術スタイルを取り入れた豊かな財力と人脈を物語っているようでした。
オロモウツ観光で外せないのが街の中心の広場にそびえ立つバロック様式の建築物「聖三位一体柱」。18世紀にモラヴィアを襲ったペストが終息したことを記念して建てられた記念碑です。
この“ペスト終息記念柱”なるもの、オーストリアのウィーンやハンガリーのブダペストなどにもあるそうで、17~18世紀にかけてヨーロッパ諸国で見られたカトリック信仰の表われ。なかでもこのオロモウツの聖三位一体柱は最高傑作の1つといわれていて、2000年にユネスコの世界遺産に登録されています。
「テレジアンホテル&スパ」で女帝マリア・テレジアを想う
オロモウツで2泊したのは、2017年オープンの「テレジアンホテル&スパ」。見て分かるとおり建物自体の歴史は古く、オロモウツの建築家によって1901年に建てられたものだそう。世界遺産の聖三位一体柱がある広場まで徒歩5分で行ける距離ながら周囲は静かな環境で、オロモウツ観光の拠点にお勧めです。
大きな建物のわりに総客室数が33室しかないからか、客室はかなり広々でした。薄型テレビにネスプレッソマシン、金庫にミニ冷蔵庫、デスクを完備し、Wi-Fiは無料。今回は時間がなくて利用できませんでしたが、フィンランド式サウナや温水ジェットバスのあるリラクゼーションゾーンも充実しています。
ちなみにホテル名はすぐ近くに建つテレジア門に由来。そのテレジア門は、聖三位一体柱の完成セレモニーに出席するためにオロモウツを訪れたこともある皇后マリア・テレジアにちなんで名付けられています。
チェコで2番目に古い大学「パラツキー大学」があり、中央ヨーロッパのなかでは学生の人口密度が最も大きい街だというオロモウツ。落ち着いた雰囲気が魅力のこの街を、次回は外でビールが飲める季節に再訪したいな~と思っています。それにはもう少し西洋史を頭に入れなくては!
モラヴィアを代表する中世の古城、ボウゾフ城
オロモウツから北西にクルマで40分ほどのところにあるボウゾフ城を訪ねました。この日も朝から小雨まじりのお天気(泣)。おかげで、高台に建つお城はなにか出てきそうな雰囲気でした。
13世紀から14世紀に変わるころに建てられたと伝わるボウゾフ城。17世紀末にはドイツ騎士団の城となり、長らく騎士団の総長が住んでいました。ほかの中世の城と違って廃墟になった時代がないのはこのため。1945年以降は国の所有物となり、1999年に国家文化記念物に指定されています。
内部は見学ツアー(要予約)が開催されていて、ドイツ騎士団時代の「食堂の間」やネオゴシック様式の教会などは必見です。天井から吊るされた照明や壁の装飾が素晴らし過ぎて、このまま時代映画で使えそう~!なんて思っていたら、どうやら近年はロケ地として使用されているようです。ちなみに7万円くらいで結婚式もできるそうですよ。
ガイドツアーの料金は280CZKなので日本円で1800円ほど。残念ながら日本語でのツアーはありませんが、目で見て楽しめる場所なので問題ないかと。丘の上に建つ古城というだけでワクワクしちゃいますね。
チェコの昔のおうちを展示するヴィソチナ野外博物館
最後は、フリンスコ市のベトレーム史跡保護区にあるヴィソチナ野外博物館をご紹介します。チェコにはモラヴィア地方に2か所、ボヘミア地方に2か所、合計4か所の国立野外博物館があって、ここはその1つ。周辺の村にあった歴史的価値のある建物を移築し、保護・保存しています。
どれもおとぎ話に出てくるような木造の小さな家で、一番古いもので約260年前に建てられた家も。ヨーロッパの歴史民俗に興味のある人は楽しめる観光施設です。のんびり散歩に来ている地元の人やネコもいたりして気持ちのいい場所でした。
次回はいよいよ旅レポ最終回。ベドジフ・スメタナ生誕の地リトミシュルや素敵な古城ホテル、プラハでのショッピングなどをお伝えします。