旅レポ
フランス・夏のシャンパーニュ地方へ
2019年1月23日 00:00
シャンパンの魅力にとりつかれて早1年、2018年の夏休みは念願のシャンパーニュ地方に行ってきました。
パリから北東に約150km、シャンパーニュ地方の中心Reims(ランス)という町が起点となります。ちょうど同じ時期に知人が世界遺産であるトー宮殿で「夏のシャンパーニュ祭り」というイベントを開催することもあって、どうせ行くならシャンパンの旅にしよう!と思い、シャンパーニュメゾンを巡ってきました。
私がシャンパンを好きになったのは、1990年代のヴィンテージシャンパーニュとの出会いがきっかけです。20年以上も経っているのに、グラスに注がれたときに勢いよく泡が噴出していたのに驚きました。
初めて見た黄金色のシャンパーニュは、なんとも言えない芳醇な香りを放ち、宝石のようにキラキラと輝いていて……。長期間にわたり熟成され、濃縮した豊かな味わいに「世の中にはこんなに美味しい飲み物があるんだ!」と衝撃を受けたのを今でも鮮明に覚えています。
それからいろいろなシャンパンを飲むようになると、どんどん好きになり、ついにはワイン学校に通い、いてもたってもいられずシャンパーニュの聖地まで来てしまいました。
最初に行ったのは、シャンパーニュの王様! DOM PERIGNON(ドン・ペリニヨン)、MOET&CHANDON(モエ・エ・シャンドン)。こちらのドン・ペリニヨン修道士が17世紀に初めてシャンパーニュを作ったそうです。
その後、メゾン近くにあるオーヴィレ村の修道院を訪れました。ドン・ペリニヨン修道士が生涯を過ごした修道院で、こちらに眠っています。
光が差し込む美しい礼拝堂に墓石が安置されていて、「こんなに美味しい飲み物を作ってくださり、ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えました。
そしてランチは地元の方でにぎわうお店でシャンパン飲み比べセットをチョイス。
ロゼの妖艶な色合いと、シャンパンカラーのグラデーションが美しい……。手を出すのがもったいなくて、ずっと眺めていたい感覚になりましたが、もちろん美味しくいただきました(笑)。
次に訪れたのはPOMMERY(ポメリー)です。19世紀、世界で初めて辛口のシャンパーニュを作ったのがマダム・ポメリー。
最後は私がもっとも好きなCHARLES HEIDSIECK(シャルル・エドシック)。シャンパーニュを好きになったきっかけのメゾンです。
こちらは一般のメゾン見学はしていないようだったのですが、どうしても行きたかったので日本出発前にシャルル・エドシック社に熱い思いをメールしました。何度かメールをやり取りして、特別に見学させていただけることに!
シャルル・エドシックは、1851年に設立されたメゾンで、創設者シャルル(英語読みでチャーリー)・カミーユ・エドシックは初めてアメリカにシャンパンを輸出したことでも有名です。
ニューヨークの街でシャンパンを売り歩いた彼は、いつしか“Champagne Charles(シャンパン・チャーリー)”と呼ばれるようになったそうです。
今回のメゾン見学についてメールをしていたスタッフの方に、シャンパンが貯蔵されているクレイエール(採石場跡)を案内していただきました。
美しい庭園の地下には、いくつものクレイエールがあり、この中でシャンパンが大切に熟成されています。クレイエールというのは、2000年前のローマ時代の採石場跡で、シャンパン・チャーリーがその深さ20mの地下の湿度や温度がシャンパンの熟成にピッタリだと見抜き、熟成貯蔵庫として利用することにしたそうです。
クレイエールを巡ったあと、スタッフの方からシャンパンの製造方法を丁寧に教えてもらいました。あのシャンパンの泡は、すべて発酵によってできたもので、炭酸ガスを注入することはありません。そして、法定では瓶詰め後15か月以上の熟成が決められていますが、シャルル・エドシックではスタンダードボトルでもそれを超える3~4年以上熟成されます。
そして最後はお楽しみのテイスティング。さまざまな貴重なボトルを惜しげもなく開けてくれて、本当に感激しました!
こんなふうにシャルル・エドシックを飲み比べさせていただけるなんて贅沢の極み! やっぱり最高に美味しくて、素晴らしい経験でした!
緑があふれ、透きとおった静けさのなかで鳥のさえずりだけ聞こえる。気品が高く、シンプルで、とても優雅。
美しい庭園の地下には、ローマ時代から続くクレイエールがあり、1本ずつ大切に瓶詰めされたシャンパーニュが、じっと開けられるときを待ち、熟成されている。
素晴らしい出会いと、特別な時間にはこれからもずっとシャンパーニュを飲みたいと思います。