旅レポ
ハワイアン航空の新ビジネスクラスで「ハワイ・フード&ワイン・フェスティバル」を堪能する旅へ(その2)
「ハワイ・フード&ワイン・フェスティバル」で美食の数々とお気に入りワインを見つけよう
2017年11月25日 00:00
- 2017年11月3日開催
2017年10月20日から11月5日まで約3週間にわたり開催された「ハワイ・フード&ワイン・フェスティバル」。2011年から20名のシェフ、10のワインメーカー、そして2名のミクロジストで3日間からスタートして7年。現在ではハワイ島、オアフ島、マウイ島の3つの島で15のイベントとともに120名以上のシェフ、40のワインメーカー、20名のミクロジストが参加する、世界でも注目のフェスティバルとなっている。
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ハワイを代表するシェフであり、ジェームズ・ビアード賞受賞のロイ・ヤマグチ氏とアラン・ウォン氏が立ち上げた同イベントは、食とワインの祭典であると同時に若手の育成や教育に文化、農業に関わるサスティナブルな団体の支援に利用され、ハワイの未来に対しても多大な貢献をしている。
今回訪れたのは、そのなかでも注目を集めるハワイアン航空がメインで協賛する2017年11月3日に開催された「アンコークド」。“ワインの栓を開ける”という意味の同イベントには21名の有名シェフと20のワインメーカーが参加。地元産の野菜、フレッシュな魚介などをふんだんに使った“地産地消”なグルメと一度は飲んでみたい憧れのワインなどが一堂に会し、まさにお祭り。開放的な「ハワイ・コンベンション・センター」のルーフトップガーデンにてハワイの生活や食文化などを舌で感じられる極上の時間となっているのだ。
チケットは18時からの通常の入場が可能な「General Admission」(225ドル、約2万6100円、1ドル=116円換算)。17時からの入場が可能な「Priority Access」(325ドル、約3万7700円)。17時からの入場とVIPシートが用意された「VIP Access」(500ドル、約5万8000円)、さらに17時からの入場とテーブル&シートが確保された大人数用の「VIP Reserved Table for 10」(5000ドル、約58万円)の4種類。
1人で自由気ままに食事と試飲をじっくり楽しむのもよし、仲間や家族とワイワイしながらお気に入りを探すのもよし。さらに、テーブルを囲んでワインと料理で語り合うのもよしとさまざまな楽しみ方をチケット券種の時点で提案している。参加資格は21歳以上であること。写真付きIDは必ず持参を。そしてドレスコードはリゾートカジュアル。各種注意事項などは専用Webサイトに掲載している。
「アラモアナセンター」から徒歩5分のエリアに立地する「ハワイ・コンベンション・センター」。中に入るとエスカレータが目の前に。手前には案内板があり、指示に沿って4階のルーフトップガーデンへ向かうと途中大きなバナーがデコレーションされ、これから始まるイベントへの期待をより高めてくれる。
会場に到着したのは17時ちょっと前。優先入場のチェックインが始まる直前であったが、会場は比較的ゆったり。ガツガツしない余裕な雰囲気に大人の心得を学んだ。無事チェックインを済ませると、参加シェフやワインメーカーの説明が掲載された冊子の配布場所へ。そして会場へ入る直前にガラス製のロゴ入りワイングラスを1人1個手渡され、いよいよフェスティバルがスタートする。
まずは、会場に入り協賛のハワイアン航空のブースをチェック。現在成田/羽田へハワイから向かう便のビジネスクラスで提供するディナーメニューを手がける、ハワイのトップシェフの1人であり、ハワイアン航空のエグゼクティブ・シェフのChai Chaowasaree氏、ハワイ発アメリカ本土行きのファーストクラスの機内食を手がけたハワイのローカルに大人気の「MW Restaurant」のWade Ueoka氏、さらに仁川発ホノルル行きの全クラスのメニューで2016年にコラボレーションがスタートした「Bistro Chaugi」のオーナーシェフChang-Wook Chung氏とまさにハワイアン航空の空の最上級グルメに関わる3名のシェフの味を一度に味わえる夢のような空間となっていた。
Chai Chaowasaree氏に話を伺ったところ、「今回のこだわりは、ハワイ島産のキャビアをふんだんに使い、メインの卵も地元産の卵のよさを最大限に活かしつつ、さらに美味しく味わえるように工夫しました。日本風にいえばフォアグラ茶碗蒸しですね。“ハワイの美味しい”が卵の殻の中にたっぷり詰まっていますのでぜひ楽しんでください」とコメントしてくれた。
実際に「Kalei Egg Foie Gras Chawanmushi with Poha and Blackberry Compote」を味わってみたが、ふんわりしつつも濃厚な卵の味わいとフォアグラの風味は茶碗蒸しのようで上品なカスタードを味わっているよう。たっぷりと乗せられたキャビアの旨味もプラスされ、別次元の美味しさだった。そのままでも十分魅力的だが、添えてあるジュワッとバターが染み出す厚切りトーストに付けると語彙力を失うほどの幸せ度。思わずもう1皿手が伸びてしまった。
続いては、Wade Ueoka氏による「Seafood Dumpling with Dried Scallop and Lemongrass Broth」。地元産のシーフードをふんだんに使ったシーフード餃子をレモングラスの風味が効いたトムヤムクンを彷彿させるスープで頂く一杯。レンコンのさっくり感や、干しホタテの旨味をはじめさまざまな美味しさがひと口目から押し寄せてきた。
そして、スタッフらととびきりのスマイルを見せてくれた「Bistro Chaugi」のChang-Wook Chung氏の「Kauai shrimp and Maui Onion Curry」を実食。身が締まったカウアイ産のシュリンプの旨味と、マウイオニオンの甘さを引き出した極上カレーをナンにつけていただく。ご飯が欲しくなるほどの濃い味とその素材を感じられる旨さでカレーの新なる次元を知ることができた。
会場にはメインとなり得るメニューからアペタイザーまで幅広く用意。ただし、少量かと思いきやすべてがしっかりとしたボリュームとなっているので、食べ歩きにはバランスも大事。スペシャルメニュー約21種類、約20社のワインメーカーすべてを巡るよりも、どちらかといえばシェフとの会話や初めて味わうメニュー、ワインとの出会い。そして今グラスの中にあるワインに最高に合う食事探しを楽しむことが大切だとも感じた。
そんななかで出会ったのが、サンフランシスコの「Liholiho Yacht Club」のオーナーシェフであるRavi Kapur氏が手がけた「Local Billfish Poke」。ハワイの定番メニューのポケを地元産の脂ののったカジキを贅沢に使い、ラグジュアリーに仕上げた1皿。ハワイ島のヤシの芽もアクセントに加わえ、ニンニクやネギの風味も感じつつさっぱり味わえる。付属のチップスに乗せるとスナック感覚で食感とともに楽しめる。
こちらはワインにもちろん合うが、個人的にはカクテルと合わせたかったためニューヨークの「Nitecap」などを経営するNatasha David氏による「APPELLATION COOLER」を合わせてみた。
さらに、笑顔でアートなパスタを使ったメニューを手渡してくれたのがロサンゼルスの「Maccheroni Republic」のAntonio Tommasi氏。「Sapidi Tortelloni Conci」は、カラフルなトルテリーニに甘めのソースがたっぷりと、至福の味わいに仕上げている。見た目以上のボリュームで大満足。
焼き&フライものを味わいたい! と思ったときに出会ったのが、ロサンゼルスにて「Ford's Fiiling Station」のオーナーシェフを務めるBen Ford氏のメニュー。「Local Kabocha Squash Tostada with Black Beans, Fried Avocado, Maui Surfing Goat Cheese, and Spiced Pepitas」は、地元産のカボチャをトーストし、その甘みを活かした1品。さらにアボガドのフライからはサクッ&ジュワーと旨味が口の流れ出て思わず笑顔に。野菜のフライの美味しさを再確認したひとときであった。
なお、一緒に味わったカクテルはアメリカのカクテルの歴史と伝承において絶対に欠かせない、バープロフェッショナルとして名高いTony Abou-Ganim氏による「YUMBANG」。ブラッドオレンジのフルーティさと香りが押し寄せる一杯で、出会ってよかったと思わせてくれる味わい。カクテルを手渡されるときに、最高の笑顔とうれしくなる一言をプレゼントしてくれるのも粋。通いたくなる美味しさとサービスとはまさにこのこと。
さらにそのままワインメーカーのブースへ。シェフのブース前には紹介用のボードがあったが、ワインメーカーブースは近づくとどのメーカーかが分かるシステム。まるで宝探しのような雰囲気だ。先入観なく近づき、そして試飲ができるため本当に自分が出会いたい一杯との遭遇が叶うような印象。
今回は「OPUS ONE WINERY」の「OPUS ONE 2014」を試飲。さすが人気のワイナリー。スッとした飲み口とふわりと上がってくる香りにコク。そして飲んだあとの余韻は、次の一口への憧れを増幅させる。
そして、お隣のKent Torrey氏の「THE CHEESE SHOP」をワイン片手に訪問。世界各国のチーズが大集合したブースは、チーズ好きにとって夢のような場所。手持ちのワインに合うチーズをスタッフに相談することができ、説明を聞きながらテイスティングを繰り返し、話に花が咲く風景は同イベントならでは。常に人だかり&笑顔があふれていた。
さらに実力派ワイナリー「GARY FARRELLl VINEYARDS & WINERY」の「GARY FARRELL OLIVET LANE CHARDONNAY RUSSIAN RIVER VALLEY SONOMA 2014」もテイスティング。こちらはフルーティ感が舞い上がる飲み口。レモンのような爽やかさも感じられスイスイと飲めてしまう一杯だった。
カリフォルニアワインとともに味わったのはロサンゼルスにて「Sprout Restaurant Group」を運営するRory Herrmann氏の「Crispy Smoked Pig's Head」。そしてさらに、先ほどの「YUMBANG」ももう一杯。「Crispy Smoked Pig's Head」はサックサクの衣の中に、肉の味わいを閉じ込めたボリューミィなメニュー。衣に包まれ旨味を閉じ込めた肉の味わいがしっかりと前面に、添えられたたっぷり野菜も美味しさを引き立てていた。
日本食が恋しくなっても会場では安心。「Nobu Honolulu」をはじめワールドワイドにレストランを展開する松久信幸氏は「Nobu-Style Cup Sushi」を提案。小ぶりのカップにはふんわり炊かれたツヤツヤの白米に、ハマチやホタテ、いくら、そしてオナガなどが美しく盛られており、見た目も華やか。お米を敷いたディスプレーも人気。大きめにカットされた魚の美味しさが際立つ一杯で、すべてのお椀を味わおうと手を伸ばすゲストでブース前は常に混雑するほど。
なお、会場は18時を過ぎると多くの参加者が訪れ、一層賑やかな雰囲気に。笑顔があふれ、食事と会話を楽しむ姿がさまざまな場所で見ることができた。日が暮れると会場はハワイアン航空のバルーンでライトアップ。雰囲気たっぷりのなか、贅沢な時間が流れていた。
同イベントには、ハワイと世界の食文化が融合し独自に進化したハワイ・リージョナル・キュイジーヌが味わえるとあって、ほかにもさまざまなメニューが登場。メキシコを彷彿させるタコスをアレンジしたシカゴの「Girl and the Goat」のStephanie Izard氏による「Braised Goat Tacos」。そして、ハワイ・コンベンション・センターをはじめ、ハワイの島々の多くのホテルメニューを監修するKevin Nakata氏による「Taro, Okinawan Sweet Potato, and Coconut Pie with Candied Furikake」。
さらに、ロサンゼルスのレストラン「Wolf」からはMarcel Vigneron氏が「Maui Vigneron with Heart of Palm and Taro Chips」。そして、ホノルルのローカルだけでなく観光客に大人気のスーパー「Foodland」からはKeoni Chang氏が「Kona Lobster with Hamakua Ali'i Mushrooms, Aloun Farms Corn Ragout, and Loster Jus」を提供するなど地元愛もあふれていた。
ラストはデザートということで、ロサンゼルスの「Tuck Hospitality Group」のSherry Yard氏の「Umeshu Sandae with Calamansi-Pineapple Marmalade, Long Pepper Crumble, and Crisp Meringue」をチョイス。優しく口の中で溶けるサンデーとメレンゲのパリパリ感。そして果実感とスパイシーさとさまざまな要素が混ざり合いながらも、ホッとできるスイートさ。
ラストは見た目はご飯、実はデザートな1品でフィニッシュ。北京の人気レストラン「JuQi」のオーナーシェフ Xing Liang Liu氏は個性的なビジュアルの「Honeycomb coal Fried Rice」を用意。蜂の巣のようにデコレーションされた焼きライスを一口食べると、香ばしさとともに、お米自体につけられたジューシーな果実感が楽しめる1品。添えられたパイナップルとスイカとともに味わうのも二重丸。タイの「カオニャオ・マムアン」と同じ世界を感じる優しい甘さだった。
17時から21時の4時間わたり開催された「ハワイ・フード&ワイン・フェスティバル」の「アンコークド」。お気に入りのワイナリーを見つけ、購入方法を聞いたり、こだわりについてオーナーと話し込んだりする参加者。チーズとワインで最高のマリアージュを発見し笑顔でグラスを傾ける人々。さらには、普段はなかなか会えないシェフと記念撮影や料理の感想を直接伝えられる場として熱気があふれていた。そして、シェフ同士や厨房を任せられた若手料理人の交流の場としても機能していると感じた。
美食家だけではなく、ワイン初心者や気になるレストランの味を手軽に味わいたいという人々に対しても間口が広く、非常にオープンな雰囲気で参加もしやすいと実感。
次回の開催は2018年を予定。イベント自体の開催日数が比較的長いため、次回のハワイ旅行はタイミングを合わせて、気になるイベントに参加してみてはいかがだろうか。