旅レポ
12月のハワイのビッグイベント「JALホノルルマラソン2016」(その4)
Team JALパック オリジナルの「コース下見」でホノルル通に!
2016年12月30日 09:00
今では世界各地で行なわれているマラソン大会。知っている土地ならともかく、知らない土地で初めて参加する大会ほど、不安なものはない。事前に情報を仕入れておいても、実際に走ると思いのほか起伏が激しかったり、坂が急だったりするからだ。そもそも知らない土地だと道のりが遠く感じて、コース脇の距離表示を見たときに、「まだこれだけしか走ってないの?」と愕然とすることも多い。
筆者も東京から仙台や山梨などの大会に遠征したときに、そのような経験をしたことがあるだけに、ジャルパックが行なうホノルルマラソンの「コース下見」は、画期的なイベントだと思った。しかもツアー参加者なら追加料金なしで参加できる。どんな内容か興味津々だったので、このイベントに参加させてもらった。
ジャルパックの「コース下見」は、12月7日から10日までの4日間、11時30分と14時の1日2回開催(現地時間)。所要時間は約2時間30分。ホノルルマラソンのナンバーカード引き換え場所となっている、ハワイ・コンベンションセンターの3階に待ち合わせ場所がある。早速、デラックスバス「ホクレア」で、マラソンコースの下見に出発だ。
案内役は元々観光ガイドをやっていて、自身もホノルルマラソン完走者のNAEKOさん。自称おしゃべりガイドとのことだったが、その言葉どおり、コース下見中、彼女が話をしなかったのは、ホノルルマラソンの解説ビデオを見ているときだけだった。その会話の中には、ホノルルの雑学がいっぱい! 下見を終わった後には、ちょっとしたホノルル通になっていた(笑)。
さて、肝心のホノルルマラソンのコースだが、バス乗車時に手渡されたコースマップを見ながら解説される。9カ所の星マークのチェックポイントに合わせて、コースを説明していこう。
1.スタート地点-アラモアナ/クイーン
スタート地点はアラ・モアナ通りとクイーン・ストリートの角。「アラモアナ公園には簡易トイレが設置されていますが、間に小さな川が流れているので、ちゃんと橋を渡るよう気をつけてくださいね」とNAEKOさん。このような注意をするのは、ホノルルの街灯が暗めだから。ホノルルには24時間オープンの店はなく、子供が明るい街灯の下にたむろする恐れがあるので、街灯もあえて暗くしているのだとか。
スタートしてアラ・モアナ通りを進むと左に豪華客船などが停泊するホノルル港が見えてきて、右にカーブする。完走時間が4~5時間台の人は、この辺りまで走れずに歩くことに。「港の周囲にはチャイナタウンがあって、この周辺がホノルルで一番古い繁華街になります。どこの街でも港から栄えるものですが、かつてはこのホノルル港がハワイの玄関口。外国から訪れる船を迎えるために1926年にアロハタワーが建てられ、レストランも多くできました。今ではこのエリアはビジネス街となっています」。
2.ダウンタウン
アラ・モアナ通りを右に曲がるとヌアヌ通りで、すぐまた曲がってサウス・キング通りに入る。この周辺はビジネス街で、クリスマスシーズンの今は飾り付けやライトアップがキレイな場所。「ハワイの法律では日照権の問題で、40階以上の建物が建てられません。カーテンの色は白かベージュ、2階から上にはネオンや貼り紙をしてはいけないという決まりもあります。ただ12月4日~1月4日のクリスマスからお正月にかけては、飾り付けをしてもいいことになっているので、街に華やかさがあります」。観光名所が並ぶエリアでもあり、左にハワイ王国7代目のカラカウア王の宮殿だったイオラニ・パレスが見えたと思ったら、右前にはカメハメハ大王像、その奥にはホノルル最高裁判所があり、ホノルル市役所と続く。
「ホノルル市役所の前にはハワイの子供たちに楽しんでもらおうと、サンタクロースやツリーなどの飾り付けがあります。ハワイのサンタと言うことで、ブーツを脱いで胸もはだけて、ハワイなので遊んで帰ろうという気持ちからか、ミセスまで連れてきているんですね。ハワイの子供たちは雪だるまに憧れを持っているみたい。普通は手はないものですが、それでは納得してもらえなくて、手を付けたという話しです」。
サウス・キング通りからそれてカピオラニ通りに入ると、一段と暗くなる。そしてビスコイ通りで右に曲がるが、スタートからここまでずっと右に曲がるので、ポジションは右側に取っておいた方がいいそうだ。ただあまり端を走るのはよくないとのこと。「ホノルルでは頻繁に雨が降るので、道の左右に傾斜を付けて、水はけをよくしているんです。だからすいているからと右端を走ると、道が斜めになっているために足を取られます。アドバイザーは信号機の下を走るといいと言っていました。トイレに行きたい場合はホテルやレストランに入れば貸してもらえます。ゼッケンを見ればランナーだと分かるので、右、左と案内してくれますよ」。
3.ワイキキ
ビスコイ通りを左に曲がるとアラ・モアナ通りのスタート地点に戻る。ここからワイキキ・ビーチまでカラカウア通りを走る。この周辺は一流ホテルやレストラン、土産物屋が立ち並ぶ場所。この辺りは埋め立て地で土地の値段が高いので、ほとんどが観光客向けの施設だと言う。「ワイキキは溢れる水という意味で、元々は沼地だったんですね。ここにアメリカ軍の保養地を作ることになり、山から流れてくる水を、川を作って海に流し、埋め立てたんです。兵隊に会いに来る家族のためのホテルができ、レストランができ、といった具合に賑やかになりました」。1961年のエルヴィス・プレスリーが出演した映画「ブルー・ハワイ」でホノルルが舞台となり、大ヒットしたことから、海外から多くの観光客が訪れるようになったそうだ。
4.ダイヤモンドヘッドロード/カハラ
右側に砂浜が見えてきたら、10kmの「レースデーウォーク」のゴールは間もなく。ホノルルマラソンのランナーはここからが第1の難所。ダイヤモンドヘッドの周囲を回る道は30mほどの勾配があり、そこを上っていく。「4~5時間台で完走する人なら、ここで朝日を見ることができます。それがとてもキレイで、走る意欲につながります。展望台まで来たらぜひ水平線を見て、地球の丸さを感じてください」。
上り切ったら次は下り。すでに3時間台のランナーが戻ってきているので、トップ選手の走りを見ながら進もう。ちなみにダイヤモンドヘッドはオアフ島最後の火山噴火でできた高さ232mの山。公園があり、登ると360度のパノラマが楽しめる。軍用基地の一部でもあり、中に巨大なレーダー装置があり、津波などの予測をしているとか。ダイヤモンドヘッドという名称は、昔、船乗りが山に登ったときに光る石を見つけ、ダイヤモンドだと間違えたことから。実際にはオリービンという水晶で、土産物屋で装飾品を販売しているが、偽物も多いので注意したいとのこと。
5.カラニアナオレ・ハイウェイ(行き)
ダイヤモンドヘッドを下ると、18番街になり、地元の人が多く応援に駆け付ける。そこからキラウエア通りを出て、カハラ地区の山側を通過。カハラ・モールを過ぎたところが、ちょうどコースの中間点。マクドナルドの看板が見え、右にソニーオープンなどが行なわれるワイアラエゴルフ場が広がる。「ゴルフ場の奥にはザカハラホテル&リゾートという五つ星ホテルがあります。オバマさんはハワイ出身なので友達の別荘に泊まるそうですが、ここは歴代のアメリカ大統領や日本の天皇陛下も宿泊した高級ホテル。手前がゴルフ場で見渡しやすいので、ガードしやすいそうです」。
カラニアナオレ・ハイウェイはフラットな道が延々と続き、かなり厳しさが出てくる場所。「反対車線を戻ってくる人が走っているので、エールを送りながら走ってください。自分もキツイですが、戻ってきた人ももちろんキツイ。頑張って、と言葉に出すと気持ちが変わるので、自分も乗り切れます」と経験談を話してくれる。
6.ハワイカイ・ドライブ
ハイウェイが終わってマウナルアベイ・ビーチパークまで来ると、高級住宅街のハワイ・カイを大きく弓を描くように通っているハワイ・カイ・ドライブを上り、ケアホレ通りを下りてくる。「ここではハワイの家を見ながら走ってください。ハワイの家は背が低く、窓が小さいです。その理由はハワイでは30分以上雨が降らないので、湿気が少ないです。だから家の軒下が小さく、家に入ると涼しいので窓も大きくする必要がないんです。冷房も必需品ではありません。地震がほとんどないので頑丈な柱も不要で、壁も薄い。だから家の中は思った以上に広いです。ガイドが家について話していたな~なんて思いながら走っている間に、再びビーチに出ます」。
7.カラニアナオレ・ハイウェイ(帰り)
ビーチ沿いの道に出ると、遠くにダイヤモンドヘッドが見える。「地元の人は、ここから見たダイヤモンドヘッドは、女性の寝姿に似ていると言います。ハワイ島では今なお火山噴火がありますが、オアフ島では火山の女神ペレがここでお休みしているので、火山噴火がないとも言われています」。ここからカラニアナオレ・ハイウェイの長い直線コースを戻る。同じコースなので、ここでホノルルマラソンのポイントをまとめたビデオを鑑賞した。
8.カハラ/ダイヤモンドヘッド
カハラ・モールまで戻ってくると、行きとは違ったコースになり、ケアラオル通りから有名なカハラアベニューに入る。「高級住宅街にもいろいろあって、先ほどのハワイ・カイは土地も家も自分のものですが、カハラ地区の土地は55年契約で借りているものです。ただここ2~3年、カハラ地区の土地が多く売りに出されています。ただ2/3は庭にする必要があり、2階建てにはできません。オフィス利用もダメで、住宅か別荘での利用になります。それでも買い求める人がいるんですね。いずれ超一流セレブの別荘ができるのでは?と、地元の人は期待しています」。
住宅街を抜けると、ダイヤモンドヘッドが間近に迫り、再び難所の坂道に。この坂道は視界がきかないので、どこまで続くか分からずキツイという声が多い。「坂を上りきったら、優越感を味わっていいです。反対側の道には、12時間台のランナーが歩いています! ただ3時間台の人がフィニッシュTシャツに着替えてここまで応援に来ているので、イヤになります(笑)。でもここで足を止めると動かなくなるし、座り込むと立てなくなるので、立ち止まらず、座り込まないようにしてください」。
9.ゴール地点-カピオラ公園
ダイヤモンドヘッドを下るとゴール地点はもうすぐ。歩いていて最後のラストスパートをかけたい人は、テニスコートからでは早過ぎる。ここからゴールまではまだ800mあるので、ゴールのテントを見てからでも充分。そしてゴール! 「完走しました。万歳!」とNAEKOさん。「ゴール地点にはJALパックのランナーズ・ステーションがあるので、Team JALパック専用シールを貼っておくことを忘れないでください」と締めくくった。
バスに乗っていた時間は約1時間40分。その間、ホノルルマラソンの攻略法はもちろん、ハワイやホノルルのいろいろな話しが聞けた。バスに乗りながらだが、観光スポットも見られたので、観光も兼ねられて大満足のイベントだった。NAEKOさん、お疲れ様でした!