旅レポ

ハワイアン航空のコナ直行便でハワイ島を満喫(その1)

カワイハエ湾でクジラとサンセットを楽しむクルーズ体験

今回のクルーズで搭乗したアララ号

 12月21日、ハワイアン航空が羽田~コナ線を就航し、ハワイ島へグッと行きやすくなった。初便に搭乗した模様は「ハワイ島へ一直線! ハワイアン航空の羽田~コナ線初便に搭乗してきた」をご覧いただくとして、ハワイ島の魅力はやはり自然が豊かな点。海と山、両方のアクティビティが楽しめるが、まずは海からということでコナ空港の北東にあるカワイハエ湾にて冬季限定のクジラとサンセットを見るクルーズを楽しんできた。

ドリンクを飲みながらクルージング

 今回参加したのはコハラコーストでセイリング、スキューバダイビングなど海に関するアクティビティを提供しているオーシャンスポーツのツアー。筆者が宿泊していたのはワイコロアのホテルだったが、ワイコロア、マウナラニ、ハプナからは無料で港まで送迎ということで、宿泊先までバスでピックアップしてもらった。

 バスに乗って、途中オーシャンスポーツ社の事務所でツアーパスを受け取り、50分ほどでカワイハエ湾にある港に到着。50分と書くと少し遠いように思うが、途中、参加者が多くてパス受け取りにちょっと時間がかかったため。移動時間自体は30分強といったところだ。

オーシャンスポーツ社のバスでカワイハエ湾の港まで向かう
パスには参加者の名前が記入されている

 港でいよいよ乗船だが、停泊しているのは2つの船体がつながった双胴船。見ると舳先の間に“網”が張ってあり、この時は「初めて見るタイプの船だなあ。何の網だろう」とぼんやり思っていたのだが、後ほどこの網でスリリングかつ楽しい体験をすることになるのはまだ筆者は知る由もなかった。

 さて、船に乗り込むと船内にカウンターがあり、さっそくドリンクの提供がなされている。一生に一度はカクテル片手のクルーズをしてみたいということで、筆者はトロピカルドリンクとしておなじみのマイタイをいただいた。もちろん、カウンターではソフトドリンクも注文できるので、アルコールが苦手な人や船酔いしやすい人でも大丈夫だ。

舳先の間に網が張られたアララ号
カウンターでは好きなドリンクが注文できる
南の海とくればやはりマイタイは頼んでみたい
船が出航。クジラのいるポイントまでしばし移動だ

船上のトランポリンは怖いけど……

 船内はテーブル席も用意され、そこから海を眺めることもできる。ただし、クジラを見たいならやはり甲板に出るべきだ。船が岸を離れたあと、船の前方に行くと例の網。どうやらトランポリンらしく、乗ってもいいらしい。早速、友達連れの若いお兄ちゃんやおじいちゃんが体を乗り出して網の上に座りだしていた。

 ここは、やはり筆者も写真撮影やネタのために乗るべきか! と思ったものの、ただ、船だから当然揺れ、トランポリンが波や船の振動などを受けてけっこう上下する。トランポリンの端に座り、足を網にかけているだけで揺れがけっこう足へダイレクトに伝わるのだ。そして網の下は海が透けて見える。よく船乗りの仕事を称して「板子一枚下は地獄」というけれど、こちらは板よりさらに薄い網! かなりスリルがあって、怖がりの筆者は上に乗るかどうか正直、躊躇してしまった。

 しかし、幸いかな。飲んでいたマイタイはなかなかラムが効いていて、量もあったので飲み終わるころには「ちょっとトランポリンの上に座るぐらいならいいか」というぐらい気が大きくなってしまい、さらに上に乗ったら乗ったで「ちょっと寝転んでみようか」と横になってしまった。酔っぱらいって怖い。

カワイハエ湾の海は絵の具を溶かしたような深い青
網だと思っていたのは舳先に張られたトランポリン。乗ることが可能
最初は恐る恐るトランポリンそばに腰かけていた筆者
けれど、気がついたらトランポリンの上で寝転んで揺れを楽しむまでに。どこまでも広がる空がきれいだ

いよいよクジラの登場にサンセットタイム

 トランポリンに乗ると下からも風が抜けていって涼しく爽快。寝転がると波と風をダイレクトに感じながら空を眺められる。やはり揺れはかなりあるものの、慣れると波と一体化したような感覚になるのが楽しいところだ。

 また、船のキャプテンがレゲエっぽい曲調の音楽を流していて、曲のリズムが船や波の揺れと相性がよく心地よい。

 しばしクジラのいるポイントまで、のどかなクルージングを楽しむこと約30分。今回のホエールウオッチングで見られるのは「Humpback Whale」、日本でいうところの「ザトウクジラ」だ。もともとアラスカにいるクジラは、冬の時期には出産や子育てをするため温かいハワイ島まで南下するとのこと。そのためクジラが見られるクルーズは冬季限定というわけだ。

 そして、日が少しずつ落ちて海がうっすらと金色に染まった時、キャプテンが「あっちにいるぞ!」と右前方を指すと遠くの海面に黒いクジラの背が。乗客が少しどよめいて右側を向くなか、あわててシャッターを切り、かろうじて背中と尾の部分が撮影できた。

日が大分傾いて、海がきらめいてくる。夕暮れまでまもなく
海上に浮き出たクジラの背中
息継ぎを終えて再び潜水するクジラの尾

 また10分後、今度はクジラが背を出してブロー(潮吹き)を行なったのを目撃。カメラが間に合わず、吹いている瞬間が撮影できなかったのは残念だったが、それでもクジラの存在を感じられてワクワクする。2回目の目撃以降、なかなか次が出てこないものの、キャプテンは「まだ見られるはず」とクジラ探し。

ブロー直後のクジラ。潮吹きの瞬間が撮れなかったのは本当に悔しい。ぜひ、クルーズで実際に見ていただきたいと思う
空は夕焼けが始まるタイミング
船の上から全方位を眺めてクジラを探すキャプテン

 そうこうしているうちに日が落ちてきて、空も海も赤く染まりサンセットのお時間。船の舳先は沈む夕日の方向を向いており、トランポリンからじっくりと見物できる。波に揺られながら何も煩わしいものがなくリラックスした状態で楽しめるのが、海の上でのサンセット体験の魅力。ただ、乗り物に弱い人にはちょっと厳しいかもしれないけれど。

夕日が水面に近くなり、海も雲も赤く染まっていく
海上から見る夕日

 日が落ちてから、キャプテンが「いた!」と左手の方を示す。しかし、薄暗くなって黒みを帯びた海でクジラの背中を探すのは意外に難しい。海面とクジラの区別がつかないまま、目をこらしてむやみやたらにシャッターを切ってみたものの、後で写真を見てみたら全く映っていなかった。嗚呼。

 いよいよ夕闇が迫ってきて船が港に向かい、クルーズも終わりに。アッという間の短い時間のように思われたが、クルーズの時間は16時から18時までの2時間。そりゃカクテルを飲んで、トランポリンで横になって、クジラとサンセットを見ていたら時間が経つのが早いのは当然だ。

クジラがいると思われる方向で撮ってみたものの、クジラは捕捉できず

 乗船前はクジラがジャンプする、いわゆる“ブリーヂング”が見られるかなと期待したものの、後で調べたらしょっちゅう見られるものではないらしい。こちらは運のいい方なら目撃できるかもしれないということで。

2時間のクルーズを終え、ついに港へ

 なお、オーシャンスポーツでは、ホエールウオッチングのクルーズができるのは12月1日から4月15日までとなっているので、クジラを見てみたいという方は渡航時期や旅のプラン決めに注意してほしい。

 また、それ以外の日付でも会場で夕日や夕暮れが見られるサンセットクルーズを開催しているとのこと。ハワイの海で日ごろの喧騒を忘れてのんびりした時間を過ごしてみたい、そんな人は海岸で休むのももちろん楽しいけれども、ぜひクルージングで過ごすのも選択に入れてみてはいかがだろうか。

丸子かおり

フリーライター/編集者。主にIT系の記事を執筆することが多いが、科学系の書籍や料理本を手がけることも。趣味はごはん・手芸・デジタルなどジャンルを問わない自作。著書は「AR<拡張現実>入門」(アスキー新書)、「放射線測定のウソ」(マイナビ新書)など。ブログはhttp://mrk-reco.com/